「さすがポン・ジュノ監督作品!見応えのあるブラックユーモア映画の誕生です♪」ミッキー17 ななやおさんの映画レビュー(感想・評価)
さすがポン・ジュノ監督作品!見応えのあるブラックユーモア映画の誕生です♪
ポン・ジュノ監督のアカデミー賞受賞作「パラサイト 半地下の家族」をはじめて観たときは、度肝を抜かれました。アジア圏初めての受賞作品がこの作品だったのも納得でした。この監督の描く人間はどこか愚かで、どこか小賢しく、けれどなぜか憎めない。
今作品もポン・ジュノ監督のどこまでも深い人間観察力が否応なく発揮されています。楽して仕事が得たいと考えた主人公のミッキーや権力を手に入れて万人から称賛されたいと願うボス夫婦などあからさまに愚かしい人間がストレートに描かれています。その中で、一見優等生にも見えるミッキーの彼女ナーシャでさえ、ミッキーが2人になった時、2人から愛されたいという素直な己の欲望を露わにするのです。思うにこの監督の作品に登場する人物はみな己の欲望に素直なのだ。誰しもが心の奥底にしまい込んでいる密やかな欲望ーそれを叶えた人がどんな人生を送るのか観客は遠目から俯瞰して観察することができるのです。自己満足だけの権力を手に入れても愚かなラストを迎えるだけだ。何度も生き返るなんて愚の骨頂!一度きりの人生だと思うから今を大切にできるんだよ、などなど反面教師による教訓を得ることになる。
同時にこの映画には、人間社会の環境に対するエゴを批判する内容も含まれている。終盤のストーリーは風の谷のナウシカを思わせる王蟲もどきの先住民との抗争になるのだが、ここがもう少し違う終着点だったら私はもっと好きだったかもしれない。なぜなら簡単に予想ができてしまったから😅そこからのラストも結構長いです。ナーシャ、ナーシャ、ナーシャってかんじ😊なんせ137分なんで、見応えは十分です!!
毎回思うのですが、過剰な宣伝が逆に評価を悪くしてしまう映画をたまに見かけますが、この作品もそれですかね。もったいない。確かな実績のある監督作品ですから、宣伝したくなるのも分かりますが、ひとり歩きする宣伝文句に踊らされないようにしましょう。常にニュートラルな気持ちで鑑賞するのが吉でございます♪