「身を任せ執り成す生存術」ミッキー17 うぐいすさんの映画レビュー(感想・評価)
身を任せ執り成す生存術
命で支払わせるタイプの借金取りから逃げようと星間移民団入りを目指したミッキーが、搭乗権を得るために飛びついた仕事もまた…という物語。
事前の盛り上がりを見て、期待しすぎてしまったかなぁ、という印象。
映像や世界観づくりに手が込んでいるのはわかるし、現代社会や人類史に対する皮肉も伝わる。だが、どうにもSF設定や18番目のミッキーの行動が、『階層社会の中で生きるために尊厳を切り売りする主人公が、自尊心を取り戻し藻掻いていく』というお馴染みのプロットに対して、平易な舞台装置に留まっているように見えて有機的なものを感じなかった。
『パラサイト』が過激な選択やビターな終わり方をしたので、今回は調和とハッピー感を目指したのだろうか。ぐいぐい切り拓くヒーロー的な主人公ではなく、潤滑剤系の主人公という意味では新しいのかも知れないが。
クタクタになったりオラオラしたりするロバート・パティンソン氏は新鮮で、近年の賞レースの常連達の揃い踏みも見応えがあった。
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