「ポン・ジュノ うまいな」ミッキー17 CR7さんの映画レビュー(感想・評価)
ポン・ジュノ うまいな
ポン・ジュノ、やっぱスゴイ。過去作はクオリティの高い作品ばかりだし、本作も期待を裏切らずに良い作品だった。
本作はブラックコメディを背景としなからも、生命を軽視する人の業や愚かさを詳らかに見せている。「命を大切しろ」というお説教ではなしに、コメディとSFの突飛な発想で見るものを物語に引き込み、暗く冷たい人の冷酷さを痛切に見せつける。
何度も死んでは生まれ変わるミッキーの過酷な様子は、システムの中で緩慢に毒物を与えられ搾取され続ける現代人の戯画化のようにも見える。
クリーパーの虐殺は、西欧人による北米のインディアンやバッファローの大量殺戮、南米の先住民の虐殺、アフリカ黒人の奴隷的搾取を思い起こさせる。
他者の痛みに対する無感覚と冷酷さは、この社会をとても醜く苦しいものにしている。
テーマが深遠でありながら、誇張したSF的設定とキャラ立ちで映画としてもとても面白く、ポン・ジュノうまいなーと感心しきり。
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