劇場公開日 2023年8月11日

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「アメリカ現代女性社会の歴史はバービーの歴史」バービー かせさんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0アメリカ現代女性社会の歴史はバービーの歴史

2025年4月30日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

主演、マーゴット・ロビーとライアン・ゴスリング。

【ストーリー】
今まで製造されたすべてのバービーとその姉妹やボーイフレンドたちが暮らすバービーワールド。
その中でスタンダードタイプのバービー(マーゴット・ロビー)は、毎日ハッピーにすごしていた。
あるとき、気まぐれにきみょうな言葉が口をついた。
「毎日死ぬことばかり考える」
みなが動きを止め、彼女をみる。
あわててとりなしたバービーだが、その日以来、体に不調があらわれる。
ハイヒールをはくための足がぺったんこになり、太ももにセルライトができてしまう。
バービーはバービーランドをあとにして、リアルワールドをおとずれた。

正直ただのキッチュなコメディだと思ってました。
たとえ目の前に日焼けしてピンクの服着たライアン・ゴスリングがあらわれて、
「ヘーイきみ!バービーに興味ある?今からスクリーンにドライブしない?」
とナンパされても、
「急いでますので」
とそそくさふりきった事でしょう。
だってこの映画の彼、こわいしきもいんだもん。

見てすぐに目をうばわれるのは、徹底的に作りこまれた美術と画面。
服、髪型、小物から車、はては建物まで、カンペキにオモチャの世界を造りあげてます。
くすみのないショッキングピンクの衣装なんか、まぶたの裏に残像灼きつきそうなドギツさ。
役者も徹底的にやりまくってて、ポーズも動きも重さのないバービーのCMのよう。
バービー好きには、たまらない映画でしょう。

この映画のすぐれた部分は、ただバービー世界をカンペキに作っただけではなく、その先に価値を作った点ですね。
アメリカ人にとって、アメリカ女性にとってバービーがどういう位置を占めていたのか、といった部分をストーリーの中核とし、"バービー文化"の存在意義を徹底的に分析して語り尽くしたところ。

テーマがブレることなく、純度を高めながらラストまで一気に走りきったストーリーは、完成度だけならトイストーリーとならべても遜色のない出来でした。

かせさん
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