「日本人は的外れ」バービー 越後屋さんの映画レビュー(感想・評価)
日本人は的外れ
この作品に対する日本人の映画評も映画サイトのコメントも、殆ど勘違いしているとしか言いようがありません。
バービーというのは、アメリカ人なら誰でも何らかの思い出や同時代体験、郷愁などを想起させる国民的アイテムであって且つアメリカの文化の一つです。
つまりこの映画は、バービーのキャラクターや随所にちりばめられたオマージュやパロディに自分の体験を重ねて、つっこみながら観る作品です。だからこそエンディングで歴代バービー人形を写真付きで紹介して、アメリカ人は「あ、これウチにあった」って調子で嬉しがるワケです。
でもそれだけじゃ映画として成立しないので、女性上位のバービー界と男性上位の人間界を行ったり来たりして、最後は「バービーちゃんの勝ちー」、ってカンジでどうよ?的なノリで一丁上がり、要は、アメリカ人はストーリーなんてどうでもいいわけですね。フェミニズムとかジェンダーなんて、後付けです。
一方我が国においてはバービー人形はリカちゃん人形によって導入早々撤退したため、文化としてのバービーには触れることができないので、朝日新聞の映画評もそうであったように、この映画をフェミニズムの観点から真面目に評価することは、笑止千万だってことを、バービー文化に縁のない日本人は理解しておいた方がいいでしょう。
その意味ではYahoo映画の評価において、最低点が半数近くに上るというのは、逆説的には的を得ていると言えましょう。日本人にこの作品の面白さがわかるわけない、ということです。
例えばクレヨンしんちゃんを家族愛をテーマに実写映画化したとして、しんちゃんを全然知らない外人が家族愛についてだけを論評したら、私たちはどう思います?「お前に言われたくねーよ」でしょ。
なのでバービー文化を知らない私は、アメリカ人が無邪気に喜んで観ている、という事実に敬意を表して無条件満点とします。