「ヒトや命の本質は」ミッキー17 かばこさんの映画レビュー(感想・評価)
ヒトや命の本質は
「月に囚われた男」(良かった)みたいな話かと思ったら、もっと人や命の本質を、大変俗っぽく問うような話だった。
肉体成分と記憶が引き継がれれば、それは「生き続けている」ことになるのか?
映画を見ている間ずっと疑問に思っていた。
素材が粗悪だからか、ニンゲンは常に同じではないからか、性格が全く違うコピーが出来るのが面白い。
エクスペンタブルは使い捨て、かつ何度でもリサイクル利用可なコスパ無限大のお得な資材で、サインした瞬間から「ヒト」の扱いしなくてよいと見做されるよう。
苦しみながら死んでも死んでもまた生き返って終わることがない。苦しみの記憶は積み重なるばかり。まさに六道の地獄道にいる。
自死は、試みたところでまた再生されるので無駄なこと。こんな恐ろしいことはない。
よく発狂しないな、と感心したが、ミッキーは、子供時代の取り返しのつかない「ミス」で、ずっと自分を責め続けており、罰を受けていると思っているからある意味大丈夫なよう。自分に自信がない、というか自分を嫌っているのでどこか投げやりだしティモみたいなクズに利用され続けても唯一の友達だからと従ってしまうし、エクスペンタブルのような想像を絶する地獄道の仕事にも契約書を読まずにサインしてしまう。
優しいというよりセルフネグレクトで自分に構わないからだと思う。
自ら人を傷つけたりは発想もないので、だからやたらにモテるんだろうか、ちょっとイケメンだしね
私の性質はどちらかというとミッキー17のようなところがあるので、「ボタンを押しちゃった」という17に、「アレは車が欠陥品だったんだ」とさらっという18のように「生きる意志」を持って、自分を支援しつつ大事にしていきたいと思いました。
王蟲みたいなアレとか、17と18の戦闘服(?)とか、ナウシカ風
ケネスとイルファのイカれた敵役が笑えるほど嫌な夫婦で、彼らとエクスペンタブルに良識をもって反対する人たちも描かれており、よくできていると思う。
独裁者夫婦をやっつけたと思ったら、まだ後があるひねりは、ポン・ジュノらしいかと思った。
ハッピーエンドのようだけど、18は明らかに17とは別人でしたよね。独自の感情があります。彼の死は、17がいようとも、ひとつのいのちの「死」だったと思います。
ツッコミどころは多々あるが、独創的なところはよかったと思いました。
かぼさん
色々と粗雑なので、メモリの劣化か再生時のバグもあるだろうし、なんか逆に「全然違うコピー」ができちゃったのがリアルなようにも思えました。ヒトへの尊厳とか本質を云々はとりあえず横において、現場の目先のことに追われて右往左往する人々の身も蓋もない描き方が、韓国映画っぽい感じもしました。
死んでないミッキーの記憶しかメモリーに無い筈なので、17と18の差は再生時のバグか、メモリーの劣化によるものかなぁと。
後、きっと保険で搭乗員全員のメモリーありますよね。
それで定期的に全員上書きしてると思うんだけど。
その方が合理的じゃないかとか、思いました。
違うかなあー
併存して欲しかったですね〜〜〜。
ハッピーエンドですよ併存は…。
オリジナルミッキーが、ちょっと思考力不足な所あったから、18はサイコパスになったところで、「これ俺を爆発させるのが一番確実だな」みたいな、そういう思考パターンだったんじゃないかな…と思うと単純というか単細胞的というか…愛しくて哀しいです。
細胞なのかDNAなのか、17には数時間ながら“体験”があり、18には“情報”しかなかったのかな、なんて思います。
だから事故のことも命の扱いに対しても、17より客観的に見られるのかも。
もしそうなら、17になっても薄まり切れない罪悪感は1の時はいかばかりだったやら…
コメントありがとうございます。
再生されると解ってるから恐怖心も無く、なんか卑屈になるんですかね。重複禁止だと両者うろたえていた様で、完全消滅はやはり怖いんでしょうか。
共感ありがとうございます。
借金があるならある時点で解放されそうなもんですが、抜け出せない格差がある様でこの辺は監督の視点ですよね。
悪の複製のイメージ?同性の彼女の復活からも、いずれ起こり得るって事なんですかね。新リーダー誕生、ちょっとうすら寒い感でした。
オイラの見識を高尚にしたのが、かばこさんのレビューです。毎度頭が下がります。
再生可能としても死が繰りかえされると、エンドルフィン(脳内麻薬)の枯渇で、ミッキー3、4あたりで廃人です。使い物にならない。とても17までいけませんわな。