ミッキー17のレビュー・感想・評価
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ポン・ジュノ節が炸裂する
微妙な評価の人が多いようだったので観るのが遅れてしまった。これは...ポン・ジュノ節が炸裂する秀作じゃないか。
SFになっても、格差社会への痛烈な風刺と人間の愚かさ、欲望、理性の白々しさ、底辺で不幸を被ることの暗さや悲しみを、ユーモアを交えて描く上手さは健在。むしろ進化し磨きがかかっている。
ジャンルを横断しつつ社会を冷静に見つめる視点が、植民地を目指すハードSFに載せて描かれる、なかなか大人向けな映画だなと思う。
「バットマン」、「テネット」のロバート・パディンソンとは別人のよう。ミッキー17とミッキー18その他との芝居の違いも面白い。役者は凄いなと思ってしまう。
クローン技術と死の概念を問い直しつつも、深刻になりすぎない、コメディになりすぎないトーンになっているバランスがお見事。
人は様々な困難に出会う
ディズニーによるエンタメ支配に〃抗え〃!
「ミッキー」と聞いて誰を思い浮かべる?
ミッキー・カーチス?
ミッキー・ローク?
ミッキー・ゴールドミル?
世界中、誰に聞いてもミッキーマウスだよね。
冒頭、切断された手首が宇宙を彷徨うシーン、
あれ、ミッキーマウスの手そのもの。
ミッキーが「使い捨てクローン」として何度もコピー(生産)されるのは、ディズニーがエンタメ業界を支配し、そこから生まれる「ディズニー的」な型にはまった映画やキャラクターの量産体制へのメタファー。
(量産型)ザクとは違うのだよ!
ザクとは!
というポンジュノ監督の声が聞こえてきそうな、
ブラック・シニカルSFコメディ。
格差社会を描いてるのは誰でも分かる。
問題はどこにあるのか?
深刻な社会問題や不快な現実を避けるディズニー的(善悪二元論/個より家族やコミュニティ重視/再生と贖罪/奇跡と祝福など〃某宗教的価値観〃が物語の根幹をなし多様性は表面的)な作品が蔓延することは、社会に深刻な影響を及ぼすという問題提起があると思う。
宗教は貧困や弱者に寄り添うものであったけど、歴史を振り返ってみても、また現在も、権力と結びついて格差を肯定している。特に某宗教は、貧しい者は幸いだと言い、この世で抗う気持ちを削ぎ、天国での救済を説く。
天国を夢の国と読み替えたらいい。
GANTZ、ナウシカなど……特に駿さんの影響を強く感じた。駿さんは「楽しませるのだけがエンタメではない」という考えがあり「答え」より「問い」を重視する、ディズニー的な価値観に抗う人。物語の構造的に、ポンジュノ監督と近しいものを感じる。
めっちゃ好き!
支配と服従という関係、力による支配しか理解出来ない人たちは、他者の自由を侵略してはならないという当たり前の倫理観も無ければ、そうした議論をする能力も無い。ファシズムは宗教団体と一緒になって最終的に人々を不幸にする。
そうした普遍的なことをまっすぐ伝えるセリフと、エッジの効いた演出がすごい。生ぬるいところがまるで無かった。
ラスト。「18ならどうする?」隠れた自分の本心の存在に気づいたミッキー。そして、これまで母に対する罪悪感の象徴だった赤いボタンは、マシーンを破壊する赤いボタンに上書きされる。個人の小さな変化は私たちの大きな希望だ。
もう一つの大きなテーマは包括的な愛。ナーシャはミッキーが生まれ変わるたびに、全てのミッキーを力強く抱きしめる。
カイが「17は私に譲って」と言ったとき、ざけんな!両方私のもんだ!と怒鳴った。
うんうん。私にも感じの良い時の自分と、ネガティブモンスターになった自分がいるけど、そんな私を「両方オレのもんだ!」って怒鳴っほしいわ、脳内彼氏に。だって全部自分だもんね。
うっとりするようなラブストーリーでした。
SF仕立てのブラック・コメディでありながらも「人間らしさ」とは何な...
SF仕立てのブラック・コメディでありながらも「人間らしさ」とは何なのかを真っ向から描いている作品でした。
「人間」を描くにあたり、アメリカ人とは違う監督の持ち味も存分に発揮されており、卑劣な友人、自己中な統治者、美食のために他を顧みないファースト・レディ、すぐ感情的になる彼女など、アメリカ映画では中々お目にかかれない魅力的な人々がしっかりと描かれておりました。
そんな中にあって1番目を引いたのが主役であるミッキーを演じたパディンソン。
イケメン枠の役者であるはずの彼が、白目を剥いたり、ゲロを吐いたりとメチャクチャな扱いを受けてます。
パディンソンはイケメンである事を忘れてしまったかのような姿を連発して、観客にもすぐにそれと分かる程の「情けない人物」をきちんと表現しておりました。
同時に彼は「気の荒い人物」も演じており表情の違いだけでそれと分かる演技を披露していました。
凄い方ですね。
ただSF映画としてはやり尽くされた感じが否めなかったのも正直なところ。
芋虫のような異生物が可愛らしく見えてくるのも宮崎アニメで味わい尽くしてますもんね。
個人的にはSFに仕立てた必然性とオリジナリティが欲しいと感じました。
イマイチハマらなかった
ポン・ジュノ監督ってことで期待しすぎたW
半地下の空
パティンソンの芸域拡張。
地獄に落ちると「ミッキー∞」になる?
何度でも再生することを条件に、危険な仕事をさせられて死に、そして蘇る、を繰り返す男を主人公としたSF映画です。
最初は何かの不条理映画かと思っていたら、後半になるに従ってドキドキハラハラし、ラスト間近では思わぬどんでん返しも待ち構えています。
「スノーピアサー」や「パラサイト 半地下の家族」に比べたら、最も後味良く終わります。
ふと思ったのは、子供時代には誰でも「悪いことしたら死んだ後に地獄に落ちる」と言い聞かせられることでしょうが、自分は後になって「死んでいるんだからどんなにひどい目や苦しみに遭っても、死ぬことは無い」とも思うようになったものでした。
この映画を見て、「本当に地獄があってそこに落ちたら、主人公のような経験をするんだろうか?だとしたら、やっぱり地獄に行くのはまっぴらごめんだ」と思いました。
面白いが死ぬって怖いことなの的な問いと格差社会、侵略などのテーマの...
ポン・ジュノ監督ってデストピアSF雪景色が好きなの? スノーピアサ...
自分自身は唯一無二の存在
好物の設定だが、冗長。
思ったよりもコメディだった。気軽に見られるね。
たまたま吹替しか時間が合わなくて、吹替版で見たけど、これロバート・パティンソンの声で見るべきだったなー!演じ分けが良いし、「悪魔はいつもそこに」のパティンソンがかなり好きだったので、今作とても良かったです。 一人で二度美味しいロバート・パティンソン。
思ったよりコメディ寄りで、ツッコミどころはありつつも、ストレートなテーマとわかりやすいキャラクターで、重いテーマなのに軽く見れて良かったかも。軽過ぎると言えば軽過ぎるけどもw
クリーパーことグソクムシさん達可愛かった。意外とみんなミッキーのこと雑に死んでも生き返れるし気楽だよねーみたいな扱いなのに一部の人は心配してくれたり、本気で怒ってくれたり。割と愛に満ちてた。
でもまぁ、期待通り予想通りな感じで、ちょっとハードル上げすぎてしまったかも。SF的なとこも結構地味。細かい設定もチラチラ出てきてその辺は分かりやすく面白かった。ほんのりスターシップトゥルーパーズ味を感じる世界観はすごく好き。
倫理観
期待を超えることはない
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