「悪魔のシスターの呪職」死霊館のシスター 呪いの秘密 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
悪魔のシスターの呪職
“死霊館ユニバース”通算9作目。
2013年にスタートして以来、本家やらスピンオフやらコンスタントに作られ続けているが、ランダムに時系列もバラバラで、時々今回は何だっけ?…とも。
今回は悪魔の激怖シスター“ヴァラク”のスピンオフ第2弾。
実話ベースでじわじわ恐怖を煽る本家に対し、ヴァラクさん(アナベルちゃんもだけど)は創作で視覚的な恐怖演出。
顔面凶器なのだからその売りでやるのは悪くないんだけど、前作は全体的にホラー・アトラクション風で、エンタメとしては面白いが、氾濫するB級ホラーの類いになってしまったのが惜しい所。
さて、今回は…?
今回も“期待通り”のヴァラクさん。
暗闇の中や背後に。少し離れた所に。何だか前作以上に出たがり。
突然大音響と共に、ワッ!…と。サービス精神もたっぷり。
壁に貼られた本がパラパラめくり、やがてそれがヴァラクの姿を形作るシーンは秀逸。
クライマックスは悪魔と言うよりもはやモンスター級のインパクト。超能“魔”力で主人公たちを襲撃するド派手さと荒業。
メチャクチャ怖いってほどじゃないけど、何だかんだ怖楽しませてくれるヴァラクさん。
話は…
1956年。フランスのとある教会で神父の謎の怪死事件。それをきっかけにヨーロッパ各地で同様の怪死事件が頻発する。
全ての発端はあのルーマニアの修道院での事件。そこで“悪魔”と対峙したシスター・アイリーンに再び調査依頼が…。
調査の過程である寄宿学校に辿り着く。そこには前回共にヴァラクと対峙したモリースがいた…。
前作からの直接的な続編と言うより、別場所で起きた事件。
でも前作の事件について触れられ、アイリーンやモリースも続投。
アイリーンの特殊能力って何だっけ…?
モリースって誰だっけ…?
前作はもう5年前で、その間“アナベル3”や“本家3”が挟み、ちとド忘れ…。見ていく内に少しずつ思い出してきたけど。
ルーマニアでの経験が見込まれて、枢機卿や教会から直々に調査を依頼され、すっかり“修道女探偵”に。とは言え前回はバーク神父がいたが、今回は一人で。
そのバーク神父、(コレラで)死んだという事になっていてびっくり! しかも台詞でたった一言。お払い箱かよ!
同じ修道院のシスター・デブラが同行。修道院でも問題児で、パートナーと言うより勝手に連いてきて…。
モリースも思い出した。前回の案内人。
前作のラストでヴァラクに取り憑かれ…。
その後どうなった…?
寄宿学校で雑用の仕事。教師である母親、いじめを受けているその娘と交流を深めている。
娘は時折ヴァラクの存在を見る。
モリースも時々異変。ヴァラクが…。
各地であった怪死事件。いずれにもモリースが使用人としていた。
彼が事件を起こしている…いや、彼に取り憑いたヴァラクによって起こされている。
アイリーンにとってモリースは命の恩人。
アイリーンはある時夢の中でモリースから助けを求められる。
彼が助けを求めている…。彼を助けたい…。
が、ヴァラクは必ず倒さなければならない。取り憑いた人間すら犠牲にしてまで…。
そんな二人の再会。
モリースの苦しみ。
仄かに進展を思わせるモリースと母娘。
ヴァラクはモリースを操って“何か”を探している。
その“何か”とは…?
アイリーンはモリースを救う事が出来るか…?
再びの対峙。今度こそ、ヴァラクを葬り去る事が出来るか…?
正直前作はユニバースの中でもビミョーな方。
今回もシスター・デブラの存在がビミョーだったり(ポリコレ枠…?)、結局ラストはホラー映画と言うよりアクション&モンスターのアトラクション風になったりと、ユニバースの中で特別いいってほどじゃないが、全体的な雰囲気や恐怖演出も話の面白さもドラマ性も前作より向上。
呪いを増し、きっちり聖職ならぬ“呪職”をこなしてくれた悪魔のシスター、ヴァラクさん。
ラスト、一応は決着。
が、EDオマケ映像であの夫妻登場。
“本家2”とのリンクらしく、つまりヴァラクは…。
ヴァラクの呪いは続く…。
“死霊館ユニバース”の恐怖も続く…。