「フュリオサ視点のマッドマックス外伝」マッドマックス フュリオサ kozukaさんの映画レビュー(感想・評価)
フュリオサ視点のマッドマックス外伝
前作、怒りのデス・ロードに登場した女戦士フュリオサを主人公に少女時代から成人するまでの半生を描く今作、前作はシャリーズ・セロンが演じたが、今作では成人した彼女をアニャ・テイラージョイが演じる。
このキャスティングを聞いた時、華奢で妖精的な役が多いテーラージョイで大丈夫なのだろうかと思ったが、結果なるほどと納得。
テイラージョイの魅力はずばり印象的な顔だ。もっというなら目。
そして、この映画の主題は彼女の目、眼差しのストーリーなのだ。
少女フュリオサは暴力が支配する世界で緑のオアシスのような隠れ里で育つ。
しかし、ディメンタス(クリス・ヘムワーズ)のバイク軍団にさらわれてしまう。
フュリオサを救おうとした母は目の前で惨殺されてしまう。
それを彼女は忘れまいとしっかり目に焼き付けた。苦難の道のりの始まりだ。
軍団に囚われの身となったフュリオサはディメンタスの暴力による支配を目に焼き付ける。
成長したテイラージョイのフュリオサの眼差しは眼光鋭く破壊的。
VFXで強調されていると思うが、映画はテイラージョイの眼差しを象徴的にクローズアップする。
フュリオサは寡黙だが目で語る。なるほどそのためのテイラージョイなのだ。
女戦士の成長譚であるため、怒りのデスロードのノンストップハードアクションに比べれば控えめに感じるかもしれない。
その辺りが、マッドマックスの本流男性ファンには物足りない評価なのかもしれない。
原題はFURIOSA A MAD MAX SAGA 。ジョージ・ミラー監督は登場人物の過去や現在を行き来し、壮大なマッドマックスサーガを語ろうとしている。
ハードアクション一辺倒ではなく、核戦争で文明が崩壊した世界がどうなるのか。
今後もその神話的世界がどう展開するのか楽しみだ。
フュリオサの復讐はなし得るのか、その示唆的な結末が語りかけるものは・・
この一級娯楽作はIMAXで観ることを強力に推奨する。