「バービーの彼方へ!!」バービー redirさんの映画レビュー(感想・評価)
バービーの彼方へ!!
冒頭のシーンが強烈。たのしく人形でままごと遊びをしているように女の子たち。幸せそうには見えないが子どもにしてもう世の中こんなもんで、感じ。そこに唐突に現れた新タイプのバービー人形。屹立するバービーに旧タイプあてがわれた人形を激しくバイオレントに破壊する女の子たち。バービーの破壊力。
バービーランドではみな名前がバービーで、誰も私が私がとマウント取ったり自己主張したりしないけどみんな普通名詞バービーをみんなが固有名詞としてつかい、それぞれのバービーぶりを楽しんでいる。そこには、日本の新聞にうっかりいつものってしまうようなスーツ姿の男だけのシーンもないし、今時は新しい生活新しいテクノロジーなど気取っても、なかなかどうして、スーツではないがポロシャツにチノパンのおっさんたちが出てきちゃうの。とにかくそんなものとは無縁のバービーランド。ケンたちもみなケンだけど、マウント取り合い、なにもないところで自己主張と承認欲求、バービーたちに承認されてなんぼのケンは普通名詞ケンでしかない。
そんなこんなで、現実社会にはマテル社があり、経営人はカリカチュア化されて滑稽なおっさんたちで、秘書の女性は反抗的な子どもとの関係に悩んでいた。
この親子の葛藤諍い苦悩と、バービーを救う過程で親子関係が修復され救われて行く過程が、なんともステレオタイプで、この現実世界の現実人間二人のほうが、マテル社の社員たち同様に、まるで、マンガで、空想、夢の世界の住人のようだった。
バービーランドで、バービーたちの添えものの男たち。人間の住む現実の世界でも、
馬とか車とか軍隊とかミサイルとか名刺とか肩書きとか家族女子ども、そんなものを使ってなんとか生きている男たちよ。
毎日繰り広げられるガールズナイトはガールズがいれば良いのに、ケンダムつくろうとしたケンたちのボーイズナイトは、バービーたち女の子がいないとだめなんだ。なんだかなあ。
兎にも角にもほんとにライアンゴスリンが??と半信半疑でしたがあのライアンゴスリンが渾身のケンという苦悩に満ちたアイコンを演じ、マーゴットロビーは完璧なバービーであった。
現実世界の滑稽さステレオタイプさ、嘘っぽさ。
バービーランドの、なんとも言えない、ほんとっぽさ。
最後の最後の、セリフまで。バービーはみな女のリアルを体現する。
マーゴットは、バービー完コピな上人間らしさも乗っけた才能。ライアンは、登場するまで、ほんとにライアンケンをやるのか??と半信半疑でした!!何度も見で考えるような映画かなと思いましたが日本にはこれをわかるバービー文化の基礎があまりないのかも、ですね。
とてもおもしろかったのに上映があっという間に終わってしまいました。あまり人気がなかったんですかね。
マーゴット・ロビーの魅力は凄いです。ライアン・ゴズリングさんのムキムキも印象に残りました。