劇場公開日 2025年3月28日

ミッキー17のレビュー・感想・評価

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4.5傑作映画群を想起させる特徴的な物語要素と描写

2025年3月25日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

笑える

悲しい

興奮

傑作映画群を想起させる普遍的な物語要素と描写

ポン・ジュノ監督が「スノーピアサー」や「パラサイト 半地下の家族」などで描いてきた格差社会への風刺や底辺で生きる人々の悲哀と闘争が、最新作「ミッキー17」でも反復される。原作はアメリカ人小説家エドワード・アシュトンが2022年2月に発表した「ミッキー7」(3年ちょっとで映画化・劇場公開というスピードにも驚かされる)。

ざっくりくくるなら、ブラックユーモアの効いたSFコメディだろうか。SFやファンタジーのファンなら、過去の傑作・話題作を想起させる場面に出会うたび、にやりとさせられるだろう。本作の肝となる空想科学のアイデアである人間の身体だけでなく記憶もコピーする技術は、クローン技術をさらに発展させたものと位置付けられるが、フィリップ・K・ディック原作でタイトルもずばりの映画「クローン」や、ダンカン・ジョーンズ監督のデビュー作「月に囚われた男」などを思い出させるし、人間扱いされない“使い捨て”の存在が宇宙での過酷な仕事に従事させられる点では「ブレードランナー」も近い。

惑星ニヴルヘイムの先住種族であるクリーパーについては、監督自身が「風の谷のナウシカ」をインスピレーションの1つに挙げている。地球外生命体とのコミュニケーションに関しては、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作「メッセージ」も思い出した。

大航海時代にヨーロッパ人がアフリカや南北アメリカで繰り広げた植民地政策(征服と収奪、先住民族の大虐殺や奴隷化)を宇宙時代に再現させたような地球人の蛮行は、「アバター」シリーズ2作でも見られた。「アバター」ではまた、ネイティリがジェイクを抱きかかえる構図がミケランジェロの彫刻「ピエタ」を再現していたが、これとよく似た構図が「ミッキー17」でも反復される。人間の業を引き受けて命を落としては復活するミッキーに、イエスを重ねるキリスト教圏の観客も多いのではないか。

独裁者的リーダーがアメとムチで派遣団の人心をつかもうとするあたりは、ポール・バーホーベン監督がアメリカ的愛国主義を皮肉った「スターシップ・トゥルーパーズ」に通じる。「ミッキー17」の開拓団のリーダーであるマーシャルの優生思想は当然ヒトラーを想起させるものの、トランプの時代にも重なって見える。民主党支持者で反トランプ発言でも知られるブラッド・ピットが製作総指揮に、彼のプランBエンターテインメントが製作会社に名を連ねていることと、米国の政治情勢からの影響が少ない外国人監督が起用されたことも、けっして無関係ではないだろう。

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高森 郁哉

4.0ホラー、SF、ブラックコメディがぐちゃぐちゃに混ざりあった作品!

2025年3月8日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

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悲しい

怖い

「死ぬのってどんな感じ?」

▼感想
ぴあの試写会に招待頂きました!ありがとうございました!

「パラサイト 半地下の家族」でお馴染みのポン・ジュノ監督の最新作!主人公のミッキーが可哀想で「もうやめてあげてよ~!」と思ったら、次のシーンではちょっと笑ってしまったり...色んな気持ちになった。SFの要素が思っていたよりも強く、エイリアンの登場や近未来のテクノロジーには興奮した。記憶の外付けの装置がレンガなのとか設定にも変なシュールさがあった。

主演のロバート・パティンソンは今作では主に一人二役を演じるが、「二役が別人のように見えてすごい!」とは思わない。パティンソンならそれくらい難なくやってくれると思っていた!マーク・ラファロはバカで嫌なやつが最高にハマっていた。「哀れなるものたち」もそうだけど、こういう小悪党の役が案外合っているから他の作品でもどんどん演じて欲しい。サブキャラクターのカイが凄い美人でびっくりした。

ホラー、SF、ブラックコメディが混ざったポンジュノ監督にしか作れない一作!ポンジュノ監督の他の作品も見たくなった!

▼トリビア
原作では「ミッキー7」だが、ポンジュノ監督がパティンソンの死ぬところをもっと見たくて7から17に増やした。

▼お気に入りのシーン
ミッキーがプリントアウト(生き返る)シーン!
本当だったら結構怖いシーンでもあるけど、ゲームをやって目を離してる職員がいたりしてシュールなシーンに...。

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UUU

3.5🥐ク○まみれのクロワッサン🥐

Kさん
2025年3月8日
iPhoneアプリから投稿

《試写会にて鑑賞》
スタッフさんが上映前の説明で
今日は出席率が高いと仰っていて
さすがはポン・ジュノ監督の
作品だと思いました。

人間ドラマとクレイジーなシステム。
ラストは感動。

ミッキーの底力お見事!
弱者こそ強者。諦めない強さがそこにはある。
社会風刺&ブラックユーモアの取り入れ方が
ポン・ジュノ監督のセンス全開でした。

スティーブン・ユァン様が演じる
ティモの卑怯なキャラクターも見逃せません。

帰りにミッキーのお面をいただきました。
クリーパーのキモカワイイぬいぐるみも写真に収めました。
グッズ化希望です…(小声)

難しいSFではなかったので楽しめました。
本日は貴重な機会をいただきましてありがとうございました。

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K

4.0悪夢を跳ね除ける力が僕らにはきっとある

2025年3月7日
Androidアプリから投稿

笑える

興奮

知的

ワン・アンド・オンリーなポン・ジュノ監督のフィルモグラフィーにおいて本作は新鮮さよりコレコレという安定感に似た興奮と確かな映画的カタルシスを与えてくれる、ユニークなスリルライドだ

現実に甘んずるだけでなくてきっと、悪夢を振り払える自分もいる。別人みたいに違って見えても、どちらも自分。ずっと終わらない怖い夢でも見ているみたいな、このクソみたいな世の中で、プリントされた肉とTVディナー。使い捨てられる格差社会。
vs 立ちはだかるのは、"ホンモノ"にこだわるピュアホワイトな選民思想という人種差別に、女性を子供を産むためだけの子宮という道具みたいに扱う性差別など、肌を浅黒く茶色に塗ったマーク・ラファロのノリノリな仮想トランプ!『哀れなるものたち』モードと言っていいくらい続いて、なんとも底の見えた浅はかで薄っぺらくて"ヤ(嫌)なやつ"を体現する時期か。彼自身、非常にそうしたものへの怒りというか嘆きというか、この現実に危機感を持って変革することに活動的な人だから納得。

まさしく"ワン・アンド・オンリー"唯一無二なポン・ジュノ監督らしく社会を映し出すソーシャルコメンタリー。娯楽性の高い作品の根底にある社会的なテーマ。無論原作ありきと言えど、生き返りや人類移住など今までにもあって既視感を覚えるプロット・アイデアをこうも新鮮かつ大胆不敵スリリングに面白く調理してしまえる。やっぱり誰かが声を荒げて怒号が飛び交ったり、体を張って笑いを取るスラップスティックだったり、そういうどうしょうもなく煮詰まった状況で起こる(登場人物たちは至って真剣だからこそ)テンションの高いドタバタ劇の魅せられ引き込まれてしまうような面白さは間違いなくて、その点で本作はそうした場面が多く、かつ効果的できちんと機能していたと思う。だから、見ていて飽きなかったし、むしろドンドンと「どうなるんだろ?」と夢中になった。
ミッキーの現実に甘んじるようにどうしようもなく情けなく不甲斐ない、うだつの上がらない共感性の高いキャラクターがかわいらしくもリアルだったし、最後の成長まで込みで自分のものとして持って帰りたい。ポン・ジュノ監督作品あるある男性キャラの一方で、強く頼れる女性キャラは本作ではナオミ・アッキー。原作は「7」なのにポン・ジュノが「彼が死ぬところをもっと見たい」という理由から「17」にしたというエピソードを読んだけど、ロバート・パティンソンみたいな役者なら170人でも700人でも何人いてもいいのだ。バッキー・バーンズでなくミッキー・バーンズ、ということで最後はいち早く見た観客の鑑賞後コメントCM風に、「今年の春はぁ〜…"ミキセブ"!」

『スノーピアサー』✕『オクジャ』= ドン底の"死にゲー"からの逆襲…!何でも撮れる彼にとっても、SF映画という(現実から距離を置くことでより)現実の問題を描けるという点でも想像力・創造性が爆発しそうな得意フィールドで、『グエムル』よろしく怪獣映画なのかと思う巨大ダンゴムシに始まる『デューンPART1』と思ったら『PART2』みたいな、『風の谷のナウシカ』『もののけ姫』ですらあるみたいな盛々に気の利いたアツい展開にコレコレコレ!…と観ている方も自然とギアが上がり、ニヤリとしてしまうような映画的カタルシスがあった。終盤コレでも畳み掛け雪崩込むお祭り感、最高。もしかすると彼のフィルモグラフィーでベストな作品ではないかもしれないけど、抜群にユニークで面白くハズレのないフィルモグラフィー、その抜群の安定感を今回もまたもや更新してくれた!
主人公たち以外にもう1人のキャラクターも、最後には劇中一度甘んじそうになった恐怖と対峙して乗り越える?現実の終わりのない悪夢みたいな恐怖を跳ね除ける力が僕らにはきっとある。死ぬのはどんな気分だ!

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とぽとぽ

3.0期待した分、ちょっと

2025年3月8日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

ナウシカか?

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lailai