「高度化されたVFXで磨き抜かれたB級SF映画」ミッキー17 おひさまマジックさんの映画レビュー(感想・評価)
高度化されたVFXで磨き抜かれたB級SF映画
グロテスクな風刺と見るか、単純なおバカ映画と見るか、いかにも悩ましいところだし、いずれの要素もきっとあるのだろうが…結論、タイトルの感想に落ち着いたところだ。
まあ、何というかコノ後味の悪さたるや久々だ。SF映画ファンの私でコレだもの、SF苦手な人が大作と勘違いして見てしまうと…ああ恐ろしい(^_^;)
誤解なきよう、映画として面白いか面白くないかで言うと多分面白いのだ。しかし作中に貫かれる人間社会の風刺の副作用なのか、映像の気色悪さのせいか分からないが、観賞後の食事はあまり美味しくならないことだけは確実と断言しておきたい。
唯一の良質スパイスは、ラストシーン。17番目のクローンミッキーが番号でなく名前を得て、おそらくは子を授かりなどして惑星での新たな人間ムラの発展の礎となるであろう予感が描かれる。
死を自覚するから、それを忌避し恐れるのか。
死を自覚するから、それを覚悟し生を活かすのか。
クローン技術など使わずとも、人間は命を繋いでいける。今ここにいる私たち自身の存在がその証拠だ。ほとんどの日本人は幕末くらいまでしか家系をたどれないはずだが、確実に戦国時代、平安、いや縄文、いや類人猿はたまたその昔から、繋いできたのが私たち自身だ。(おやおや?公開前のアノ作品の前振りのようだ??)
エンドロール中にそんな妄想に浸っていたら、作中に出てきたバカ讃美歌がまた流れてきてブチ壊してくれた。
やっぱりコレはB級映画。
劇場で見るまでもなかったかな。