劇場公開日 2023年8月11日

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「空想の世界から、後半は「女もつらいよ」の世界」バービー p.f.nagaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0空想の世界から、後半は「女もつらいよ」の世界

2025年5月5日
PCから投稿
鑑賞方法:その他

笑える

知的

国際線の映像サービスで鑑賞。
お気楽ノー天気なバービーランドの世界観から映画は始まる。でも、そこで起こったバービーの異変を追いかけて行くうちに、人生観を問われるような問題を考えさせられた。実はけっこう重いテーマを描いている映画だと思った。

具体的に出てくる問いかけは、女性の事例だけど、実は大人全体に対する問いかけでもあると思った。全く挫折することなく理想を実現することなどあり得ないのだから。誰でも、どこかで挫折したことがあるし、何かをあきらめて生きている。「こうなりたい」と努力しても、なかなか実現せず、うまく行かないことの方が多い。
そういう現実をきちんと受け止めつつ、適切な自尊心を持って生きて行くことで、「人としての魅力」がにじみ出るようになるのかもしれない。バス停でバービーが美しいと感じた老女がいた。彼女が、そういう人なのだと思った。

ラストシーンは、女性にしか体験できない幸せなことで、ハッピーエンドに感じた。でも一方で、そのことは女性が背負う宿命でもあり、「全女性が体験できるわけではない。その場合、女として生きる意味とは」なども考えさせられた。

ケンがいい味を出していると思う。「バービーの飾りのひとつ」という軽さをうまく演じていた。エピソードとしての「ケンランド」は、象徴的な意味がきちんとありながら、全体ストーリーにうまく収まりよくできていたと思う。

p.f.naga
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