ミッキー17のレビュー・感想・評価
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ポン・ジュノ監督らしさ満載のSFブラック
『パラサイト 半地下の家族』で、アカデミー賞外国作品賞を受賞したポン・ジュノ監督が、今度は、未知の惑星を舞台にして描いたSFブラック・アクション。彼の作品は、『パラサイト…』は勿論、『スノー・ピアサー』等でも、格差社会の底辺で蠢く者からの、苦痛な叫びをテーマとしている作品が印象的。本作もまた、権力者の命令で、自分の命を投げうって何度も生死を繰り返す任務を課せられるという、搾取された男の不条理な境遇を描いている。
舞台を未知の惑星にすることで、SF作品としての重厚感もある一方で、ポン作品らしく、やはり現代社会への痛烈な批判を含めたブラック・ユーモアとしての面白さもある。絶対的な権力を持つラスボスの言動は、最近、大国で大統領に就任して、自分さえよければ良いと、やりたい放題しているアイツをパロっているのだろうとも思う…(笑)
借金を抱え、取り立て屋から命の危険を感じたミッキーは、地球から逃れる為に、内容もよく読まないで、未知の惑星での仕事の契約書にサインしてしまう。その仕事とは、自分がレプリカントとなり、命がけの任務に就いて、何度も生死を繰り返すという、虐げられた内容だった。ミッキー自身、最初こそ死への恐怖はあったものの、それを17回も繰り返す中で、「どうせまた、レプリカントとなってた生まれ変わる」と、死の苦しみを受け入れ始めていた。
そんな矢先、ミッキー17号が、未知の生物の餌食となり死んだと思い、新たな18号をコピーしてしまったが、実は17号は生きていて、18号と遭遇してしまう珍事が発生する。当初は、互いに受け入れられなかった17号と18号だったが、次第に2人の境遇を生み出した共通の敵は、その権力者であると気づき、権力者への叛旗を翻し、反撃を始める。そこにまた、惑星の未知の生物との戦闘が絡めることで、SFアクション的な要素も高めていく。しかし、この生物がどこかで観たことのある生物で、そのフォルムや群れとなって蠢くシーン、ミッキーとその生物が心通わせる辺りは、『風の谷のナウシカ』のオームにそっくりだった。
出演者は、主役のミッキーには、最新の『バットマン』を演じたロバート・パディンソンが務めたが、個人的には、『バットマン』より『ハリー・ポッター』のセドリック役の方が印象深い。悪役の権力者には、『ハルク』のマーク・ラファロが演じ、ミッキーの悪友ティモ役には、『ウォーキング・デッド』でグレン役を務めた、スティーブン・ユアンが久しぶりに懐かしい顔を覗かせていた。
奇妙な設定と世界観、だけど、現実世界の問題とリンクする。流石な作品。
ナウシカ味や貞子味を楽しむ
思ってたより全然面白かった。グエムル、スノーピアサー、オクジャ系だろうと思ってそれほど期待してなかった。なんとなくポンジュノを大林宣彦や森田芳光のように今度は何塁打かな、という風にみているが、よくよく考えてもハリウッドでこんな変な癖のある映画を予算かけて撮れてるだけでも大したもんだ。
前半ちょっと眠くなるところもあるけど、後半、映画にナウシカ味が出てくる頃になると着地が気になって、というか、ナウシカとか実写化できんじゃね?くらい想像しながら見てるとスターシップトルーパーズとリング貞子味まで出てくるので、この映画の中にはいろんな娯楽映画のカルチャーが混じってるなぁと感心したり。
全体がコメディであるのが構えとしてはよかった。ただコメディはそんなには面白く感じはしない。途中からマーク・ラファロとトニコレットの俗物コンビがどうやって消滅してくれるか待っているとなるほど、、という終わり方である。ポンジュノは後日談まで語り尽くすぞという監督だったのを思い出した。
SFディストピア映画ではあるものの、半地下に比べるとかなりエンタメ...
哲学的で‼️❓壮大なSF‼️❓歴史に残る名作‼️❓
ポン・ジュノのアメリカン🇺🇸な快作
ロバート・パティンソン(ミッキー)、そして「ホイットニー・ヒューストン I WANNA DANCE WITH SOMEBODY」のナオミ・アッキー(ナーシャ)をメインに置いてのブラックなSFエンターテイメント。
これは面白かった。
傑作ではなかろうか。
宇宙船に乗って遠く離れた惑星に移住する人々。新天地に向かう人々を先導するのはマーク・ラファロとトニ・コレットの怪し過ぎる最狂カップル😱
そう、この4人のキャスティングが最強だった‼︎
死んだ都度リプリントされるという契約を結んで宇宙船に乗り込んだミッキー。過酷な任務を課せられ、ひたすら死んでは生き返るミッキー。
ミッキーとナーシャのフィジカルな関係が好きだった。肉食のナーシャが好きだった。二人の間に存在する確固とした愛が好きだった。彼らの「反撃」が好きだった。
ハリウッドのポン・ジュノ、調子に乗ってきた感じ。ハリウッドでしか作れない快作を撮った。「殺人の追憶」や「母なる証明」を思うと複雑ではあるのだけど。
評価された監督
トニ・コレットの伝統顔芸
ある時点から誰もが期待するラストに向けて物語は進んでいく。
意外性はないが、大スクリーンならではの迫力と音響を感じながら予定されるお仕置きへのカウントダウンを心の中で数え始める。
人体を複製して記憶をアップロードするというプロットは、古典的SFの匂いがするが、原作は2022年出版と知って意外に感じた。
このテクノロジーがあるんだったら、強靭な肉体を持つ人間をスキャンだけして、複製を宇宙に連れて行けばよさそうだけど、それを言ったら話が始まらない。
トニ・コレットとマーク・ラファロのバカ夫婦のやり取りを見ているといろんな騒動を起こした人たちを思い出さずにはいられない。トニ・コレットの顔芸は、相変わらず無形文化財級の面白さ。
地鳴りをあげてうねる先住生物の大群は、ナウシカのあるシーンを思い出す。海外にも主という概念があるのかはわからないが、主の怒りは恐い。
映像と音で楽しむ作品なので、IMAXをお薦めします。
ミッキー迷走
バーホーベンかブロムカンプか
月に囚われなかった男
『月に囚われた男』を意識したのかしてないのかわからないけれど、どうしても比べちゃうよね。
聞こえてくる予算、監督の評判から、まあ超えては来るだろうし、どうせ大作っぽい味付けがされるなら、ストレートなラストでスカッとできればいいな、そんな感じで頭を空っぽにして、鑑賞。
面白かった!けど想像の粋は出ず、スカッと感もぼんやり。
当然超えても来なかった。
初見だったら面白かっただろうなー。いや、何度も言うけどテーマが似てるだけでリバイバル作品ではないだろうから、初見に違いないのだけど。
それもこれも『月に囚われなかった男』を見てしまったから。大好きな映画との出会いは、呪いにも似ているのかもしれないな。
結論としては、面白くて人に勧めたいのは『ミッキー17』、大好きかつ10年後にふと思い出して見たくなるのは『月に囚われた男』。
深み無く生命を題材にした娯楽作
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