「何度でも死ねるブラックな仕事に就きました。」ミッキー17 ratienさんの映画レビュー(感想・評価)
何度でも死ねるブラックな仕事に就きました。
ポン・ジュノ監督お得意の独特な世界観の作品。
ある移民星で使い捨てとして仕事をこなしている。自分が死んでも、蓄積されたデータから新たな肉体として蘇る、ある意味、不老不死状態。17人目が死んだと思われ、18人目を生成したところに帰って来たため、同時に2人が存在することになってしまった。
【ネタバレ】
突拍子もない話ではあるが、その世界は独裁者によって支配された空間であった。この独裁者夫婦がとんでもないクズ野郎でイライラのしっぱなし。あんまり、賢そうでもないのに、何故上にいるって感じの夫婦だった。
それ故に、やられた時は、ホンっとスッキリでした。
何度も死に続ける彼と、一緒にいる女性もどうなんだろう?2人になった時の半端ない歓び様は、ちょっと引く感じもしましたが、クライマックスでの大活躍、そしてラストでは指導者となって、この世界を引っ張っていくんだろうなって逞しさを見せ付けられました。
「風の谷のナウシカ」に出てくるオウムみたいなまる虫の生き物。その風貌から、下等な動物として見られるんですが、実は知能も高い、まさにこの星の先住民族だった。彼らとの繋がりが、またこの星の未来を明るいものにするんだろうなって、希望に満ちた展開で楽しませてもらいました。
存在し得ない2人が、互いの存続をかけて争う話を想像していたんだけど、とんでもない。もっと奥深い生命について考えさせられる良い映画でした。ところどころユーモアも交えながらの2時間半、十分に楽しませてくれる一本です。
共感ありがとうございます。
ポンジュノ監督のハリウッド作品はいずれもSFで設定がぶっ飛び過ぎてる印象です。この人の作風は日常の崩壊、小さな違和感が膨れ上がる描写だと思うんですがね。