夜明けのすべてのレビュー・感想・評価
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ちょっと手を差しのべるだけでいい
PMSで自分をコントロールできず、急に苛立ってブチギレて
そんな自分に落ち込みつつ、暮らしている藤沢さん。
パニック障害の山添くん。
お互いの病気を知ってから、藤沢さんは心配して山添くんにおせっかい(田舎のおばちゃん的な)。
同僚同士の関係はかわることなく、お互いを理解するようになる。
「3回に1回くらいは、藤沢さんの発作の前に助けることができると思う」と山添くん。
そうだよな。それくらいの距離感で
誰かが困ってたら、手を差しのべたいものだよな。
病気を抱えてこまっている人のことに気づける、
そして説教臭くもない、がんばりすぎない、良い映画だった。
病院の待合で聞くような他人の病気自慢と、馴れ合い感が苦手だった!!
他人の持病に全く興味が無いのて、しんどいです。それでも若い時はお節介にも関わろうとした事があるので、理解できない訳では無いですが、そればかりやられるのも面白くないです。微妙にブスなヒロインが積極的なのと、職場の馴れ合いも気持ち悪いです。病院の待合で、他人の病気自慢を聞いているのが好きな人はあまりいないと思いますが、何かもう同調圧力も凄くないですか。プラネタリウム云々も何か鼻に付きますし、この作者の本は私には合わないです。
旧国営放送 的 稚拙なファンタジー
誰一人悪者が出てこない。
ぬるま湯の様な社会で、特殊な病気を抱えた者が喘ぐ姿を描き、普通の生活を送れる様になった事で、大団円とする日本映画の伝統的DNAを継承している。
同じ毛色の映画を思い出した。なんとまぁ!原作者が同じだった。
『転職エージェントってカッコいい!』って!この作品の稚拙な証拠。転職は普通に『こんにちは、仕事』へ行こう!転職エージェントなんかに引っ掛かって泣く人間も沢山いる。要は『手配師』。余り良いイメージは無い。
メンタルクリニックで診査して貰う時に第三者を入室させる訳が無い。ましてや、恋人を入室させてくれる様な医者は藪医師だと思うけどなぁ?
星を見るなら、カンボジアのシェムリアップがお勧めだ。なぜなら、ポラリスと南十字星が一緒に見られる。そして、季節と時間を合わせれば、シリウスとカノープスとケンタウルス座のアルファ星(太陽と月を除いて、1、2、3に明るい)をいっぺんに見られる。
それがどうした?!だけどね。
プラネタリウムの投射器が色々あるのは良いが、星を写す傘みたいな物は無いかなぁ?天井に星を映しても星が曲面に平面になってリアルじゃない。
そう言えば、プラネタリウム行っていないなぁ。プラネタリウムはデジタル式よりも、昔ながらのプラネタリウムの方が綺麗だよ。
渋谷もそのイメージだからね。
追記 お母さんも団地に住んでいるなら、母親を呼ぶでしょ?!
追追記 このプラネタリウムの施設を用意したら、1千万くらいかかるよ。いくら入場料取るんだろ。
ガキの頃、理科室で見たプラネタリウムが忘れられん。
五島光◯協賛だろうからね。
ファンタジー
松村北斗の演技が好きなので鑑賞してみた。やっぱり演技上手だなー
日常を描く物語だから激しい起承転結は求められないけど、山添さんの結末はこれでよかったのか些か疑問が残った。
不自然に恋人になるよりかは友達以上恋人未満で終わるのが自然で良かったのかな。若干後ろ髪を引かれる映画
音楽とともにじんわり心に沁みる映画。夜中にどうぞ
良かったです。全編柔らかい音楽とともにゆったり進んでいきます。発作などのシーンもありますが、出てくる方々の優しさや人間性で包まれしんどくなく見ることができました。最後変に恋愛にならないところも、パニック障害の彼が残る選択をしたことに対してとても前向きなところもよかったです。
また、働き方も考えさせられる映画でした。私は今東京の資本主義の真っ只中にいて、年収競争出世競争に面しています。そんな中でパニック発作がまさに出ていて、何が本当に幸せなのかなと。
効率化資本主義の中では論理と数字が揺るぎなき正とされるけれど、栗田科学のように会社が潰れなければ、社員がむりせず楽しくやれるならそれでいいと言うのもまた正なんだと思いました。
お金稼ぎ終わった後に人が求めるものは結局家族や身近な人との幸せなのだから、お金はそこそこで身近な幸せが手に入るならそれはそれでとても良いことなんだと思います。背負ってるものをおろしたい。
夜明け前が一番暗い。この言葉もちょうど今沈んでいる私の心に響きました。ありがとう。
夜明け前の闇の中で、誰かを支える星となれ
こんな事を言ったら山添くんに疑問を持たれるかもしれないが、私も少しは境遇や気持ちが分かる。
私の場合持病ではなくヘンな症状なのだが、夜寝ている時に、突然の痙攣発作、激しい発汗と心臓が飛び出そうなほどの動悸に襲われる事がある。
暫く原因が分からなかったが、ようやく思い当たったのが、数年前の胃の全摘手術。胃を摘出した人に見られる“ダンピング症候群”。
胃が無く、食べた物がダイレクトに腸へ。その時消化が追い付かず、腸が痙攣。それが身体全体に広がる…というもの。
そういや退院の時そんな説明受けたな…と後になって思い出したが、まさかまさかこんなしんどくて、こんなにも続くとは思ってもみなかった。さほど大した事なく、一時の事だと思っていたので。
胃が無い身。これがこれからずっと…と思うと嫌になってしまう。
実は言うと、本当にこれが原因なのかも定かではない。勿論病院にも言ったが、医者はただ話を聞いて、じゃあ薬出しますねだけ。もっと色々診てくれるとか、原因を調べてくれたりとかしてくれない。なので、暫く通院し薬も飲んでいたが、今は通院も薬も飲んでいない。だって結局、通院しようがしまいが、薬を飲もうが飲まないが、同じ。起きる時は起きる。起きない時は起きない。
これも不思議なもんで、これまでは一ヶ月に2~3回、酷い時は4~5回、立て続けに起きる時もあれば、暫く起きない時もある。ちなみに今、4ヶ月ほど起きてない。最長記録!
ほとんどが夜寝てる時。でもごく稀に、昼間や起きている時に起きる時もある。いつぞや何か昼間外歩いている時に、突然くらっと目眩みたいなのが…と思ったら起きた。あの時はびっくりしたなぁ…。
それで日常生活や仕事に支障をきたすほどではないのだが、またいつ起こるか分からない症状に悩まされている。
藤沢さんや山添くんの抱える持病とは毛色が違うかもしれないが、それでも少しは分かるのである。
恥ずかしながら“PMS”という言葉を初めて聞いた。月経前症候群。調べてみたら人によって症状は様々らしいが、藤沢さんの場合は月に一度イライラが抑えられない。
それによって転職。大きな企業から子供用科学キットを作る町工場へ。
PMSは続く。そんな時、同僚の山添くんのやる気の無さ、炭酸を明ける音にイライラをぶつけてしまう。
それには訳が。山添くんもパニック障害を抱える身で…。
パニック障害もよくは聞くが、詳しくは知らない。
突然パニックや発作に襲われ、動悸や目眩、身体の不調、不安に駆られる。
原作者の瀬尾まいこもパニック障害の経験ある身。
山添くんの場合は発作。人ゴミの中や電車にも乗れない。やる気や気力の無さも心体の気だるさ。炭酸も身体にいいと聞いて。
そんな二人が出会って…。
ありがちな難病を抱える苦悩をお涙頂戴で…と一見思うが、そうではない。
あくまで持病を抱える二人の日常を綴っていく。
異常が無い時は二人共、ごく普通なのだ。藤沢さんはPMSの反動で周りに対して気を遣ったり(職場にお菓子の差し入れ)、山添くんはドライな面もあるけど。
ごくごく普通。だから、突然の症状が堪らなく怖いのだ。
私も例の症状がいつ起きるか、夜寝るのが怖い時がある。
山添くんがパニック障害と知った藤沢さん。お互い頑張ろうと励ます。
ちょっと違う気がするんですけど…なんて言われ、鳩が豆鉄砲を食らう藤沢さんだが、以来気に掛ける。
山添くんも藤沢さんがPMSと知り、イライラが始まったなと感付くと、さりげなく外へ連れて行ったり、イライラを自分に向けさせたりする。何だかんだ好青年。
二人の関係がこれまたありがちな恋愛に発展する事なく、あくまで友情や同志なのがいい。それが作品への清々しさや爽やかさにも表れている。
遠慮せず物を言い合ったり。ナチュラルなやり取りに笑いがこぼれたり。
上白石萌音と松村北斗の好演。
上白石萌音はどんどん素敵な女優さんになっていくなぁ…。松村北斗も良作に恵まれて。
二人を支え、見守る周りもいい。
二人が働く町工場の雰囲気が温かい。
経営者の栗田と山添くんの前職の上司の辻本は昵懇で、山添くんを見守る。
何かを抱えているのはこの二人も。栗田は共同経営者で科学好きだった弟を、辻本は姉を自死で亡くし、自死で大切な人を亡くした人たちが集う会に参加している。
『ディア・ファミリー』では嫌味な役所だった光石研、クセのある役所が多い渋川清彦の温助演。本当に演技巧者。
山添くんの友人たちや彼女、藤沢さんの友人や転職エージェント、パーキンソン病の藤沢さんの母…。
皆が何かを抱えつつも、気遣い、見守り、支え合って。
現実はこんなもんじゃない。理想的過ぎかもしれない。しかし私は、これが人の本来の姿と心だと信じている。
『ケイコ 目を済ませて』で絶賛された三宅唱監督の丁寧な演出。
作風も話も優しく、映像も音楽も美しい。
過剰宣伝の見世物的やアニメーションばかりヒットする昨今の日本映画界に於いて、これこそ良質良心作と言える。
世の中や大宇宙が変化していくように、私たちも。
母親の介護をする為、藤沢さんは地元へ戻って転職。決まった時、「栗田金属で働けて幸せでした」。
山添くんは前の会社に戻らず、栗田金属に残る事を決めた。
それを辻本に告げた時、辻本が流した涙には二つの意味があると思った。
一つは、パニック障害を抱え生きがいを失っていた山添くんが自分のやりたい事を見つけた嬉しさ。もう一つは、また戻ってくると思っていた可愛がってた後輩が戻って来ない寂しさ…。
このシーン、あの涙、ジ~ンとしたなぁ…。
誰もそれらに待ったなんて言えやしない。持病と向き合いながらも、各々が決めた事。
印象的な宇宙や星座、夜明けの話。
この壮大で神秘的な大宇宙の中で、私たち人間の営みなんて、些細でちっぽけな事とよく言う。
宇宙に全く変化など起こす事もない些細でちっぽけな存在かもしれないけど、私たち各々が光を放っている。
星々が巡り合うように、私たちも出会って。
光の中には影もある。夜の闇は夜明け前が最も深いという。
それは持病や悩みなど、時折不安にも陥る私たちそのものだ。
しかし、夜があるから朝をより感じられる。
悩みや不安を感じるからこそ、人の善意や良心をより感じられる。
誰かを照らし支える星となれ。
そして夜が明ける。
お互いの痛み
PMSとパニック障害を抱える2人が社会とは、上手くやっていけずに苦しんでいた。
生きる事の難しさを感じながらもなんとかもがき今という自分でやってきている。それでも思わぬ部分で自分がそうではないのにその症状が顔を出してしまう。
生きる事に苦しんでいる人が全て救われるのが難しいかもしれない。
それでも誰かがその痛みを少しだけ理解してあげる事が出来る優しい世の中になってほしいと思える映画でした。
この時代にマッチした作品
SNSは主流になり、財布も仕事も携帯電話でできてしまう、そんなデジタル化が進む日本で、
時代に逆行するかのようにフィルム写真やアナログなものを好む人も増えているように思う。
今作は画質の荒い、平成初期のようなアナログな映像であることが印象的だった。
登場人物の服装や街も派手なものはなく、どこか質素で古い。
それでいて軸となるのは「パニック障害」と「PMS」。
このふたつの症状についてはここ数年で世の中に広く浸透したものと思う。
この作品が何年の設定なのか不明だが、
時代背景も映像も音楽も物語の進み方も、なんだかとてもちょうどいいものだった。
至ってシンプルで、ちょうどよかった。
職場でのあれこれに共感もした。
コピーを取って欲しい態度でない社員、ああ今日中に辞めようと決める時、逃げ出したい気持ち、お菓子を配る社員たちと群がりたくない気持ち、
誰もが一度は共感したことのある所謂「詰んでる」あの気持ち。
とってもよくわかると思いながら見ていました。
また、藤沢さんの着ているもの、お家のインテリア、携帯ケースなどの物たちは『上白石萌音』ってこうだよね。と言いたくなるようなコーディネートだった。
着てそう。暮らしてそう。冬のコートに髪を一つに結んでお顔が少し埋まるくらいマフラーぐるっと巻いて温かくしている萌音ちゃん。これは藤沢さんなのか?萌音ちゃんなのか?と錯覚に陥る。
みかんを食べて歩いているのはたまらなくかわいかった。
🧣🍊❄️
そしてなんといっても、メインキャストのお二人の共演はあの朝ドラなしでは語れないだろう。
いつどの時代で出逢っても、ふたりはバランスがよい。
「普通」を演じることに抵抗の無さを感じる。
人はどんな環境に身を置くかで顔色がうんと変わる。生き心地がうんと変わる。
そのことを無理矢理とか、強制とか、語りかけるでもなく、
ひとりの人の生活に寄り添うように見せてくれた作品だった。
今作を観ながらふと、
ああ、いい映画だな。とおもった。
私的感じた、この映画を優れた作品にしている点とは
(完全ネタバレですので必ず鑑賞後にお読み下さい!)
※重要作品ながらレビューを書けていなかったので、今更ですが‥
この映画『夜明けのすべて』は、PMS(月経前症候群)の藤沢美紗(上白石萌音さん)とパニック障害の山添孝俊(松村北斗さん)が、それぞれ勤めていた会社を辞め、PMSやパニック障害に対して理解ある栗田科学という会社で働いているという物語です。
この映画が特に優れていると私的感じたのは、物語の状況を、ほぼ一切セリフで説明せず、モンタージュの積み重ねで説明し切っているところにあると思われました。
例えば、パニック障害の山添孝俊は元の勤めていた会社に戻ろうとしているのですが、そのことを元の会社の上司である辻本憲彦(渋川清彦さん)とのビデオ通話で表現しています。
そして上司の辻本憲彦の背中で、山添孝俊が元の会社に復帰することは難しいことも伝えています。
なぜ山添孝俊が今の栗田科学で働いているのかというと、上司の辻本憲彦は姉を自死で失っていて、同じく弟を自死で失った栗田科学の社長・栗田和夫(光石研さん)と、同じ境遇の遺族の集まりでつながりがあり、その関係で山添孝俊が栗田科学で働いていることが示唆されます。
なぜ上司の辻本憲彦がそこまで山添孝俊を助けようとしているのかというと、辻本憲彦の姉は過労による自死で亡くなっていて、仕事にまつわる精神的なことで姉のような犠牲者がもう出ないように彼が尽力しているからだと伝わります。
驚くべきことに、これらの事について、この映画は直接的なセリフで一切説明していないのです。
上司の辻本憲彦はこの映画でほとんど出てこないのですが、わずか数シーンの彼の立ち居振る舞いの積み重ねで、全てこちらに伝わるようになっています。
そして最後の、山添孝俊が栗田科学で引き続き働こうと思うと上司の辻本憲彦に伝えた時の辻本の涙は、姉への自死の想い、山添孝俊を自社に復帰させられなかった自身の力不足、山添孝俊の心からの願いが叶っているとの安堵感、など、幾重にも重なった感情を全くのセリフの説明なしにこちらに感じさせる、感銘を受ける映画的なシーンになっていたと思われます。
この事は例えば、山添孝俊の彼女であり元の会社で同僚だった大島千尋(芋生悠さん)が、映画の後半に山添孝俊の部屋に訪ねて来て、海外への栄転の話をした上で「外で話せるかな?」との一言だけで、彼女が別れ話を言いに来たと伝わるシーンでも同様です。
この映画は、説明的なセリフをほぼ一切排除して、あくまでシーンの積み重ねによって映画的に表現しているのが本当に素晴らしいと私的には思われました。
言葉は真意からズレたり矛盾したり完全に一致するのはマレなのですが、その事に無頓着で、真意を全て言葉で表現できると(時に傲慢に)思い違いしている日本の脚本家や演出監督が少なくない中で、この映画『夜明けのすべて』の三宅唱 監督は、言葉が常に本心を裏切って行く人間の本質を、実に深いところで理解しているのだと思われました。
今作を多くの思い違いしている脚本家や演出監督は観た方が良いですよと、僭越ながら思われたりもしました。
この映画は、PMS(月経前症候群)の藤沢美紗の矛盾に満ちた言動も含めて、見事に人間の深さを、そしてその問題解決の困難さを描いている、素晴らしい作品だと個人的にも思われています。
ただ、作品としては、藤沢美紗のPMS(月経前症候群)の問題も、山添孝俊のパニック障害の問題も、本来はそれぞれの元の会社で解決される必要があり、栗田科学といういわば理解ある理想的でオアシス的な場所に押し付ける問題ではないとは一方では思われました。
本来であれば、藤沢美紗や山添孝俊が元居た会社が舞台となってこの問題の解決を引き受ける作品である必要性を感じ、”栗田科学があって良かったね”という解決の仕方で作品が終わるのは違うようにも感じ、私的な点数としてはこのようになりました。
ただ、その点を除けば、それぞれ俳優陣の着実で優れた演技を含めて、映画表現として素晴らしい作品であったと、他の人達の評価が高いのも当然だなと一方で思われています。
栗田工業が潰れませんように、ずっと存続してくれますように
上白石萌音と松村北斗の自然なところが良い。
特に、大企業(多分)勤務から町工場勤務になって腐っていた山添くん=松村北斗が少しづつ変化を見せていくところが嫌味なく自然で良かった
ふたりの掛け合いが結構笑える
山添くんはかなりユーモアのセンスがあるヒトだと思う
ふたりとも自分を悲劇の主人公にしないところが好感が持てる
淡々と自分たちができる対策を出し合い協力し、困った症状に向き合う
「言いたいこと言って、PMSのせいにすれば良いからいいじゃん」とか冗談交じりに言っていたりする
世の中には「自分は〇〇なので配慮してほしい」と職場で協力を求める、それは当然だがすぎて振り回す人がいる。
配慮は当然だが度を越した我慢を周囲が強いられることがある
いくら病気でも、藤沢さんのような暴言吐かれたら私なら傷つく
こちらのメンタルがオカシクなりそうなことがある
それでも当人には感謝も謝罪もない。職場的に「配慮」は当然なので。
藤沢さんも山添くんも、そうなりたくなくて職場で自分たちの「病気」を黙っているのだろうと思った。
藤沢さんがPMSで荒れまくった後に職場の皆さんにお菓子を配って謝って回り、周囲もはいはい、とお菓子を当たり前のように受け取って終わり。月に一度の荒ぶる神への儀式のよう。彼女は「自分は〇〇なので周囲に迷惑をかけて当然」のようにはしないのだ。
周囲が配慮するのは当然だが、病気を抱えた当人が周囲に気遣いすることがあっても良いと思う。
お互い様とはそういうことではないか。
みんな問題を抱えて生きている。
悩みのない人はいないのだ。
栗田社長、山添くんの元上司、多分外国人と結婚していたシングルマザーの久保田磨希と、周囲の人達も公言しないが生きていくうえでの問題を抱えている。それ故に他人への思いやりがある人達なのだろう。重荷にならないようにそっと二人を支えてくれる良い人たちだ。
久保田磨希さんの息子を含む中学生の放送部のドキュメンタリーのシーンがちょっと多すぎる気がする。
プラネタリウムでの解説に、社長の弟が遺したものが云々が少々過剰気味だったかも。
ふたりが恋愛関係にならず、ずっと良い友達、同志、親友なのがとても良い。
藤沢さんは転職先で周囲とうまく折り合いがつけられますように
栗田社長の優しさと器の大きさが心に染みた。
さりげなく相手の重荷にならないように気遣いしてくれ、従業員の皆さんも、それに応えて真面目に一生懸命働いているという、しんどいところを持つ人達には理想的な職場。
栗田工業が潰れませんように、ずっと存続してくれますようにと祈ってしまった。
藤沢さんが思い出せなかった「おじいちゃんたちが宇宙に行く映画」は、
「スペース・カウボーイ」では?
優しくなりたい
受け止めれる人になりたい。
ストレスが蔓延してる昨今で擦り潰されていく人達。様々な理由から"普通"が出来なくなる。
生き辛いのだと思われる。
彼の台詞が印象的だった。
「自分の体はどうにもならないけれど、あなたの体の事はどうにか出来るような気がする」
ほんの少しの思いやり。
その人の全てを背負う事は出来なくても、近くで見守る事は出来る。
人と人との関わり合い方の定義みたいだ。
ずっと同じな訳はない。急激な変化はなくとも、ゆっくりゆっくり変わっていける。
自分の手が伸ばせる範囲が穏やかになっていくのであれば、それを平和と呼ぶ日も来るかもしれない。
愛を説くこともなく、代償を求められるわけでもない。ほんの少しだけ、寄り添ってあげるだけでいい。それが増えていけばいい。
抗えない人は一定数いる。
向き合うにあたり何も背負わなくていい。
ただ、ほんの少し歩み寄る。それだけでいい。
そんな事を、気づかせてくれた作品。
本作が優れている点は、好意は描くけども恋愛を描かない点だと思われる。
処方箋が恋愛に由来される事はないのだ。
それにより人物を特定する事なく、広い範囲に発信できる。誰にでも出来る事なんだと教えてくれる。
日常を重視した新たなリアリズム
こんな映画を私は待っていた。
先日、職場の同僚(群発頭痛持ち)からこの作品を勧められ、私(腸過敏性症候群持ち)は久しぶりに映画館へ出かけてこれを観た。鑑賞後、とても心地良い感動を得ることができた。さらに、いろんなことを考えるきっかけにもなった。その同僚に感謝したい。
私はこの映画を観ている途中から《小津安二郎》《定点観測》そして《ネオ・レアリズモ》というキーワードが頭の中に次々と浮かんできた。
まず、三宅監督と撮影の月永氏による《やや低めで近めの画角》と《ごく自然な感じの構図》のカメラワークに注目した。その技法は、観る者がまるで登場人物とその場に一緒にいるかのような感覚にさせてくれて、人の心の機微を映し出すためにとても効果的だった。さらに、16mmフィルムによって温かみのある映像に仕上げたこともその効果をより一層高めた。小津安二郎に勝るとも劣らない絶妙なカメラワークであると思うのは、私だけだろうか。
また、栗田科学という会社を一つの定点にして、登場人物たちの交流が《定点観測》によって柔らかな雰囲気の中で見事に描かれていた。その描き方は、NHK 『ドキュメント72時間』を彷彿させる。特別な人々ではなく、ごく普通の市井の人々の心の中にこそ、それぞれの様々な人生の物語があるということに改めて気付かせてくれた。
さらにこの物語は、市井の人々の日常で始まり、劇的な展開もなく、モンタージュ技法等を用いた過激な演出もないまま、日常で終わる。そのような穏やかなストーリーにも関わらず、観終えると思わず涙が出る。私は、ネオ・レアリズモの代表作であるヴィットリオ・デ・シーカ監督『自転車泥棒』を思い出した。市井の人々の日常を重視した新たなリアリズム“Neo-Daily Realism”をこの作品によって三宅監督は生み出したのではないだろうか。藤沢さんが山添くんに譲った白い自転車を思い浮かべながら、この作品は新しい映画の夜明けだと私は確信した。
鑑賞後に同映画のパンフレットを購入した。そのインタビュー記事の中で、私が強く共感した次の言葉を引用したい。
「大げさなことじゃなくても日常にも素晴らしい瞬間がある」(三宅監督)
「外に出た時、見える風景がすべて、自分にとって出会えてよかったと思う風景に変わっていく」(松村北斗)
とても充実した内容のパンフなので、是非購入をお勧めしたい。
最後に、藤沢さんが山添くんの髪を切るシーンなど、絶妙な距離感でさりげなく助け合っていくという、難易度の高い役柄を見事に演じた上白石萌音と松村北斗の演技力に心から拍手を送りたい。
日常に隠れてるもの
他者には見えない自身が抱え続ける問題との向き合い方を、同僚たちとの社会生活の中で寄り添いながら過ごす何気ない日常を描く。
とても穏やかな作品で、多少なれどだれしも感じたことのある孤独感や疎外感といった日々の中に埋もれる寂しさと誰しもに起こり得る病を通して、日常に隠れてる喜びと大切さを思い返させてくれた。
ちょっとできずきているかな?
PMSはとてもよくわかるし、自分もイライラして人に当たってしまって自己嫌悪に陥ったりとかあるので、
それとどう向き合って生きていくのか興味があってみに行きました。
パニック障害もわかりみ。一時期、電車に乗るのに緊張して心臓がバクバクしてやばかった時がある。
まあ、3駅だったから耐えたけど、長距離だとしんどいだろうなあ、、
パニック障害を持つ同僚が、本読んでPMSを分かろうとしてくれるのとかはとてもいい。
仕事中、様子見て外に連れ出したりとか、、
いくら自分がそうだからって、そこまでしようとする人いるのかな、、
私の元友達がADHDで、どういうものか知らなくていろんなことを知ろうとして調べたりしたし、分かろうともした。夜中にまでも電話に付き合った。
でも向こうは私の心の病気には寄り添ってくれなくて、そのままブロックされた。
現実はこんなもん、、
こんな周りの人がみんな理解してくれて、その中でうまくやっていくとか、夢の世界。
なので後半はちょっと冷めてみてしまった。
友情とも恋とも違うストーリーはよかった。
萌音ちゃんの演技もとてもリアルでした!
月経前症候群(PMS)を抱えた若い女性・藤沢さん(上白石萌音)は入...
月経前症候群(PMS)を抱えた若い女性・藤沢さん(上白石萌音)は入社しばらくしてオフィスで症状を発症し、処方された薬の影響で大事な会議の準備作業中に眠り込んでしまった。
結果、退職。
転職した先は、東京の郊外にある児童向け科学キットを作っている町工場。
雰囲気もよく、彼女の症状に理解もあるので、もう何年か仕事を続けることが出来ている。
職場の新人・山添くん(松村北斗)は元々大手のメーカーのオフィス勤務だったようで、いまの職場のまったりとした雰囲気にやりがいを見出せないのか、まるでやる気をみせない。
そういうこともあってか、PMSの症状がひどくなった藤沢さんは、怒りを爆発、矛先は山添くんに向けられたのだが、山添くんもパニック障害を抱えていることがわかってきて・・・
といった物語で、藤沢さんと山添くんを中心にして、周囲のひとびととのやりとりを描いています。
悪いひとは出てこない。
同僚もほとんど良いひとばかり。
いいひとばかりだけれど、会社の社長(光石研)も山添くんの元上司(渋川清彦)もなにかしらの事情・心の疵を抱えている。
そういうひとたちだから、相手のことを思いやれるのかもしれない。
大きな出来事は起こらない。
最後に移動式プラネタリムという珍しい装置が登場するぐらいで、小さな天蓋に映し出される星々とそこに重なる藤沢さんのナレーションが美しい。
藤沢さんの読む解説文は、社長の弟が遺した言葉をもとにした天空・宇宙に対する思いが込められたもので、宇宙の尺度からみれば人間なんてちっぽけ。
だけど、ちっぽけで儚いからこそ尊い。
そんな大きく広大な宇宙を小さな小さなテントの内側に映し出している。
そのことが面白い。
全編やさしさに溢れた映画だけれど、その功績はロケーションの魅力に負うところが大きいでしょう。
東京の郊外・城南地区を舞台にしているが、実際のロケ地はそのまんまではない。
いくつかの場所は、設定に近い場所で撮られているようだが。
が、それら複数のロケーションが違和感なくつながれ、まさしく東京の郊外といった雰囲気を出していました。
これは、簡単そうで簡単じゃあないんだよなぁ、と思った次第。
とてもいい映画
予告で気になってて鑑賞
月に一度、PMSでイライラが抑えられなくなる藤沢さんはある日、同僚・山添くんのとある行動がきっかけで怒りを爆発させてしまいます
ですが、転職してきたばかりだというのに、やる気が無さそうに見えていた山添くんもまたパニック障害を抱えていて、様々なことをあきらめ、生きがいも気力も失っていました
職場の人たちの理解に支えられながら、友達でも恋人でもないけれど、どこ別な気持ちが芽生えていく二人
いつしか、自分の症状は改善されなくても、相手を助けることはではないかと思うようになります
というのがあらすじ(HPより)
何か大きな事件があったりどんでん返し起こったりすることはありませんが素晴らしい映画です😊
ちょっとした笑えるシーンもあって一つ一つのシーンがよかったです!
最初は心を開かなかった山添くんも徐々に開いていく感じもわかってよかったです!
そして藤沢さんの自宅に忘れ物を届けに行くシーンは生きることに少しだけ前向きになってるようにみえて良かったと感じました…
ほんとすっと心にしみるような温かくて素晴らしい映画でした!
ありがとうございました☺️
大袈裟な善意や共感なんて要らないのだ
鑑賞をずーーっと躊躇していた作品。
本日本命の「ゴールドボーイ」が面白かったら観ようかな。。と、ギリまで悩んだが、↑が面白かったから観ました。
実は、以前の職場で私が任された新入社員の女の子が「強迫性障害」で、対応にとても!
苦労した経験があります。
(強迫症って言ってたかな?)
本作の主人公が抱えている「生きづらさ」に共通している部分がありそうで、あの時の感情が蘇りそうで複雑だった。
共感出来ないと♪冷たい人〜と言われ
そーお〜♪だし、もし、今の自分も、
否定的な感情しか抱かなかったら。。
自分に失望しそうで正直言って怖かった。
自分の経験上、その彼女については、その症状がひどくなると、不安やこだわりが度を越してしまうから、人間関係や仕事、生活の全てに支障をきたしてしまい、生きづらそうだな。。とは思えた。
だけど。仕事って生モノで。
今確実にやらなくてはならない案件や、会議・打ち合わせなど、時間的縛りがあったり、社外の人への対応など、神経をすり減らす事が多いのに、、
これ以上大変なことを増やしてくれるなよ
( ; ; )と。。
否定的な感情があった事も事実です。彼女も頑なだったし。私も泣いたよ。
そして、本作の藤沢さん(萌音ちゃん)同様、会社にもその事を伏せていたため、周りのみんなも対応に困った。
自分ではど〜しよ〜もない「生きづらさ」と共存している人々に対し、こちらはどんなヘルプが出来るのか。
それを知るためには、当事者からある程度は説明してほしい。
デリケートな問題だから言い出しにくいのは理解する。
だけど、仕事だからね。お金を頂く以上はその分はしっかり働かなくてはいけません。冷たいでしょ〜か( ; ; )
だから、症状が出てしまった藤沢さんや山添君(松村君)に対し、栗田の人々がただただ心配して優しくしていたけれど、やはり、当事者が説明している描写は欲しかった。
こちらも理解したいと思っているよ。
社会の一員としている以上、誰だって皆んな何かしら抱えているし、しでかすし、そもそもが「お互い様」なのだから。。
そして本作が描く「生きづらさ」も、それってその人の個性だからね。
パニック障害、PMS、飛びすぎかもだけど、トランスジェンダーの問題とかも、当たり前に話せる世の中になれば、皆んな生きやすくなって良いのにねと思った。
まぁ、現実には栗田科学の様にはいかないにしても、
(おやつばかり食べてもいられないしw)
職種や環境も違うけど、1人1人が今の自分の周りを見つめ直してみてさ、少しずつ変わっていけたら良いのにね。
私はPMSの症状はないけれど、生理前には無性に何か食べたくなるし、
(藤沢さんのポテチ流し込みもソレ?w)
いつも以上に掃除したくなるし、
(巣籠もり準備?w)
生理中は腰もお腹も痛いし、あの不快感は慣れるものではない。
着る服も気を使うし、それこそ映画も行きにくい。
妊娠、出産は女子がするから、毎月の生理は男子にあげたいわ。
人と比べにいく事だからこそ、生理についてだって、同じ女同士でもかなり感覚がちがうと思う。
生理休暇に否定的な女性もいるもんね。
PMSへの理解が進むにはまだまだハードルが高そうだ。
そして症状が出た時の、自分の心と体が思い通りにならない事の恐怖、薬の副作用など、怖いだろうなと。不安が伝わってきました。辛いよね。
本作を通じて様々な生きづらさを感じている人々に寄り添えるきっかけになれば良いなと思う。
「クジラ」じゃないけど、声にならない声を聞いてあげたいし、声をあげられる環境作りの大切さも改めて感じた。
藤沢さんと山添君の関係性、距離感がとてもよかった。
お互い似たような悩みがある者同士として心の奥で理解し合えていたのかもしれないが、
「そ〜ゆう人」って位のライトな感覚で付き合っていて、悲観的になり過ぎていなかった。
困っていそうだったら声をかける、
辛そうだったら助ける、
当たり前の事を当たり前にしているだけなのに、心に響いたのは、私が人として未熟だからなのかなと反省。。
山添君がはじめてジャンパーを着たシーン、藤沢さん語りのプラネタリウム、山添君の元上司の涙。
静かながらも心に沁みたシーンでした。
萌音ちゃん、村松君の自然体な演技がリアルで良い。
大袈裟な演出がなかったのが効いていた。
ほっと、優しい気持ちになれる映画
冗談を言い合える関係って素敵だな、と思う。
自分が大切に想う人がその人のペースで、今よりも少し幸せになってくれるなら……
そう願いたくなるような映画でした。
炭酸の音が響いた時、藤沢さんの様子を気にしている自分がいた。
その瞬間に観客という立場から、少し彼女に歩み寄れたのかもしれない
山添くんがヘルメットを買った後も、少し窮屈なサドル位置で自転車を乗り続けているのは
それ自体が藤沢さんの思い出だからなのかな? と妄想した。
上白石萌音さんは感情の出発点を表現するのが上手いんだなぁと思った。
日常を覗いている感じ
2回見ました。
終始淡々としていて物語っぽくなく、カメラワークも合間ってどちらかと言えば2人の日常を覗かせてもらってる感じ。
フィルムっぽい画質なので見てて温かい印象で、出てくる登場人物も全員優しいです。
映画にしてはセリフが少ない方なのかな?と思いますが、だからこそ想像の余地があって楽しいです。
終盤に出てくるメモ?で、"夜明けは人々に希望を与えるけど、夜がなかったら外の世界に気づけなかった"のような言葉が出て来ますがそれがすごく好きです。
パニック障害もPMSも辛いけど、だからこそ見ること出来た世界が彼らにはあったのかも…と。終盤で山添くんはそれに気づいたのかもしれないですね、、。
あとは細かい部分のこだわりを感じて、例えばちゃんと炭酸の音うるさくなっていたり、山添くんの部屋が異様に暗かったり、洗濯バサミ開かなくてイライラするのもリアルで良かったです。
温かい映画で大好きです!また見たい、、
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