「名前は同じでも私は私」バービー bionさんの映画レビュー(感想・評価)
名前は同じでも私は私
どうせフェミニズム全開なんでしょ。そんなことを鑑賞前に思っていた自分が恥ずかしい。とんでもなく面白い上に、ジェンダー論を超越したところに着地してしまう。
映画好きだったら誰もが知っていて、散々こすり倒されてきたSF映画のあのシーンを冒頭のシークエンスでいきなりパロってみせるとは驚いた。
あなた方を縛り付けている既成概念をこれからぶち壊してあげます。グレタ・ガーウィグ監督の挑戦状が観客に叩きつけられる。
衝撃のプロローグが終わると、ゆる〜いバービーランドの日常が始まる。色づかいや音楽は、まさにドリームワールド。
バービーとケンがリアルワールドであるカリフォルニアに登場したあたりから、男の自分には居心地の悪いブラックユーモアがバンバン繰り出される。耳は痛いんだけど、切れ味がすごくて笑わずにはいられない。
僕の鑑賞した回は、バービーファッションに身を包んだ、英語圏の女性グループが何組もいて、場内の笑いをリードする。
ここは、アメリカですか? と思うくらい楽しい雰囲気でノリノリ。
この物語は、いったいどこに着地するのだろう。
グレタ・ガーウィグは、安直なゴールを目指していなかった。ジェンダー論の先にある人間の生き方、それを感じることができる。
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