「そこからかよ!とも思うが」バービー Pocarisさんの映画レビュー(感想・評価)
そこからかよ!とも思うが
楽しく見ましたが、同時に物足りなくも感じていました。
もういくらなんでも、これくらいのフェミニズム言説は当たり前になってるよね、と思ってたので。
こんなところから説明しなきゃいけない世界に我々はもう生きていないと思ってたので。
グレタ・ガーウィグとノア・バームバックならもっとひねれたはず……という、無い物ねだりの感情もあったのです。
しかし、違うんですね。
SNS等で流れてくる感想の中には、この作品が「強烈なフェミニズム映画」に見える方がいるようです。(某漫画家の感想)
私の感覚が違ったんです。まだ、こんなところから説明しなきゃいけない世界だったんです。
女性が自立し、男性も「男らしさ」の呪縛から自由になろう。この映画のテーマの一つはこういうもので、昨今の映画のわりと定番的なものです。
女性を必要とせずに自立した男性を責める人はいませんよね。
男性を必要としない自立した女性(これも同じ漫画家の感想)だって、責める必要なんてない。立派なものですよね。
それのどこが「強烈なフェミニズム」なの?と思いますが(それにこの映画、別に男女の恋愛を否定してるわけでもないですよ)。
とはいえ、こうした感想のおかげで、この「バービー」の持つ力や意義がわかりました。
今やるべきことをやった映画なんでしょう。
冒頭の「2001年宇宙の旅」のパロディは最高ですね。そこにて初代バービーが出てくるも後の展開と関わってます。
付記
中に男性性の負の側面としての戦争を否定するシーンがありますね。つまんないファンアートの作者や、それに乗っかった公式SNSアカウントは、この映画の描いていることを理解していなかったわけです。
たいへん残念なことです。