「色とりどりのぼくたち=もっと自分のこと好きになろう!虚構の中のリアル」バービー とぽとぽさんの映画レビュー(感想・評価)
色とりどりのぼくたち=もっと自分のこと好きになろう!虚構の中のリアル
変化球な世界を生かしたテーマの描き方に象徴される作り手の遊び心とメッセージ、あるいは苦悩。
つかみは十分!バービーというポップで高カロリー高発色カラフルな世界観を再現度高く持ち込みながら、やや前面に出まくったテーマから真のテーマへとガラッとイメージを変えながらもふんわり(やらかくあったかく)着地していくさまは、本作として意外性ありつつも既視感もあって尖りながらも普遍的。プロダクションデザインにマーゴット・ロビー&ライアン・ゴズリングをはじめとしたキャストのハマり感と、セリフの一つ一つや独自のテンポ語り口で途中までグイグイ惹き込まれて新鮮な気持ちで見られた。我らがケイト・マッキノンや、&ポジションなウィル・フェレルは名人芸の域。アメリカ・フェレーラやマイケル・セラもよくて豪華キャスト。
後半終盤と分かりやすい展開ながらも思わぬ持って行き方というか、不思議な感じになっていって少し置いてかれそうにもなったけど、終わってみればやはり気持ちいい。女性応援作品ではあるけど、ありのままの自分のこと好きになろうよ、と分かりやすく届けてくれる。グレタ・ガーウィグ✕ノア・バームバック=大好き2人のドラメディをメインにした素晴らしいフィルモグラフィーにおいてベストな作品ではないかもしれないけど、こういう誰しもに親しまれている愛すべき長寿コンテンツ"ありもの"から、制約の中でオリジナルな物語を紡ぐ職人技をきちんと見た気がして、新しい一面を見られた。『ナルニア国物語』も決まっているらしいし、こうやってこれから原作ものとか主戦場に益々メジャーになっていくのかな。少し複雑。
勝手に関連作品『レゴ・ムービー』『魔法にかけられて』