マッドマックス フュリオサのレビュー・感想・評価
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久しぶりに映画館で体感
大阪・梅田で、このハリウッドの超大作映画を観てきました。
マッドマックスとタイトルが出てますが、今回はどこにマックスが出てるのか見つけられませんでした。凄いスケールと、面白いカーアクションで、楽しませてくれるのですが。実は演出の力業で楽しませてて、良く考えると、無理でしょ、というところがたくさんあります。
特にあまり皆が指摘してないのですが。
フュリオサは、イーモータン・ジョーの幼い妻の一人として金庫室に囲われたところを脱出して、髪を坊主にして、男性として同じ村で働く設定ですが。村の誰も、同一人物と気づかないのが不思議でした。フュリオサに性的暴行しようとしたイモータン・ジョーの息子ですら、目の前に同じ目、同じ顔をした同じ年齢の子がいるのに気づかないのは、馬鹿だから、なのかと思いました。
あとこの映画の制作中にも、バイクに乗ってるスタッフも何人もいるだろうから、スタッフは制作しながら、不自然なことに気づいていたと思いますが。
バイクのタイヤを取り付けるのは、車のタイヤみたいに簡単にはできません。ブレーキとかオイルとか、色々と付いてて、かなり時間を掛けてタイヤを付けないと普通に走行できませんし。車のタイヤは走行中に外れることは稀にありますが、バイクはありません。死ぬからです。
バイクのタイヤは、そんなに交換が簡単ではないのです。
あと驚くのはあんな大きなバイクを、子供のフュリオサが簡単に運転できることです。子供の時から相当訓練しないと、無理です。考えたら、大型のバイクを運転している少女も撮影は無理だから、あれはCGで見事に乗っているように撮っているのだと思いました。
あと更に驚くのは、大人になって片手になってもフュリオサがバイクを運転してましたが。バイクは片手では運転できません。オートマ使用にしてたようにも思えませんので、”無理な話だけど、まあ良いか"とそのまま監督もスタッフも話を進めたのでしょうね。
一番、力業でリアリティーを無視したのは、フュリオサが義手を付けるシーンですが。
あんな医療環境もない、衛生環境の悪い、蛆が沸いているような村だと、軽い傷からでも破傷風になります。しかも科学技術が崩壊した世界で、義手の指をフュリオサの脳神経と結んで動かすとかは、絶対に不可能です。このジョージ・ミラーは映画監督になる前は医者だったので、絶対に無理と分かっているのですが、面白いから義手の指も動かいちゃえ、となったんでしょうね。一般人は騙されると思いますが、よくよく考えたら無理な話です。今の最先端の医療技術でも義手の指を動かすことはできないですからね。
以上のことを考えると、設定はB級映画のテイストのまま、独特な世界観の中で、アクションやユーモアを巨大な資金で盛り込んで、楽しませる映画にはなってましたが。この映画のシリーズのファンみたいに何度も映画館に行きたい気にはなれませんでした。
しかし、このB級映画のシリーズが好きでない方にも、一回ぐらいは映画館に行くのをお勧めしたい映画でした。
期待を上回る面白さ、シリーズファンなら是非映画館で鑑賞すべし
要予習
黒澤明監督を継承する者
本作鑑賞中、まず思い浮んだのが、同じく最近観て記憶にも新しい旧作の数々——『用心棒』、ドル3部作(『荒野の用心棒』『夕陽のガンマン』『続・夕陽のガンマン』)、そして『ソイレント・グリーン』だった。
多くの人が指摘するとおり、「対峙する2派を争わせる」「野良犬が手首(足首)をくわえてくる」「囚われた瀕死の主人公が姿をくらます」など、黒澤明監督の『用心棒』そのものだし、クロサワつながりだと“弾薬畑”の落下門は映画『乱』の城門を連想させる。
そもそも本作は、「《物語》をたどる醍醐味が存分に味わえる」点において、1960年代半ばまでの黒澤作品に相通ずるものをつよく感じさせる。
それにしても、魔改造カーアクション全開のバイオレンス作品を、クランクアップ時点(2022年)で御年77歳のジョージ・ミラー監督が撮ったんだと思うと、75歳で『乱』を撮った黒澤監督の枯れっぷりが改めて実感される。
このほか、「“ウォー・タンク”にバイク集団が襲いかかる」「丘を駆け上がり、敵を狙撃する」などのシーンでは、セルジオ・レオーネ監督の《ドル3部作》が思い浮かんだ。さらに「イモータン・ジョーの“子産み女”」や「ディメンタスお抱えの“ヒストリーマン(老賢者)”」は、リチャード・フライシャー監督の『ソイレント・グリーン』にでてきた「“家具”=囲われた若い女性」や「“本”=学識ある老人」を連想させる。
そんな他の旧作との結びつきだけにとどまらない。これもすでに言われていることだが、本作は前作『怒りのデス・ロード』から一転、神話的な作りを前面に押し出している。黒澤監督がシェイクスピアやドストエフスキーに範をとったように、本作では数々の神話や聖書、古典のエッセンスを随所に織り込んでいる(…といっても、ぼんやり見当がつく程度なのだけど)。
冒頭、禁断の果実に手をつけたことに端を発する、少女の「楽園追放」で始まり、ラストは、映画『ミッドサマー』の熊に埋め込まれた彼氏よろしく、果物の木の栄養分(?)になったのじゃ、とヒストリーマンの口伝で締めくくられる。この語り口がすでに一種の流離譚であり神話なのだが、劇中も各人のセリフをはじめ、母親の磔殺、壁いっぱいに模写された絵画「ヒュラスとニンフたち」…等々、神話や聖典などを仄めかす描写が散りばめられる。
なお先の絵画は英国ラファエル前派の代表作だが、その延長線上でいうと、休戦協定の取引条件でイモータン・ジョーに譲り渡される少女フュリオサの容姿や身なりは、ラファエル前派が好んで描いた絵画からそのまま抜け出してきたかのようだ(…イギリスにロケハンした『天空の城ラピュタ』のシータにもどこか似てるが)。
と、ここまでくると、同じアニャ・テイラー=ジョイの出演作で神話や伝説、英雄譚に材をとった『ノースマン 導かれし復讐者』を引き合いに出したくなる。がしかし、あちらは神話的叙事詩をリアルなアプローチで描いた重厚な作品。『フュリオサ』における戯画的なキャラ立ちやカーアクションに顕著なぶっ飛び感、狂騒はゼロだから、両作の印象はまるで違う。
最後に、議論をよんでいる「AI技術を用いた大幅補正」についてひとこと。
本作はフュリオサの少女から大人への移行にAIを導入、「35~80%の割合でアニャ・テイラー=ジョイと子役の顔を少しずつ混ぜていく」方法が採られたとのこと。そんなこととは露知らず、こんなに似た子をよく見つけてきたもんだねと感心しながら観ていた。
AIで主役の顔を大幅修正した作品としては、近年『インディ・ジョーンズと運命のダイアル』(2023)や『アイリッシュマン』(2019)などが注目を集めたが、「当人を若返らせた顔を作る」「本人とスタントマンの顔を差し替える」など、鑑賞中はともかく後で考えたら「そりゃそうだよね」と勘づくものが大半だった。
しかし、本作のケースはおそらく言われなきゃ気づかない。また複数人の顔を混ぜたり、笑顔を泣き顔に変えるなど、実写撮影を根底から覆すような事態も今後予測できる。ギャラなど俳優の労働条件にも関わるだろう。なにより作り手の《倫理》が問われないと、この先わたしたち観客は安心して映画館の暗闇に身をまかせられないよ。
フュリオサの過去
フュリオサが、イモータルジョーの部下?になるまでの物語。今回の話は正直1個前のマッドマックスさえ見とけば見れると思う!
フュリオサが小さい頃から勇敢なのが分かるいい作品だったし、辛い過去を乗り超えた末のあのキャラクターだと知れてよかった!ディメンタスのクソ野郎がずっとクソ野郎だったけれど、終わりが最高。フュリオサがお前とは違うって言うのがフュリオサたる所以でとても好感がもてる!
ジャックが良い奴すぎて、見ていて好きになっていったし思ったよりアクションも多く見応えがあった。
本当にフュリオサを徹頭徹尾好きになるいい映画だった!また、マッドマックスを見直したいなって思えた!
WITNESS !!!
前作で信者となった身としては本作の出来がどうであろうと観る前から★5は決まっている。半年前に配信され始めた英語版トレーラーに涙して以来、待ちわびた5月末の公開日…と言いつつ、多忙で初日から7日後にIMAXで鑑賞。相当ハードルを上げて臨んだ感想は、でも、信者ながら、正直、うーん、なんか違う…。前日譚という性質上しかたないけど、全体に説明的・辻褄合わせ的で、2時間半の尺でダレるとこもあるし、クライマックスに向けて回転が上がっていく感じがなく…。
とまあ、思ったことはいろいろあった。あったのだが、9年前に初見で衝撃を受け、その後劇場へ4回足を運び、極爆にも行き、DVDやサントラも購入した前作が自分にとってパーペキ(注・パーフェクトに完璧、死語)な作品である以上、同じ世界観のなかにある今作でそれを超越するものは存在しえないのだとも観終わって気づいた。制作側もそれはわかっていることなのだろう。
そんなわけで過剰な期待そのものが間違っていたと考え直し(信者なので)、素直な気持ちで1週間後に2回目を鑑賞したところ、ウォー・タンクを囲んでの戦闘シーンはアクションとして出色だし、ディメンタスはじめ新キャラにも味わいがあるし、スッキリ終わらせてはくれない復讐劇の神話的ラストやクドいと感じたエンドロールも含め、怒りのデスロードのスピンオフ作品としては十二分な出来ではないか、と考えが改まった(信者だし)。
特にボミー・ノッカー発動後にタンク後方で吹き流しがたなびくアホらしい画作りや、ぐぐぐと表情に近づくカメラワークなどマッドマックスの十八番が観られ、準決勝敗退の甲子園球児っぽくもある坊主頭で額タールのアニャもまた愛しで、やはり今作は★5で正解。時間があったら重ねて観てしまうかも(信者ならでは)。
崇高でさえあるエンターテイメントの極み
思いのほかストーリーがあった
クリス・ヘムズワースって
狂気の世界に咲いた花
前作(怒りのデス・ロード)と変わらずの世紀末っぷり。ただ前作ほどのむさ苦しさがなくて見やすかった。フュリオサは狂気の世界にあって一種の清涼剤のような存在で、彼女自身も望郷と復讐に取りつかれているけど、彼女がいるだけで絵がきれいに見える。イモータン・ジョーやその息子たち、ウォー・ボーイズまでキャラの濃さが薄まるから面白い。
敵であるディメンタス将軍がいい味出してた。賢人から知識を得たり、領地を奪う度に何か作戦を立てたりと、筋骨隆々な見た目に反しただの脳筋でないのがよかった。
惜しいのは最後の決着のつけ方。血と硝煙にまみれた世界なのに派手なアクションもなく、追いかけまわして決着がついたのには拍子抜けしてしまった。
ここでこんな事言っちゃダメだけどさ
マッド IMAX
王道のアクション映画
マッドマックスシリーズはストーリーをウリにしているシリーズではなく、本作のストーリーも優れているとは言い難い。
しかし、アクションシーンが全編を通して次々と展開されるため、上映時間が2時間を超える作品であるにも関わらず冗長さはそれほど感じられなかった。
難しく考えず、とにかく派手な映像を楽しみたいというニーズには十二分に応えてくれる作品だと思う。
面白いこと全部のせ!
本気のハリウッド
アクションすごいね。走って、跳んで。身体をつかったアクションなんだよね。キレがある。作中の厳しい時代を生き抜くには、これぐらいの生命力がないとだなと思うの。
出てくる人たちが欲望を前面に出してて良いね。貧すれば鈍するで鈍しきった世界なんだけど、そこで生身でぶつかってる感がいいの。
そんな中にも、時に崇高な感情はあるんだよね。そこもいい。
エピソードはどれもこれも壮絶だね。「一歩間違えたら死ぬ」の連発だけど、間違えなくても死ぬ時代なんだろうな。
そしてそれをアニャ様がやり切る。アニャ様、身体能力も高いね。
アクションは金かかってるなという感じで観てて楽しいね。
そうしたエンタメ要素の高さを保ちながら、深い話も入れてくるの。
ハリウッドは本気でつくるとまだ健在だね。
ただのスピンオフではない
アメリカでの興行成績は今ひとつ。これは恐らく暴君ディメンタス将軍、支配者イモータン・ジョーというふたつの悪の組織の間でフュリオサが立ち回るという展開が、アメリカ人好みの勧善懲悪の展開に欠けるからでしょうか。
言ってみればフュリオサ自身も復讐に燃える女という役どころ。善なき世界の飽くなきバトル。これはこれで面白いのだが。
フュリオサがいかにして片腕を無くしたのか、故郷を目指す理由とは、何故イモータン・ジョー率いる要塞の大隊長になったのかが見所である。
見る前に「怒りのデス・ロード」を視聴し「フュリオサ」を観賞。このあと再び「怒りのデス・ロード」を視聴することで、その繋がりがよりいっそう楽しめる。
フュリオサ役がシャーリズ・セロンからアニヤ・テイラー=ジョイに変っているが悪くない。むしろ幼少期から描いているのでその成長と合わせ違和感なく没入する。
監督が1979年の「マッドマックス」から一貫してジョージ・ミラーが手がけているのも嬉しい。あの復讐に燃えるマックスが時を経てフュリオサに投影される。ちょっと痺れます。
改めて過去3部作を見直してみよう。そしてデス・ロードのその先も早く見たい。
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