「それでいいんか、とは思う」ミッキー17 sumiさんの映画レビュー(感想・評価)
それでいいんか、とは思う
「TENET」でロバート・パティンソン氏を知り、過去も含め出演作を観てきましたが、やっぱりすごい!
17と18は全く同じ容姿なのに、見分けるのが全然苦じゃないくらい顔が違う。
生い立ちから考えると、17のようなちょっと気弱で、人生に疲れてて、常に周りの顔色を窺っているような性格が基本のミッキーだと思うけど、18のハバネロミッキーはどういう変異だったんだろうか。
ちょっとうざい個体もいたようなので、せっかく複製(リプリント)という設定があるならそういうとこも観たかったな。
18は最後自爆しますが、「TENET」のニールといい、こういう役が似合う!
もう少し18の心境の変化を描いてほしかったところでもあるけど、これ以上長くなったら逆に無理かもしれないなと思いました。
最終的には教祖たる夫婦をやっつけて、リプリントは禁止され、先住民とも仲良くなってハッピーエンド!なわけですが、個人的にはそれでいいんか?っていう。
というのも、教祖様に従っていたとはいえひたすらリプリントを繰り返して、ミッキーを酷使していたわけですが、そのへんの科学者や職員たちには何もなく。
「何分後に皮膚が焼け爛れ、
何分後に失明し、何分後に死ぬのか知りたい」
ミッキーの手がちぎれても、笑いながら「おいおい見たか?」なんて話してるシーンもあったけど、これも相当、気持ち悪い。
誰もが「死ぬってどういう感じ?」とミッキーに聞く。
それが気になるのは分かる。
でも自分ではやらない。だって怖いから。
それが何故、ミッキーに当てはまらないと思うのか。
リプリント装置をミッキーに爆破させて、よかったね、なんて周りが笑っている気持ち悪さ。
それを使ってミッキーを量産していた人たちが何を言ってるんだ。
少なくとも劇中では何の葛藤もしてなかったくせに。
気になるならリプリントされてみたら、と言わないミッキーは優しいですね。
どうせ悪がやっつけられるなら、船員ともども船自体の爆破くらいまでやってほしかったな〜なんて思う自分もいますが、ミッキーの性格からしてもそれはしなさそうなので、これはこれで良かったのかも。