ミッキー17のレビュー・感想・評価
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設定を褒めたい
予告編を観て「お、ちょっと面白そう」と感じた程度、大きな期待は抱いていなかったのでIMAXで観る気なんて全然なかったが、上映時間の都合で仕方なくIMAXで観賞することに。
ところがチケットを買おうとして驚いた。IMAX料金+500円と思っていたのに+700円!
「なにい!」と思ったが、今週からユナイテッドシネマはIMAX料金を200円上げていたのでした。 ショック! 今まで500円差なら1~2時間待つよりIMAXで大画面⁺迫力音響を楽しもうというのが、時々有ったのだけど、700円差は大きいなあ・・・
ちなみに、本作は特別な事情が無い限り通常スクリーンで十分です!
【物語】
舞台は約30年後の世界。ミッキー(ロバート・パティンソン)は、無謀にも多額の借金をして事業を起こしたが、見事に失敗。取り返せない金額の借金が残り、非道な貸主に命を狙われる。
生き残る手段は地球から逃げ出すしかないと、地球外植民地への入植者募集に応募する。超高倍率の狭き門だったが、何も知らないままExpendableとして契約を結ぶことで地球脱出に成功する。Expendableとは死んでもDNA等の情報から記憶を含めて生体再生するという最先端技術を活用し、人間にさせられないような危険な作業を任務とする。
4年にも亘る宇宙航海の後、遂にある惑星に辿り着く。ミッキーは宇宙空間移動中から様々なモルモット的試験に供され、新惑星でも数々の危険な環境探査を遂行。 既に16回死んで16回生き返り、ミッキー17になっていた。あるとき氷原で誤ってクレバスに滑落したミッキーはその惑星の先住民たる巨大生物に襲われる。
それを見た仲間は早々にミッキーは死んだと諦めて宇宙船に帰り、残してあるデータからミッキー18を生成する。ところがそこへ、命拾いしたミッキー17が帰って来る。2人は顔を合わせて驚愕する。 同一人物を同時に2体存在させてはいけないという、絶対的ルールが有り、バレれば2人とも抹殺されてしまうからだ。ミッキー17はなんとか2人共存することを考えるが・・・
【感想】
発想が凄く面白い。
そんな技術が発明されれば、街中再生人間で溢れかえるだろうが、再生人間はミッキー一人だけ、という理屈を無理やりひねり出したところも上手い。ミッキーだけだから面白い。
このSF的設定が肝なのだけど、全編に漂う空気はSFというよりはコメディーだ。ミッキーは憎めないダメ人間なのだが、周囲の人間もあまりまともな奴はおらず、皆どこか変だ。。だからミッキーを中心としたやり取りが可笑しい。
一方で、命の使い捨てのもの悲しさを味わい、それによって生きる喜びを改めて感じられる作品とも言える。
まあ、小難しいことは考えずにお気楽に楽しんでいい作品だと思う。
ポンジュノ味
ポン・ジュノ監督のモンスター愛が炸裂
【イントロダクション】
近未来を舞台に、宇宙の植民星計画に志願した若者が、人体複製技術によって何度殉職しても新しく生まれ変わる様を描いたブラック・コメディ。
監督・脚本に『パラサイト/半地下の家族』(2019)で第92回アカデミー賞・作品賞、監督賞をはじめ4部門受賞の快挙を成し遂げた韓国映画界の巨匠、ポン・ジュノ監督。原作はエドワード・アシュトンによる『ミッキー7』。
主演に『THE BATMANーザ・バットマンー』(2022)、『TENET テネット』(2020)のロバート・パティンソン。共演にMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)でハルクを演じるマーク・ラファロ。
【ストーリー】
舞台は2054年。ミッキー・バーンズ(ロバート・パティンソン)は未開の惑星“ニヴルヘイム”の氷河の亀裂の下で目を覚ます。落下して即死するはずだった彼だが、奇跡的に一命を取り留めていたのだ。地球からの友人であるティモ(スティーヴン・ユアン)は、ミッキーが携帯していた火炎放射器を回収すると、彼をその場に置き去りにする。
「お前は死んでも生き返るだろ。死ぬのってどんな感じだ?」
数年前、ミッキーはティモの口車に乗り、地球で悪質な高利貸しのダリウス・ブランクから借金をしてマカロン店の事業を始めるも、すぐに経営破綻していた。借金返済の目処が立たず、ダリウスから命を狙われる状況から脱出する為、ミッキーは政治家ケネス・マーシャル(マーク・ラファロ)が主導する宇宙開発計画の乗組員に志願する。
しかし、事前に募集書類をよく読まなかったミッキーの志願した先は、“エクスペンダブル(使い捨て要員)”だった。それは、人体の複製装置によって事前に身体情報や記憶のバックアップを取られ、任務中に死亡した場合、記憶を引き継いで“新しい自分が複製(プリンティング)される”というものだった。
そこからのミッキーは、宇宙船の修理だと騙されて宇宙空間の放射線量調査に駆り出されたり、未開の惑星での細菌感染リスク確認とワクチン開発のモルモットにされたりと、散々な目に遭ってきた。そして、現在存在しているのは17代目のミッキー、“ミッキー17”である。
しかし、ミッキーには宇宙船で出逢った恋人のナーシャ(ナオミ・アッキー)がおり、彼女と過ごす日々が支えとなっていた。
ワクチン開発に成功し、仲間達と共に惑星探索を開始したミッキーは、氷河の下にある空洞で、未知の生物“クリーパー”の襲撃を受ける。銃で応戦する中、仲間の1人であるレッド・ヘアーが氷塊の下敷きになって死亡してしまう。使い捨てでありながら、仲間を犠牲に生還したミッキーをマーシャルは叱りつけ、単独でのクリーパー捕獲を命じる。
再び調査に乗り出したミッキーは、冒頭の氷河の亀裂の下に落下し、クリーパーの中でも一際大きな“クイーンクリーパー”に襲われると思い、死を覚悟した。しかし、クリーパー達はミッキーを担ぎ上げ、氷河の上へと連れて行き送り出したのだ。
再び生還したミッキーは、ふらつく足取りで宇宙船へと帰還し、自室のベッドに倒れ込む。すると、隣にはミッキーの死を確信してリプリントされていた別のミッキーが眠っていた。
かつて、地球で複製技術を悪用し、連続殺人のアリバイ工作の為、同じ人間が複数存在するという事件があった。以降、同じ人間が2人以上存在する事は御法度とされ、最悪の場合全員が殺処分されてしまう。
心の優しいミッキー17に対して、新しく複製されたミッキー18は気性が荒く、反骨精神の強い存在だった。これまでも、代によって泣き虫のミッキーが居たり、知能レベルが低いミッキーが居たりしたが、ミッキー18はその中でも極めて異質だった。
ミッキー18は、自分が殺処分されるのを恐れ、ミッキー17を容赦なく溶鉱炉に突き落として始末しようとする。
しかし、ミッキー17は「協力しよう!これからは食事も半分だが、仕事も半分だ。奇数の僕は奇数の代の、偶数の君は偶数の代にリプリントされれば良い!」
偶然によって、2人に増えたミッキー。やがて彼らはマーシャル達権力者による搾取構造に反旗を翻すことになる。
【感想】
私は、『半地下の家族』をその年のベスト映画に選ぶくらい、監督の前作が大好きであり、未見だがこれまでのキャリアにおいて『グエムル-漢江の怪物-』(2006)でモンスター・パニック、『スノーピアサー』(2013)で権力への反逆を描いてきたポン監督が、これまでの集大成とも言える題材を監督すると知って、本作の公開を心待ちにしてきた。
実際に本作を鑑賞してみて、私が抱いた率直な感想は「なろう小説みたい」だった。
設定からキャラクター描写に至るまで、あらゆる要素が実に日本のライトノベル的な印象を受けるものだった。
特に、ナーシャがミッキーに惹かれる要素が全く描写されておらず(ミッキーが惹かれるのは分かるが)、『出会って4秒で合体』レベルの出会って即SEXというのはどうなのだろうか?ライトノベルどころか、エロ漫画の展開である。
ましてや、ミッキーと違いナーシャは宇宙船の警備官であり、所謂イケてる女子である。そんな彼女が、何の取り柄もないミッキーを選ぶ理由が理解出来ないのだ(最近、半年間片思いしていた女性にフラれたので、余計に魅力のない人間が選ばれる展開に嫌悪感があります。ご了承ください)。
キャラクター描写も、皆どれも日本の漫画・アニメ的な“取ってつけた感”が強く、そうした“作り物感”が作品への没入感を阻害していた。
特に、ヴィランにあたるマーシャル夫妻が、ブラックコメディとはいえあまりにも幼稚で愚かしく、「何でこれで政治家(2回落選しているとはいえ)や植民星計画の主導者になれたの?」という印象が強かった。その為、ミッキー達が反旗を翻すクライマックスの展開、特にミッキー18がマーシャルを殴りつけるシーンにカタルシスが感じられなかった。
搾取構造をより際立たせる意味でも、彼らはもっと恐怖心を与える、観客の怒りを蓄積させる悪辣さがあっても良かったと思う。
最も問題あるキャラクターは、カイ・キャッツだ。知らなかったとはいえ、ベイビークリーパーを警備官らと共に銃殺し、ラストで亡くなったはずのレッド・ヘアーをちゃっかりとリプリント(ミッキーのように奇跡的に助かっていた可能性はあるが、そうした描写は皆無)して幸せそうにしている様子には、「どうせ複製装置を爆破するなら、破壊する前に死んだ恋人作っちゃえ」的なノリの軽さ、「ハッピーエンドだから良いよね?」的な製作側のノリの軽さが感じられ、嫌悪感を覚えた。
「何だ!?別れる前にもう一回ヤッとけ的なアレか!?(俺、フラれたばっか!あと童貞!)」と思わずにはいられなかった。
但し、演じたアナマリア・ヴァルトロメイは美しく魅力的な女優だと思った。
そんな本作において、最も愛すべきキャラクターは、クリーパーだろう。特に、ベイビークリーパーの可愛さは格別。まるで『風の谷のナウシカ』(1984)の王蟲(オーム)のような見た目をしており、高い知能を持ち、翻訳機による意思疎通も可能。種は母親であるクイーンクリーパーを頂点に、成獣のジュニアクリーパー、産まれて間もないベイビークリーパーで構成されている。
監督曰く、様々な作品から着想を得ており(勿論、日本のアニメ作品からの影響も)、その発端はクロワッサンとのこと。
ともすれば、監督は彼女らを描く事こそが、本作を手掛けた最大の目的だったのではないかと思える。そのモンスター描写への情熱は、まるでギレルモ・デル・トロ監督作品を観ているかのような感覚だった。
ロバート・パティンソンの熱演は素晴らしく、特に心優しいミッキー17と気性の荒いミッキー18の演じ分け、表情や仕草の違いは本作の白眉。
マーク・ラファロによるケネス・マーシャルのボンクラぶりも、彼がMCUでブルース・バナーという優秀な科学者を演じており、そちらのイメージが強く擦り込まれているからこそのギャップはある。
また、監督は『半地下の家族』でも、ラストで観客へのメッセージを発信していたが、本作でもラストのミッキーの台詞にそれが表れている。
「幸せになっても良いんだ」
それは、搾取構造で成り立つ現代社会を生きる我々に向けた、希望ある真っ当なメッセージだろう。しかし、このメッセージをより一層引き立たせる意味でも、やはりマーシャル夫妻の搾取はより悪辣的、現実的な恐怖心を想起させるものにすべきだったように思う。
【考察】
本作最大の魅力は、複製されたミッキーの代毎の特性の違いについてだ。
好戦的で気性の荒いミッキー18(ナーシャの言葉を借りるなら“ハバネロ・ミッキー”)は、特に他のミッキーとの違いが顕著で、突然変異とも呼べる存在だった。
これまでにも、泣き虫のミッキーが居たり、知能レベルが低いミッキーが居たりというのは、まるでミッキー・バーンズという個人の持つ様々な感情を切り取り、誇張したかのよう。
では、何故ミッキー18があそこまで好戦的な性格なのか。ミッキーは、死亡する毎に記憶を引き継いでリプリントされる。つまり、これまでのミッキーが抱えていたであろう、理不尽に対する怒りや、権力による搾取構造への反骨心が彼の中には無意識のうちに蓄積されていたはずで、その結晶があのミッキー18なのではないかと思った。
【総評】
人体複製というSF設定、クリーパーという魅力的なモンスターの存在から、SFモンスター映画としての魅力は持っている。しかし、予告編でも強調されていた「搾取への抵抗」、キャッチコピーの「逆襲エンターテイメント」としての側面は弱く感じられた。
また、やはりライトノベル的な印象は常について回るので、前作のような名作を期待する事なく、軽い気持ちで適度にライドしながら鑑賞するのがベストなのだろう。
あっという間だったなー。
楽しめるナンセンスSF
クーパーが可愛く思えてきた
ポン・ジュノ監督の最新作ということで鑑賞。結果、面白かった。2時間が短く感じて爽快な気持ちになった。悪役のクズっぷりは見事だしクーパーは最初気持ち悪く感じたが最後の方は可愛く思えてきた。期待以上にロバート・パティンソンが2役を上手く演じていた。BATMANから良い演技をしている。今後も期待!
死んだことないから分からないが、痛そうだし苦しそうでヤだ
ポン・ジュノ監督のセンスとユーモアに脱帽
最近は予告編詐欺も多く
いい意味でも悪い意味でも
予告編でイメージしていたのと全然違った、という作品が多いですが、
本作は予告編で描いたイメージ通り。
そして期待値を大きく上回って来ました。
脚本、演出、キャスト、衣装や美術などのデザイン
どれも監督のこだわりが感じられ全シーンニヤッとさせられます。
非常に丁寧に作られた作品だと思いました。
中だるみするところがまったくなかったなぁ。
大筋のストーリーはシリアスなのですが
コミカルな演技と演出で、感情移入しやすくなっている。
この演出は監督の持ち味ですね。
主演のロバート・パティンソン
バットマンのあの暗い印象が強かったので
こんなに愛嬌のある役も似合うとは、さらに驚き。
★4となっていますが、リアル採点は3.8です。
地味なSF映画
社会派SF
移住計画を成功させるために
何度も死んで生き返る男の話。
面白そうな設定と
主演と監督のネームバリューで
観ずにはいられませんでした。
植民地、先住民へ行ってきた人間の黒歴史を
惑星探索になぞらえて描いてました。
あとは監督ならではの欧米人への偏見みたいなのも
なんかちらついてた気もします。
テーマは分かりやすくてよかったです。
ただ個人的には、何度も生き返るという設定が
うまく活かせてなかったような気がします。
序盤のわくわく感が終盤に行くにつれて
どんどんなくなっていったのが残念です。
ストーリーも単純と言えば単純。意外と王道。
とは言え俳優陣がとても良かったです。
まず、今までクール系のイメージしかなかった
ロバートのおちゃめでドジな役が新鮮。
ラファロ、スティーブのクソ野郎っぷりは最高。
カイ役の人、あまり知らないですがかわいい。
ということでキャラはみんな尖ってるのも
今作の魅力だと思います。普通の人がいない笑
トンデモSF、の体をとって 何重にも人間の本質やあり方 テクノロジ...
完全コピーのはずなのに....性格が違うって??
大阪万博で3Dプリンタで作る培養肉
死んだら新しい肉体に記憶をコピーして復活する話です。
倫理的なルールでプリント人間は1人という設定。
惑星移住の宇宙船なので死んだら代わりがいない状態。
なので危険な仕事のためプリント人間が必要になる。
新しい惑星では酸素濃度やウイルスなどのため、
プリント人間が何回も死ぬことで環境に適応します。
劇中では人間がプリンタと呼ばれる機械から出てきます。
大阪万博では3Dプリンタで作る培養肉があるらしいです。
反対派もいるらしいですが私は興味があります。
100年前からハムベーコンソーセージを食べる国はガンの発生が50倍高い。
今の肉はぜんぶ成長ホルモンと抗生物質が大量です。
日本生まれの培養肉には期待しています。
なので劇中でも賛否があるプリンタ人間ですが私は賛成派です。
観せ方はよかったと思うんだけどな
面白い!けど色々と雑かもしれない。
個人的に見てて面白かった。格差社会への風刺や、エクスペンダブルや世界観の設定がかなり好みでした。よくあるSF作品といわれればそれまでですが、だからこそ無難で面白い。音楽がとても良く、SFによくある壮大なオーケストラではなく、どこかロマンチックというかオシャレなんですよね。あと体位が伏線になっていたのは笑いました。あとトニコレットの十八番のリアクション芸が見れたのも満足。
ただ一方で粗い作品といえるかもしれません。
全体的にキャラがふわふわしてるというか、
安定してない。例えばミッキー18、今までのミッキーの中で1番イカれてるという設定なのですが、イカれてるのは最初だけでだんだんと物分かりが良くなっておとなしくなり、パッとしない感じになってしまいました。ケネス達に捕まった時に暴れてたり暴言吐くなりしてイカれ具合というか凶暴性とかを出して欲しかったなという印象。この役をナーシャがやっちゃったから残念。まあ最後かっこよかったけども。
あとカイがいるのかなぁと思いました。ただミッキーと浮気しそうになっただけで、そこから出番はほぼ無く、いなくても良かったような気がします。あと翻訳機が急に出てくるのも都合良すぎ?カタルシスも少なくて、最後の展開も少し盛り上がりにかけた気がします。あと長かったです。もう少し展開を短くしても問題なかったような気がします。特にベッドシーン。もうちょっと減らしてもいいのでは。
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