夜明けのすべてのレビュー・感想・評価
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日常と人との縁の大切さを描いている良作
松村北斗は強迫性障害で挫折しつつある会社員、上白石萌音はPMSで人間関係などに苦労する女性で中小企業に勤める二人だが、それぞれの問題に気付きフランクな関係で補完しあう感じ。。精神科でのやり取りなどはリアルだし、二人のやり取りは素の彼らをみてるようで、感じのいい作品。ただ、前作の方がインパクトはあったため、星は4つ。
三宅監督に外れ無し!で、必ず男泣きする役がでてくる!
主役のふたりの関係を観ていると、なんだか希望が湧いてきて、この国は(政治と経済以外)どんどん良い方向に向かっているように思える1作でした!
で、前作と同じように、主人公の回復をみて、大泣きする男が出てくる!それでオレも泣く!
今は2度とない
2人の芝居が好きです。朝ドラコンビをまた見たくて、また原作が好きで鑑賞。宇宙の神秘と生きづらさを抱える2人の変化に、今は2度とないことをひしひしと感じました。人って周りの力と本人の気づきでこんなにも変化していくものなんだなぁと。最後はたくさんの優しさに触れてあたたかな気持ちになります。
人は他人の心の隔たりに手を伸ばせるか
映画.comのアカウント変更にミスっていたので、投稿し直しです。
最初に演技について。
出てくる演者の方々の演技は本当に存在しているかのようで、不自然なところが無く鑑賞中に現実に戻されることはありませんでした。
主役2人の抱える精神障害に対しても、映画を作る方々全員が真摯に取り組んで撮影したんだなと思います。とにかく、メインテーマの一つである精神障害についての解像度が高いです。
精神障害に対して、始めは治そうとしたり否定したり、"普通"になろうとしたりともがいていますが、そうではなく受け入れて付き合っていくよう努力していく姿勢に変わっていくところを映しているのが本当にリアルだなと思います。
また、栗田科学の描き方も良かったです。
一昔前は精神障害に対して「薬に頼るな」とか「メンタルが弱い人間がなるもの」とか「医者は信用できない」など、医者でも無い人が精神障害を抱えている人をひたすら追い詰めることが当たり前の光景でしたが、障害を持つ人たちと向き合うためにヒアリングマインドを持って接することを描いていると思います。
もっといえば、山添君の上司の辻本さんにしてもヒアリングマインドがあったと思います。
山添君が今の会社に残ることを決めた時に泣いていましたが、"普通になって職場に復帰すること"を重視しているのではないという点で、山添君自身に向き合っていたんだなというのが分かり、ものすごく感動しました。
設定としても、自分の姉には何も出来なかったことが、山添君には受け入れる姿勢が見られるところまで関われたのが、本当に嬉しいという表現になっている点でも本当にいいシーンだと思います。
別の話になりますが、ストーリー上で星の話もメインテーマとして語られており、他人との距離は人が見上げる星くらい離れているが、孤独な星も誰かにとって目印となるという主張がされています。
映画の中でPOWERS OF TENというタイトルの本が出てきましたが、これは同名のビデオを書籍化したものです。
動画で検索すると出て来ますが、人のスケールである10^0mを基本単位として、その単位を10ずつべき乗、つまり10^2mや10^3m、10^4mなど、スケールを大きくしていくと何が見えてくるのか?という教育動画となっています。
このビデオないしは書籍で語られていることは、極の最大である宇宙全体と、極の最小である原子はそれを取り扱う物理学の観点から見ると似通った動きをしている。どういうことが言いたいのかというと我々の世界は最小の単位からの繰り返し繰り返しで出来ていて、宇宙全体と我々は繋がっているのだ、ということを主張しています。
これをこの映画に当てはめると、人と人の心の距離は性別や障害や背景によって、べき乗のスケール感でいえば星ほど離れているが、その星を見て励みにしたり、あるいは人の心の自由さで触れることが出来る、ということが言いたいのではないか、と思いました。
そう理解した後、本当にこの映画に出会って良かったと思います。
朝に観に行きましたが、夜にもう一度見に行って、鑑賞後に星を眺めに行くのも良いかなと思っています。
この映画で難点を挙げると、辻本さんとの話に比べたら山添君の彼女が過去の話もなく途中でロンドンに行ってしまい、いまいち話としては要らなかったんじゃ無いかなという気もします。
障害により離れていってしまった人間関係というのを描くのであれば、もっと2人の関係を掘り下げてほしかったです。
山添君は上司、藤沢さんはお母さんを主軸にするだけでも割と精一杯のような気もします。
受け止めたその先
松村北斗さん 最近も似たような役で作品でていたけど口から出てくる言葉に偽りがないお芝居をする。恋愛作品よりこういう自然体の役が○。
上白石萌音さんは印象深いお芝居はしないけど2人のコンビはマッチしていた。上白石萌音さんだったからこそ恋愛要素なくても自然的だった。
作品は同じ世界線で生きていくような時間だった。
パニック障害やPMS はたから見たら心の病気でしょ?結局は気持ちの持ちようだよと思われがちだけど実はそんな簡単なものじゃない。だがそれを理解するにはたくさんの時間や知識が必要になってくる。だからこそ受けとめ、思いやりをもってあげることが大事だと気づけた。でもそれは患っている人も同じこと。お互いが思いやりをもち、優しさをもつことで生きやすくなるんだなと。
変に恋愛要素など入れていないところが観やすいのと他の作品との差別化か。この時代精神病にかかってない人なんていないんじゃないかと思うぐらいストレス社会だから、こういった作品でより理解力や思いやりが増えるといいな。
夜明けに向かって一歩を
通常スクリーンで鑑賞(一夜限りのダイジェスト付き)。
原作は未読。
松村北斗や上白石萌音他、キャストの演技が自然体でとても良く、まるでドキュメンタリーを観ているみたいでした。「ケイコ 目を澄ませて」に続いて使用されている16ミリフィルムの質感が物語や風景にマッチしていて引き込まれました。
PMSやパニック障害を抱える若者が主軸なので、「特殊状況に置かれた人」の物語と云う第一印象でしたが、ストーリーが進んでいくと、それだけではないのだと思いました。
藤沢さんや山添くんらの日々を追う内に、誰しもが何かしらの事情を抱えて生きていると思い知らされました。
本作がPMSやパニック障害について知るきっかけになるのは無論のことですが、ふたりを通して自分の中にある悩みにも向き合うことが出来るよう誘われていくのが心地良い。
自分だけじゃない。だからこそ誰かの痛みや苦しみを察し、寄り添えるのが人間なのかもしれないと感じました。
夜明けは必ず来ると言うけれど、人生の夜明けに向けて一歩踏み出すのは難しい。と言うより、人は誰かの支え無しには生きていけない。私も誰かのそう云う存在になれたらいいな。
[余談]
パンフレットにそれぞれのキャラの裏設定がびっしり書いてあるし、ラストに登場するとある文章も掲載されていて鑑賞の副読本として最適な構成なのが嬉しい。ベルリン国際映画祭のダイジェスト映像も作品への理解を深めてくれました。
時間差
500年前の光が今届く。
大昔の光が、昔、船で旅をする人の役に立った。
亡くなった人が残したカセットテープの音声やノートに記した言葉が、今、誰かを助ける。
無理せず、現状維持するという目標を述べる社長。
だが、星でさえも少しずつ変わるように、どんなものでも全く変わらないということはない。
会社も変わる。新しい挑戦をする社員もいるし、辞める人もいる。
トンネルの先の光に向かって二人で並んで歩く。
以前、一人が通り、一人がUターンして戻った、あのトンネル。
人の印象は第一印象のままではなく、変化していくこともある。
無理に相手を理解しようとしなくてよい。
目の前の人と会話することも、実際には言葉を発したり、身振りすることが、相手に伝わるのに、わずかながら時差がある。星の光が地球に届くのに時差が生じるのと原理的には同じ。
もともと時差があるのだ。
リアルタイムの会話にだって。
――断片的な言葉が、こんなふうにポロポロとこぼれてくるのを拾い集めることしかできません。
苦しかった……だけどそうじゃない
自分事ばかりになりますが、最初から最後まで苦しかった。ですが、この映画が悪いという事では無く、寧ろ大好きになった映画です。
というのも、病気と言えるかは分からないですが登場人物に起こる事、自分自身にも当てはまるように感じたからです。
私は自分自身のことで精一杯で、周りのことは気にしたことは無く、寧ろ偏見を抱いていた事もあります。
人はそれぞれ何かしらのものを大事にしていて、無くしていて……簡単なことなのにそれに気づけなかった自分がいましたなと思いました。
プラネタリウムのシーンでは何故か涙が溢れそうでした。
人との繋がりも色んな事が重なって少なくなったり、もう会わない人もいる中、それでも、夜空の下に居るのは一緒で、それぞれの考え方、人生があると、ありきたりでもありながらとても大事な事を物語を通して感じました。
(恐らくもっと深い何かがあるのかもしれないですが…!)
これからまた生きていく中で、より「考える」ことができた映画でした。
皆さん演技が本当に素晴らしく、様々な情景がとても懐かしさや静けさを感じられて良かったです。
優しい気持ちになれた。
作品の内容に惹かれて、一人で観た。
藤沢さんよりは軽めの症状だが、PMSとHSP持ちで日々生きづらさを感じている。
フィルム、音楽、風景に癒され、最後まで穏やかな気持ちで観れた。
萌音ちゃんと北斗さんで良かったと思う。
特に2人のお芝居がもっと好きになった。
藤沢さんが先輩からのメモを読むシーンが特に良かった。素敵な言葉で心に染みた。原作も買う予定。
藤沢さんが山添さんの髪を切るシーン、山添さんが忘れ物を取りに会社に戻り、上司がヘルメットを逆に被るシーン笑いそうになった。
映画館は、俳優さん目当てで来てる方、一人で観に来た方がいた。起承転結がはっきりした作品が好きな人には、物足りなく感じるかも知れないが、自分は感情があまり揺れずに、穏やかに観れる作品が好きなので、自分には合っていた。いろんな人に届いて欲しい作品の一つ。
観て良かった。
期待しないで観たが、観て良かった!!
穏やかに、ゆっくり時が流れ、優しい登場人物と癒やしのBGMでまったりさせてもらった。
皆言わないだけで、それぞれ悩みや病を抱え、頑張って生きてるよね(泣)と共感できた。私も生理前の体がきつかったが、周りへの苛立ちを抑えられない程のPMSの方がいることは知らなかった。
アットホームな小さな会社、昔はよく見かけた気がする。
一線から退き、現状に悩みながらもしだいに受け入れていく松村北斗さんの演技が自然で良かった。
それにしても、あの社長さんのお子さん?の学生2人はいつまでビデオを撮るの?
そしてなぜ男の子は黒人さんのハーフなの?
そちらの出生が気になってしまった。
静かな映画
登場人物みんな思いやりがあってのんびりしてて静かですこんな人達と一緒にいたらいつかは治りそう
男の子が通院してる心療内科の診察が一番不思議な空間でした彼も医師も治療について何も言わない彼女が必死で色々質問したくなるのわかるでもこの病気は焦ったらだめなんだと思った
主演二人の自然体な演技
PMSとパニック障害の二人が交流し合うことによって、徐々にお互いの心境に変化が芽生える…ざっくり言うとこのような内容だが、上白石萌音と松村北斗あってこその映画だったと思う。
コミカルな役やシリアスな役も、それはそれで難しいものだと思う。しかし、一番難しいのは“市井の人”。私がここでいう市井の人は、私たちが生きているようなどこにでもある街で、毎日頑張って仕事をしているような人のことを指している。このような役はどうしても“オーラ”がつきまとう俳優には難しいし、実際に過去にそういう作品もあった。しかし上白石萌音と松村北斗に関しては、私たちのすぐ近くに住んでいるのではないかと思ってしまうほどの庶民臭を感じ、とてもリアルな雰囲気を感じた。
上白石萌音はPMSを抱えている主人公•藤沢を演じている。劇中ではPMS発症時と正常時の演技が見られるが、この演じ分けが素晴らしかった。見ているこちらまでがしんどくなるほどPMSの苦しみが伝わるほど非常にリアルな演技だった。
松村北斗はパニック障害を抱えているもう一人の主人公•山添を演じている。松村北斗は「すずめの戸締まり」といい、「キリエのうた」といい、アイドルのオーラを消して役になりきれる人だと感じていたが、本作でも彼の強みは遺憾無く発揮されていた。演じるというより、役そのものに憑依していると言った方が正しいだろうか。
上白石萌音と松村北斗の掛け合いの演技が本作では多いが、それが最高の一言で、それを見れるだけでも本作を鑑賞する価値はあると思えるほど良かった。過去に共演したことがあるとのことなので、もしかしたら仲の良さがいい意味で芝居にも現れていたのかもしれない。
脚本で良かったのは、安易に藤沢と山添を恋愛関係に発展させなかったことだ。共通点のあるもの同士が徐々に惹かれあっていく…というパターンはよくあるものだが、本作はあくまで二人を“同じ職場の同僚”という関係のまま終わらせたのが良かった。
また、主人公がプラネタリウムを制作する展開もかなり意味のあるものだった。主人公二人はもちろん、脇役もなにかしら影の部分を持っており、暗闇に中にいる人物が多かった印象だが、明けない夜がないように、人生にだって光り輝く時がくることを強調する役割を担っていたし、プラネタリウムで見ることができる星空のように、それぞれの個性を発揮して輝けばいいというメッセージのように感じた。
ただ、残念と言うか、もう少し明かしてほしかった部分も多い。例えば、栗田化学の社長の弟が亡くなったというエピソードだが、これはそこまで必要なことだったのだろうか。家族を亡くした経験を持つ遺族が集まる会の様子まで描いておきながら、弟の死因が明確に描かれなかったのも疑問だった。推測では自ら命を絶ったと思うのだが、それにしては理由がなさすぎる。
他にも、藤沢の母親(りょう)が車椅子生活になったきっかけはなんだったのだろう。病気なのか事故なのか、この理由も隠す必要がないのになぜか明かされなかった。無理に入れる必要がないエピソードを入れたのかだから、理由くらい描いてほしかった。
ただ、前述したように、主演二人の演技を見るだけでも価値があると思うので、お時間ある方は映画館へ足を運んでもいいと思う。
淡々と進む
PMSとパニック障害の二人の日常を描く。特にこれといったイベントもなく、淡々と進む。
上白石萌音の演技が上手で、身近にこんな人いるよな、PMSなのかもしれないな、でも確認できないな、とか思いながら観てました。
明日は今日とは違う朝
限りなく日常に近い空気感の映画で、観ていて心地よかったです。
主人公の2人が自分の特性と向き合い、もがき苦しむ時、「あー生きるのって辛いよな」と共感せずにはいられませんでした。
でも、そんなときでも隣の人に少し優しくできたり、優しくされたり、痛みを分かち合ったり、わからないけどわかろうとしたり。
不器用で弱い人間という生き物を、愛おしく思えました。
人と関わることで、傷つくこともあるけれど、救われることもあるんですよね。
その中で、昨日まで真っ暗だった自分の世界が今日は少し違って見える、そんなことを思い出させてくれた素敵な映画でした。
余談ですが、栗田科学のみなさんが良すぎて、今すぐ転職したくなりました笑
日本のどこかにないですかね、あんな素敵な会社
、、
考えさせられるけどいい感じの映画でした
随所に涙腺を刺激してくるシーンが満載、名古屋の映画館、朝イチ上映で観客数が数えられる入りに感謝でした。最初はお互い噛み合っていない山添(松村北斗さん)藤沢(上白石萌音さん)が色々と新しい知識を手に入れ病気に立ち向かう姿、お互いにケアできるんじゃないかと気遣う姿にも涙腺崩壊でした。
その中でも一番は「いつも結構訳あり、かつ強面」山添の前の会社の上司、辻本(渋川清彦さん)がカフェで元部下が生きる術を見つけたことに涙して息子からハンカチを受け取るシーンは今こうして書きながらも目頭が熱くなってきます。
同様にそれまで(おそらく?)かたくなに着ようとしなかった会社のジャンパーを山添が初めて着た姿、最初は藤沢からの申し出を断ったはずなのに自転車を活用している姿、これらにも感動しました。
逆にPMSのことを少し学んだ山添が「少しひとりで怒っててください」は笑えましたし、これまた随所でクスってくるシーンも多々ありましたよね。
松村北斗さん、いい味出してますよね。(コンフィデンスマンJPで毎度騙される江口洋介さんの若い頃みたいですね。そう僕は死にましぇ〜ん、の弟やってた頃の)
まあ上白石萌音さんは(最近やっと姉妹の区別がつくようにも私も成長しました!)発作が起こると「ここで働かせてください」って湯婆婆に迫る舞台での勢いでしたね!
少し前に観た『オレンジランプ』を思い出しながら、昔はクラスに1人くらいはいて「なんだか変なヤツ」みたいにやり過ごされていた病気に世界が理解をし始めていることに安心感を覚えました。そう言う自分自身もパニック障害もPMSも言葉は聞いたことがありましたがこの映画を観てググってみた次第です。
実際の世界ではまだまだ穿った見方をする人が多い気がしますがこの映画の中では栗田社長(光石研さん)を始め悪意のない方ばかりで嬉しく思いました。『波紋』で妻(筒井真理子さん)に歯ブラシで台所の掃除をされてた情けなさはありませんでした。
それにしても瀬尾まいこさんの作品は泣かせてくれますね。『そしてバトンは〜』でも泣かせていただきましたし、今回も淡々と進む話の展開で、ややもすると眠くなりそうならくらい静かに静かに進むストーリーの中でまんまとやられました。マイナー作品ですが『戸村飯店青春100連発』も好きな作品で面白かったです。映画化しないかな。
なんにしろこの映画の題材と配役が見事にマッチして素敵な作品になっていると思います。よかったです。
静かな良作
パニック障害とPMSという病気を抱えた男女のお話。
それぞれが抱える病気を乗り越えて、成長して行くと云うのでなく、適切な距離感で付き合って行く。二人の関係性も男女の恋愛として、安く描くでなく、ちょうどいい距離を保ったただの同僚。見ているこちらは、病気が原因で起きる事件とか、2人が恋愛関係に発展するとか、わかりやすいドラマはないので、退屈かと感じる方もいると思うが、静かに淡々と一つの優しいリアルな世界を見ることのできる映画でした。
人を救うのは人
冒頭、主人公のナレーションから始まって少しわざとらしい(?)なぁと思ったのと、警察に保護されて大雨の中、母親が迎えに来た際になんで傘を持ってきていないんだ。と思ったので少し疑念を抱いて観ていたが、すぐに立ち直った。
まず出演者の演技がかなり素晴らしいと感じた。中学生の子たちまでかなり良かった。主人公2人の症状が出てしまうあたりも、わざと感のない、リアルさがあって辛そうだというのをしっかりと感じた。
何人か特に良かった人をピックアップしようと思ったが、本当に全員自然体で全く違和感なかったので映画に入り込むことができた。
藤沢(上白石)は普段、周りに気を使いすぎるぐらい気を使う性格だが、PMSの症状が出たときは、ヒステリーで攻撃的になってしまう。そのギャップに相手は驚いてしまうし、それが重くプレッシャーにもなっている。改善しようとしているのに(薬を変える)それが裏目に出て、さらに自分の立場を弱くしてしまう。当初の上司がハッキリと怒らないのも、中々リアルで見ていて辛い。
時が流れて、転職した職場は小さいが理解のある会社のようで、観ていて「良かったね。」と安心できた。
そこの新人山添(松村)はとにかく愛想がなく、淡々と業務をこなす如何にも「最近の若者」感があり、とてもリアルに表現されていた。
山添は元々大きな会社のエリートで、上司や仲間からの評価も良かったと見て取れる。察するに本来の自身の能力と、パニック障害を患ったために入ることになった今の会社、自身の現状のギャップを受け入れられず、心を閉じている。そんなプライドから当初は藤沢や同僚を避けていたように見えた。
藤沢の優しさと、お互いの境遇から次第に打ち解けていく流れも多少強引(髪を切る件)だが良かった。
あと良かったのは、主人公2人の周囲の人物の描き方。栗田科学社員の人柄とサポートが素晴らしいのは奇跡的すぎる気もするものの、このような病気が題材の物語だと「理解のない人間」「病気をネタに攻撃してくる人間」が出てくることが多い。が、そのような人物は安易に出さずに、あくまで「発作に対して困惑する」程度にとどめている点が違和感なくてよかった。
二人のそれぞれの恩人である栗田社長(光石)と辻本(渋川 山添の会社の上司)が精神的ケア(詳しくは忘れた)の集会で繋がっていたのも、とても良い伏線回収だ。
2人のそれぞれの発作や症状がいつ現れるか分からないので、鑑賞中もなんだか一定の緊迫感は感じていた。実際本人たちも同様にこの緊迫感が常に頭の隅にあるんだろうなと思うと、辛さが少しは理解できたと思う。
後半のシークエンス、宇宙、プラネタリウムの一連のストーリーもとても良かった。栗田社長の弟が遺したテープの説明や宇宙の話は、シンプルに興味深く、ユーモアもあって楽しかった。プラネタリウムのシーンの最後のメモの締めを聞いていると、なぜだかとても感動的で涙が出そうになった。
そして最後は山添のナレーションだが、映画冒頭ではわざとらしいなあとか思っていたのに、こうやって締められると「めちゃくちゃ良い。」となるのだ。
山添の「自分のことはどうにもできないけど、他の人のことは助けることはできる。」(だっけか?)は素晴らしいセリフだと思った。
これはなにか病気やトラウマを抱えている人に限った話ではなくて、そうでない人も私たち皆がそうではないだろうか。時には自分を律せないときもあるし、悲しくもなるし、怒るときもあるし、失敗もある。自分を完全にコントロールすることは至極困難だ。それでも、自分の周りの人を助けること、助けようとすることは誰にでもできるはずだ。
山添はある時点から、元の会社ではなく、栗田科学に残る選択をする。当初は向上心や、やりがいの無さに愚痴をこぼしていたが、では物語を通して今の仕事に向上心・やりがいを感じたのか。もしくは自身の病気との折り合いをつけるための、ある種諦めのようなものなのか。
もちろん前職に復帰してどうなるか。という部分もあったろうが、私は、やはり理由は「人」であると思った。藤沢や栗田科学の社員、そこに関わる人たち。彼らと接することで山添は残ろうと、残っても大丈夫だと思えたのではないだろうか。未来を憂いていた山添はきっと救われたんだと思えた。
最後の昼休み?のシーンはとても平和で尊かった。
大傑作
あまり映画鑑賞して傑作って言葉使わないけど、夜明けのすべては別。ドラマチックな展開も恋愛にも発展しない。ただ日常を優しく描いているだけなのに、こんなに心が温かくなり余韻に浸れる作品なかなか無い。そして何度も見たくなる。この作品見れば見るほど奥深く丁寧に脚本が練られてるんだなと発見が毎回ある。
特にラスト栗田社長の亡き弟が出てくる場面…どんな理由で亡くなったのかはわからないけど栗田科学、そして宇宙や天体を愛し、ずっとここにいるんだよ…って表現してるみたいでグッときた。
主演の2人はもちろん、彼らをそっと見守る栗田科学の従業員や元上司。このキャストでなければ描ききれなかったであろう温かい空間。
16ミリフィルムの映像やヒーリング的なシンプルな音楽。全てが良かった。
何回でも見たくなる名作だと思う。
これも難しいな
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PMSの萌音とパニック障害の松村。会社の先輩後輩の間柄。
互いの前で症状が出たことがあり、心の病気を持つ者同士、
少しずつ理解し合うようになって行く。
同じプロジェクトを担当し、ぶつかることもあったが、
互いの家を行き来するような、特別な関係になる。
とはいえ恋愛関係ではない、何とも不思議な仲。
松村には彼女がいたが、海外に転勤になってしまった。
その後の描写はないが、おそらく自然消滅したんだろう。
やがてプロジェクトは見事成功、萌音は母の介護のため退職。
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2人の主人公を取り巻く登場人物がみんな優しい。
病気に対してしっかり理解してくれるいい人達だった。
おれは彼らほど重い病気はないが、HSPではあるので、
彼らの気持ちや辛さが少しは分かる気がする。
しっかり自分と向き合って、強く生きて欲しい。
ということで共感はできるし全く退屈などせんのやが、
でも何を伝えたい映画なのかが良く分からない。
色んな出来事が、悪く言えばダラダラと描写されるだけ。
これといった目的もなく淡々と進み、オチも特に無い。
この感覚、少し前にも感じたとこなんよな。
そう、「PERFECT DAYS」を見た時と同じ気持ち。
映画って本当に難しい、そう感じさせられる映画だった。
それにしてもタイトルが謎。「夜明けの全て」って何?
本編を見たら分かるかと思ったが、やっぱ分かんねーw
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