「万人にお勧めはできません…」バービー かるーあさんの映画レビュー(感想・評価)
万人にお勧めはできません…
子供の頃はもっぱらリカちゃん人形で遊んでいたので正直、バービー人形のことはよく知りません。海外の人形で時折炎上しているイメージがあるくらいです。
さてこんな私が楽しめたのかというと…
意外にも楽しめました。
バービーをそこまで知らない人でも楽しめるので、バービー人形で遊んでいた人にはもっと楽しめるのではないかと思います。
まず冒頭、バービー人形の登場により子供たちが今まで遊んでいた赤ちゃん人形を地面に叩きつけるシーンで吹き出してしまいました。
キラキラな王道ファンタジーものかと思っていた私の予想を冒頭から見事に砕かれました。
そこからは風刺の効いたコメディが繰り出され、クスッとは笑えますが裏に隠されたメッセージが垣間見えてあまり笑えませんでした。
(あぁこういう主張をしたいのね)とどうしても考えさせられる描写が多く、真剣に観るか頭空っぽで楽しむかの鑑賞スタイルが定まらないまま観てしまったので何とも中途半端な気持ちで観終わりスッキリしませんでした。
後半、世間が求める女性像について捲し立てるシーンがあるのですが…こう、主張というかメッセージ性が強すぎて内心引き気味に観てしまいました。言いたいことは分かるのですが、これバービー人形でやる必要があったのでしょうか。バービーランドを楽しんでいたはずなのに、現実に一気に戻されるような感じで苦手です。
今作で一番気に入ったのはケンです。
あのキザなようなヘタレのような絶妙な顔と表情で、バービーよりもケンに目線がいってしまいました。
ケンが「らしさ」とか関係なく「ケンはケンよ」という言葉でアイデンティティを自ら確立していったので、もはやケンが主人公だったのではないかと思いました。
勿論、バービーも綺麗で可愛いです。まさに女の子の憧れというものでしょう。…あ、こういう偏見はNGでしたね、男の子の憧れでもあるでしょう。
あなたはあなた、そして何にでもなれる存在!
そんな自己肯定感を高めてくれる映画でした。
ただし子供向けではありません。大人向けかつ見る人を選ぶ作品なので万人にお勧めできないのが残念です。