バービーのレビュー・感想・評価
全499件中、201~220件目を表示
風刺が満載
バービーをネタにこんな話が語られるとは。
コメディなのかと思いきや、結構社会派な本作。
なかなか深いテーマだった。
バービーというおもちゃが世に生まれ、バービー自体は変わらないものの、それを取り巻く環境が変わっていく。そして、変わっていく価値観の中で、その本質さえも問われていく。
冷静に考えると結構な理不尽だ。
バービーが時代錯誤なのか、それともただの言い掛かりなのか。時代にそぐわないと言えばそれまでだけど、その本質さえ歪めていくのは第三者だ。
声高に主張するその声に、つい耳を傾け同調してしまう。自分自身、洗脳されてしまうから自ずと「自分」がわからなくなる。その時々の価値観に揺さぶられる自我ってのが厄介極まりなく、自分を見失うのも必然かと思われる。
風刺のキツいネタをサラッと見せる脚本も演出も優秀で、架空の世界を維持する美術も照明も色彩もいい仕事してくれてた。
冒頭、全員がバービーなのに強烈な違和感。
いや、恐怖さえ抱く。
全く違う個性なのに平等である事を強いられてるような感じだ。個性を尊重するも個別化されない環境とでも言うのだろうか…正直、不気味だ。
バービーランドが実在してて、人間界と行き来きできちゃうのは良く分からんのだが、ケンズキングダムだかなんだかを奪い返すにあたり、男性を観察する女性目線の的確な事ってったらない。
めちゃくちゃ思い当たる節がある。
話は逸れるが「民主主義は金権主義に簡単に変わる」とかなんとかって台詞もイカしてる。
民の頭の中…本作で言う男社会の大多数が「金」を中心に思考を巡らすからなのだけれども。
その社会の覇権を奪還しようとするバービー達が、ケンにするアプローチがまた適切で…ここの件は好きだなあ。
洗脳されてるバービー達にも、注目してしまう。
女性の社会進出が推奨される昨今ではあるものの、男性と同等の事をやらねばならないってのは、やはり男性社会に進出するからであり…女性にとって、本当の意味での社会進出はまだ成し遂げられてはいないのだろうなぁとボンヤリ思う。
バービーも本来の役割以外の事を付加されていってるような気がしてならない。
多様性と一括りにするのは簡単だけど、その多様性を全てにおいて適応するには無理があって…差別は論外だけど区別はせねばならないと思われる。
まだまだ社会は混迷しているのだろう。
そんな社会に対する問題提起と、無個性や普通は欠点などではなく可能性の塊であると訴える本作であった。
むしろ無個性なんてのは便宜上存在するだけで、実際には存在しないと言わんばかりだ。
結局のところ、自分の行動は自分にとっては普通にやってしまう事なので、それが他者からみてどんなに優れた一面であっても自分では気付きにくい。
自我の確立とは、他人からの干渉を受けつつ形成されるものみたいなので、己に問うだけでは見つけられないものなのかもしれない。
ラストの婦人科も、自分を知る為の一歩なのだろうなぁ。オチとしては捻りが効いてた。
にしても、バービー自体に歴史があるからこそ、そんな多様な価値観を押し付けられてきたんだろうなぁとは思う。バービー側からすると要求なのかクレームなのか微妙なとこだろうなぁと。
クレームが起点だとするのなら…こんなネタでこんな社会派な映画まで撮れてしまう社会の行く末がソラ恐ろしいのである。
まぁ、差別の歴史が色濃く残る国だから、そんなものが反映されてしまうのも無理はないんだろうなぁ。
単なるルッキズムの象徴では無い。Barbieを通して監督の言いたかった事。
先ず前提として大変に楽しく愉快に観終わった事だけは強調しておきます。
特に冒頭の2001年宇宙の旅のパロディや、マテル社CEOや重役たちのドジなマトリックスのエージェント的ポンコツぶり、ビーチで争うケンたちのまるでジェット団vsシャーク団の様なダサいミュージカル群舞、には笑いを堪えるのに必死でした。思想やテーマなんて深く考えずに単純にブラックユーモア溢れるコメディ映画としてだけでも十分に楽しむことが出来ます。
その上で種々論じられているフェミニズム臭や女性優位の強烈さと言う点の個人的考察ですが、私が理解した範囲では、第一波から四波に至ると言われてるフェミニズム史の要素を全てバービーランドとバービー達の行動に詰め込む事で、
寧ろそれを強烈だと感じるその先入観、或いは感情的な思い込みを解く試みなのでは無いのかと感じました。それぞれの波で露呈してきたフェミニズムの限界や問題点や課題はブラックユーモアの中でコミカルに表現しつつ、人の有り様はもっと自然で自由でシンプルなものの筈よ、とグレタ・ガーウィグ監督は言いたかったのでは無いかなと。
だから添え物のビーチボーイケンもありのままのケンで良いし、標準バービーも大統領バービーじゃなくそのままでいい。或いは、すべからくこうあるべき論とか或いはこうあってはならない的な狭量で攻撃的なポリコレやフィルターバブル世論に振り回される必要もない。
バービーは決して単なるルッキズムの象徴なのでは無い。正しさを巡る二項対立ではなく男も女も誰もが「そのままの自分自身に戻る機会」への気づきをバービーの辿った歴史が象徴している、そんな風に読み取れました。
「今はまるでみんながきつく張ったロープの上にいて、一歩間違えば全員が粉々に崩れ落ちてしまうような世界にいる。」「努力して成し遂げるべき外見的な評価などない、そのままの自分で十分だと感じられたらいい。」
グレタ・ガーウィグ…やはりただものでは無いですね。それにしてもマーゴット・ロビーの演じたバービーの何と生き生きとしている事でしょう、彼女以外では決して成しえなかったと思えるほどにお見事でした。
※2回目を観て作品の印象と感想がかなり変わったので、レビュー後半は大幅に加筆訂正しました。
Barbie人形はよく知りませんが 大好きな俳優陣と監督さんの作品...
何かの思想?
最初は良かった。
バービーランドでかわいいピンクに囲まれたバービーたちに、曖昧な恋人?のケン。アラン。
バービー人形たちのファンタジーな世界がワクワク。
人形が人間の世界へ行って真実を知り直面して行く?
死を想像したことで人形に異変が起き、それはそのバービーで遊んだ人間の思いが人形に吹き込まれたことで起きた異変だと分かり、裂け目を閉じるためにその人間と一緒にバービーランドに戻ったら、ケンがバービーランドを支配しており、ケンVSバービーになって、何でか今度はケンVSケンになって、はぁーーーーー?!何かもう分からんってなってしまった。
途中から観るのが辛くなってきたんだけど 何回か観たら分かるんかな。
マーゴット・ロビーめちゃくちゃ可愛くてバービー人形にピッタリだったし、ライアン・ゴズリングのケンもムキムキでかっこいいと思ったけど、何でケンはあんなに影薄い設定なの?
そしてマーゴット・ロビーのバービーは最後なんで人間になるの?えー???
私に想像力がなかったのか残念な感じでよく分かりませんでした。マーゴット・ロビーは問題なしに可愛かったのでそれだけに星3です。
なかなかの珍品?
さすがインディーズ出身の
グレタ・ガーヴィック監督。
分かる人にはわかるギャグ、
ユーモアを散りばめながら
フェミニズムメッセージを
ビシッと突き刺します。
ピンク一色のカラフルな
バービーランドは、毎日ダンス&
パーティーのような夢のような街。
けれど、身体に起きたある異変を
感じたバービーは、人間社会へ。
あまりの現実世界に戸惑いながらも
バービーは大きな決心をする。
その決意とは……。
なんて話なんですが、会話が結構理屈っぽく
哲学的な要素も入ったりして、笑いとマジメの
バランスが妙な感じで、いい意味で変な、
珍しい作品だと僕は思いました。
でも考えてみると、バービーやリカちゃん人形の
世界って、今の時代から見ると不思議な気もしますよね。
面白かった。 バービーランドとリアルワールドの繋がりがよくわからな...
二者択一かアウフヘーベンするか
昔親の転勤で海外にいってたこともあって人形そのものも知っていたのですが、周りの友人から聞いて何となくみる前~最初は自己肯定感映画なのかなと思いました。
割とそうではなかった。以下はネタバレだが、以下は男女の代名詞ではなく主人公の二名をバービー、ケンとする。
現実世界に行きミソジニーにドン引きするバービーと、バービーに振り向かれず自信喪失していたが現実世界で男性活躍の可能性を信じるケン。そこでフェミニズムとミソジニーが二項対立に走る。ただ、バービー世界の女性陣が持つフェミニズムは男女平等というよりややミサンドリー的な考えの持ち主だという印象を抱いた。また、バービーの世界はフェミニズムが前提であり常識であるから、現実世界にとっては変化をもたらす存在であるが、彼女ら自身は変化(男性優位のケンランド)にたいして抗議した
面白かったのが、持ち主が現実世界で持つ女の生活の矛盾を語るところ。それは私自身が男性との関わりで感じる部分でもあった。ルッキズムから、女はこう振る舞うべきという受動的な行動規範であった。その持ち主は恐らくフェミニストだが、マーベルの社員として活躍しており、ミソジニーに偏ってしまったバービーの世界に提案を試みることろ。娘も次第に打ち解けていくようでよかったです。その人が現実世界にたいして希望を抱いていないためか、より現実的かつ悲観的(ダル着、うつ病など)なイメージを投影するバージョンを上司に提案したのも面白かった。
バービーはケンを励ましたのにも関わらず、特技がないバージョンのバービーであるため、自分を見失ってしまい、創業者に頼んで何者かになれる人間世界に送ってもらった、、?
私としては男女はお互いに影響を受けて振る舞うことは当然だと認識していたので、現実世界=性別に影響されないっていうメッセージがあまり理解ができなかった。
ちなみに同じ映画館の人がこれ日本人向けじゃないよね~って言ってて、割と日本では男女は男女意識が強く、ミソジニーが浸透しており、かつ上昇志向というよりかは周りの影響を受ける傾向にあるのかと我に返った。
確かにキャピタリズムが繁栄した、米国なんかでは、女の人も学歴があり、医師や弁護士、MBAとればキャリアも男性同様なんとかなるきはするが、そうすると最初の現実世界の描写と矛盾するしな。となるとこれはバービー自身が捉えた現実世界なの?監督が言いたいことがあまりわからなかったです。
バッティングセンターに行ったような感覚
映画は、作者が投げかけたメッセージを我々観客が受け取るキャッチボールである。それがなるべく分かりやすく行えた方が良い映画だと思っている。
しかし今回は作者がただボールを投げているだけで、読者が拾いきれない部分も大いに出てきた。そのためバッティングセンターに行っているような感覚に近い。
映画自体に退屈する箇所は全くなく、面白く視聴することはできた。バービーの本気を感じることはできたが、映画としての出来を考えた時にそこが残念に思える。
クスッと笑えるシーンや風刺的な台詞の数々は本当に秀逸だった。しかしバービーランドへの行き方や、後半部分のメッセージ等が曖昧になっている。そこをあと30分ほど尺を使って述べてくれれば、より良いものとなったかもしれない。
前半は凄いが、後半は微妙に感じた!!
出だしはバービーワールドに観客を引き込むのが本当に上手く、ハッピーな気分になりました。バービー遊びあるあるネタや自虐ネタも豊富で、これは★5間違いないと思いました。しかし、人間の母親がお弁舌を述べたあたりから雲行きが怪しくなり、感性が占めた内容は理屈っぽくなり、作り手が変わったのかと思いました。バービーは気力を失ってしまいつまらなく感じ、残念に思いました。FF6のティナを思い出しました。ハツラツとしたマーゴットにすぐ戻ってまた自信を持って解決して欲しかったですし、最後はロスに住むのではなく、人間に愛されるドールというハッピーで普遍的な締め方をして欲しかったです。マテル社の黒服たちも人数が多くて常に圧迫感があり、また爺ばかりで何か不快でした。マーゴットもゴズリングも決して若くはないですが、ドール役を違和感なくこなしていて流石でした。ゴズリングはラ・ラ・ランドで女に捨てられた意趣返しをしているように感じ、興味深かったです。プレイリストも良かったです。男性がバカっぽく描かれていますが、逆にこれくらい女性に甘えても良いのかと、「ボブという名の猫」でも感じましたが気持ちが楽になりました。
バービーの光と影をポップにしっとりと描く
人間の思いがバービーに影響を与え、バービーが人間的な感情を持ち合わせてしまったことから、人間界とバービーランドの裂け目の修復目的で人間界へ赴くバービー(と勝手について来たケン)。
2人が人間界を経験したことによりバービーランドのパワーバランスが変わり、女性優位から男性優位のケンダムランドへ、そしてラストシーンを迎える本作。
バービーランドと人間社会の2つの世界を描くことで、人形のフラットな世界観から、立体的に見えてくる面白さを描く。
人間がバービーに影響を与えるのはともかく、バービー人形が独立した考えを持ち、行動していくのは、AIバービー的で違和感を感じずにはいられないが、バービーが人間的感情を持ち合わせたら、というイフが展開されているのだと思い、大目にみたい。
盛り込むテーマや配慮すべき項目が多く、コンセプトが全体的にボヤけたしまった印象がある。
ケン役をライアンが演じるのはあまりに老けすぎているが、マーゴットロビーも年齢的には成熟しているのでなんとか許容できるキャスティングにはなっている。2人とも圧巻の演技であることに異論はないが。
ベティでお馴染み、アメリカフェレーラのポリコレ批判の長回しは、多くの女性が共感するだろうし、ある種映画の肝の部分になっているので、注目したい。
バービーランドの世界観のつくりこみはすばらしいし、愛を感じる。音楽もアイススパイス、ニッキーをはじめ、豪華女性アーティストが楽曲提供しており、聴き応え十分である。
マテル社との軋轢も多かったことが予想される本作。子供から大人まで楽しめる作品を求められ、多大なプレッシャーも多かっただろうが、見事着地させたグレタカーヴィクの力量に賞賛の拍手を送りたくなった。
えっ、面白い!
子ども騙しではない完璧な娯楽映画
オシャレでポップな自己探求
可愛い世界観!
リアルの男女の性差はもっと根深いと思うのだけど…
フェミニズムや製造元のおもちゃ会社すら揶揄しているおバカ映画と聞いてみてみた。
確かに、名作のパロディなどは、笑えるものがあった。
しかし、バービーがマテル社で逃げ惑っている時に、何故かマトリックス的に民家のキッチンにバービーが迷い込み老婆が出てくる展開には、頭の中では?しか出てこなかった。
最終的には後半で、老婆はバービーの生みの親の亡霊だとネタばらしされたが、そうすると人形の国が現実世界に介入してあーゆう展開になったのだろうか?
なんとも、ご都合主義の描きたにしか見えず、私はそこまでこの映画に入りきれなかった。
男女の性差(男は女を従えたい生き物といった描き方)も、アリーmyラブのように、現実のセクハラ訴訟や職場の問題を出された方が、何となく実感が湧くが、この映画にはそういったリアリティがなかった。
その分、見終わったあとはどうも肩透かしを食らったような感覚しか生まれなかった。
現実のジェンダー問題って、もっと複雑ですよ…。
全499件中、201~220件目を表示