夜明けのすべてのレビュー・感想・評価
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人生に寄り添う作品
本作には派手な演出も劇的なシナリオも存在しません。とにかく、丁寧に丁寧に、自分の困難と向き合いながら生きていく人々の姿が描かれています。気分が落ち込んだとき、色々うまくいかないとき、この作品を見たら「とりあえず明日もなんとか生きてみるか」と思わせてくれる気がします。公開中は何度もスクリーンでこの作品の温かさに触れたいです。
主演の松村さんと上白石さんの、心の機微を繊細に表現した演技はただただ素晴らしいですし、二人を見守る方々の温かさ(特に光石研さん、久保田磨希さん、渋川清彦さん)に何度も涙腺を刺激されました。
きっとわたしの人生になくてはならない作品になると思います。
みんな抱えて、生きている
あったかい毛布みたいな映画だった。
PMS(月経前症候群)、パニック
症候群、連れ合いを亡くしたショック
から立ち直れないロス、
登場人物それぞれが深い傷を負いながら
生きている。
三宅晶監督は、そんな人々を優しく
とても繊細なタッチで描いていく。
鑑賞後、自分の心がまあるくなっている
ことに気づく。
事件らしい事件は何も起こらない。
淡々と話しが進んでいくにもかかわらず、
ずっと画面を観ていたい、いい気が満ちた
作品だった。
僭越を承知で言わしてもらえば、
僕がずっと目指していた映画が、ここにある。
生きるのは当たり前じゃない
人は第一印象と違うんだってセリフがすべてのように思える。
主演の二人は障害があり生きづらさを感じても社会に生きてどうにかしようと思ってあそこにたどり着き暮らしている。そんな職場の人たちも社長は弟を自死でなくされ、他の人たちもなにか事情がありそう。第一印象通りではないなにかが。
気遣いしながら向き合って補いあう、今の社会には無くなったような人と人との掛け合いがとてもあたたかくしみて自然と涙が出た。
懐かしくも的確な画角が演出の妙だと思う。
主演の二人はすごい演技。パニック障害とPMS患者が見るものの胸を刺すようだ。
そして辻本役の渋川さんは泣けた。
まさに第一印象を裏切る温かさ。これまでの役の印象も手伝ってこの映画一番の落涙演技。プラネタリウム会社に残ると告げられたときの涙は美しい。奥さんが出てこないのも含めて人はそれぞれ何かを抱えて生きているし支えになりたいと考えているんだね。
自分自身の事もあって、山添パートが身に沁みた。
山添の彼女はもっと寄り添いたかったろうに…
ロンドン行きを告げたあの夜はどんな思いだったのだろうと想像するに泣けてくる。
同僚の人たちもどんな思いでプラネタリウムを見に来たのだろうか。
二人のそれぞれの選択後平和な雰囲気で世界で映画は終わる。これから先も平和に夜が来て明けて朝が来る、そんな毎日を過ごして欲しい。この映画に出会えて自分の世界も広がった。感謝。
誰かのために出来ること
ストーリーと演者さんと映像と音楽が、全ていいバランスで、鑑賞後は、心にほっこりと温かいものが残る、そんな映画。
心に困難を持つ人がちょっとでも前向きになれる、それを身近で支える人、その人に多少なりとも関わりを持つ人が、誰かのために、気負わず出来ることのヒントを持てるような、そんな映画。
地味ですが良心的な作品でした
評判が良さそうなので見てきました。
経営者からすると頭の痛いテーマの作品です。
PMS(月経前症候群)とパニック障害で悩む男女二人の生活を丁寧に描く良作です。
二人を支える周りの人たちも過去に傷ついた経験があり優しく見守ります。
安易に恋愛関係になったり、お涙頂戴ものにしてないのも好感が持てました。
ドラマチックな展開はほとんどなく日常描写が続くドキュメンタリーのような作品ですが
心が癒される雰囲気が良かったです。おススメ度は普通のやや上です。
同情はしない
カメラは登場人物の意志や行動に向けられる。
しんどい部分、
つらい状況よりも、
フォーカスされるのは意志と行動。
同情はしない。
積極的とはいえないが強い意志、
消極的ではない小さな行動にピントは絞られる。
ヘアーカット、洗車のシーンは、少しズレた意志と行動を、
ユーモアで包む。
本人たちは、
互いのトリセツを発見したように良かれと思ってマッハ50で駆け抜けて、
ダウントリム90で沈みゆく、、、
自分たちはそんなタイプの人ではなかったのに、いつのまにか半歩踏み出していた、、。
絵作りも全カット、
全力で全パートが取り組んでいるのだろう。
カメラのフレーム内は、
基本的に人物の上下左右、
奥の奥まで空間を作り、
その空間には、
富士山、電車、ニワトリ、電灯、飲み物、コンセントの位置、クッションの置き方、本等美術装飾が密度の濃い飾りを仕込み、効果音、音楽も適材適所、素晴らしい。
全体的にポジティブな言動、
OK、
そのままでいい、
ありがとう、、、、
唯一NGを出すのはダンくん、
おもしろすぎる。
率直さにハッとさせられ、
無邪気さにニヤっとさせられる。
それらを集約して、
時空を超えて照らされる光は・・・
そして夜明けが来る。
【蛇足】
満席になってるのが嬉しい。
一見、何も起こってないような、静かな逸品が確かな眼力の人たちの間で話題になっているのだろう。
料理が美味しい理由は、
味の素、グルタミン酸ナトリウム、
化学式は書けない、
が、
おもしろさのうまみ、
感動の理由は何⁈
全カット、静止画で、
化学式風に、
何が凄いか説明したい!
(もちろん、的はずれのズレてる説明)
洗車のシーン、
洗剤が蠢く窓越しの人物、
カサヴェテスのグロリアの、
車内に弾丸を撃ち込む、
窓越しのグロリアみたいだった。
アポロ13より、スペースカウボーイより、
気になった。
前作についてはyoutubeで16㍉の苦言まで話してまーす!
♪月が空に張り付いてらー、
銀紙の星が揺れてらー、
誰もがポケットの中に孤独を隠し持ってるー♪
北極星を道標に。
予告の感じから勝手に心に問題を抱える男女の恋愛映画と思っていたので、この展開は予想外。目には見えない病のことを分かりやすい表現で掘り下げていて重くなり過ぎず、かと言って決して簡単でもなくとても考えさせられる内容でした。
家庭用のプラネタリウムを作っている社員数人の小さな会社で働く、長年PMSに悩まされている藤沢さんと2年前にパニック障害の診断を受けた山添君。突然キレ出したり、発作を起こしたりする二人を周りの社員さん達が大袈裟にしたりせず、寄り添って支える。そんな日々がまるで当然の事のように淡々と描かれている。
人と人とが何かしらの繋がりや関わりを持って社会生活は成り立っているのに、世界がこの小さな会社のようになるまで道程はまだまだ遠いと感じた。でも出来る事はある。私も近くで苦しい思いをしている人がいたら、理解する事、知る事から始めてみようと思った。
エンドロールの最後までブレることなく、そしてなんといっても上白石萌音と松村北斗が自然体でめちゃくちゃ良かった。
優しい気持ちになりました
病気が原因で周囲と繰り返しトラブルになる人、そういう人は今自分の周りにはいないけれど、寄り添うことが必要な人は身近にいる。
観終わった後で自分にも出来ることがあるはず、きちんと向き合わなきゃと思わされました。
素敵な映画を観ることが出来て感謝です。
胃がもたれないお茶漬けの味
1 傍目からは健康そうに見えても、心と体の不調を抱える男女が自分なりに歩んでいく様を描く人間ドラマ
2 粗筋はつぎのようなところ
月経前のいらいらが起因する病気により変人と思われる上白石とパニック障害を抱え無気力に見られがちな北村が主人公。上白石が転職していた小さな会社に北村が大企業から一時的に移り同僚となる。些細なことからふたりの関係は険悪となるが互いの病気を知ったことから助け合っていく。そして・・・。
3 本作は、粗筋の内容が主軸となるが、サイドスト-リとも言うべき会社内でのお仕事映画の側面もある。そしてこのことで作品に厚みと温かさが加わった。2人が勤めている会社の社長と北村が勤めていた会社の元上司は肉親を自殺でなくしている。このことで弱者に対する眼差しが優しい。病気のある二人に対しては、あくまでも普通に接しながら能力を発揮できるようバックアップしている。同僚達も気を掛け手を指しのべてくれる。こうした関係性は、最後まで一貫している。
4 映画のテンポはほぼ同じリズムを刻み、各シーンは恬淡にして深堀りすることはなく、切りの良いところで次に繋いでいく。三宅は感情に訴えることをせず、全体的にさらりとした演出で物語を紡ぎ、見る者に安らぎを与える映画にした。
5 上白石と北村の普通っぽさと最初のおずおずもぞもぞした関係性が次第に変わっていく様と光石研の渋い存在感が好印象
6 意地悪かもしれないが、心の中では「北村がいた社員のメンタルヘルスを大事にする会社は物語だけの世界。現実世界では病気を理解 されず、不当に扱われてしまうのではないか」と思ってしまう。
心暖まる映画です。
この映画を観た時間が有意義でゆっくり時間が流れる、また感じたい映画です。
また明日からも頑張ろうと思えました。
パニック障害の方など出会えた時、
私は力になれるのか微々でもなりたいと思えました。
綺麗事だと言われてしまえばそれで終わりですが、この映画を通してそう思えました。
優しい世界
優しい世界であっという間に読了した瀬尾まいこさんの原作と内容は少し変わっていたけど、優しい空気感はそのままでした。
フィルムで撮影されてたのかな、少し荒いぐらいの映像がとても良かった。
萌音ちゃんの心地よい声でのプラネタリウム見たくなったな〜。
みんな
何か抱えながら生きてるんだなと思います。
PMSやパニック障害など名前が付いた症状であったり、名前のつかない症状だったり…親の介護や家庭の事情、人間関係。何も背負ってない人はこの世にはいないので、他人に少しでも優しくできれば良いなぁとこの映画を見て改めて思いました。
あと、ここに出てくる会社ってめちゃくちゃホワイトだよね?羨ましすぎ…と思っちゃいました。
ホリプロ発だけど意外と観れるよ
冒頭の語りが全体を表していると思う。聞き手を想定していながらも、自分に対して言い聞かせて自身を納得させているようなナレーション。自分の中にいる他者というか制御できない部分を常に感じて実務的に対応している。この態度は全編を通じて一貫している。
この映画では病名付き発作性の精神疾患で悩む男女2名の交流を軸に社会的に適応していく、というまぁ、芸能プロダクション発の企画らしいこと。映画ではなくスペシャルドラマ向きなのでは?と感じつつ、この女優演技できるんだ、と驚きました。
最後クレジットの箱庭的な絵がカメラの近くまで飛んでくるボールで絵が崩れるところにはゾクゾクした。この感覚は共有し辛いんだけど...いい映画だと思います。
優しく寄り添ってくれる映画
日々の中でちょっとした息苦しさを感じる2人が主人公。
2人だけでなく、周りの人たちもちょっとずつ痛みを抱えていたり、気づかなくても自分のすぐ近くに起こっていそうな、大きな事件が起こるわけでなく、静に進んでいく。
無理をせず、そっと寄り添うキャラクターたちの作品でした。
すでに今年1じゃないかと思うくらい良作。
2回以上見ることをおススメ
私は原作本を読んでから映画を観たのですが、1度目は、原作との設定の違いが多いことに気を取られて、なかなか集中することができませんでした。
それから、恋愛物でも、アクション系でもない、こういった作風の映画を観ることが初めてだったので、起承転結のはっきりしないものにも不慣れでした。
でも・・・
心にじわっと温かい物が残る映画だったので、パンフレットを読んで、もう一度観ました。
2回目は、登場人物すべての人の温かさに心打たれながら、心地よい時を共有し、「夜明け前が一番暗い」「出会えてよかった」というワードが心に響きました。
他の方のレビューを見ていると、私の初回のような感想の方も結構いらっしゃるようですが、ぜひ、もう一度観ていただきたい。
2度目は、登場人物すべてが愛おしく感じると思います。
結局、今のところ5回も観ていますが、また、会いに行きたいと思っています。
最高の良作
大きな事件が起こるわけでも2人が恋愛関係になるでもなく静かなストーリーなのにこんなに心揺さぶられるとは思いもしませんでした。
原作が大好きで、原作から改変されているところも多いけれど見終わったあと、原作と同じ夜明けのすべての世界観だと思いました。
特に上白石萌音さんの演技は圧巻!PMSになってるだろうイライラ感、体調の悪さなど語らずともその表情で分かるし普段の穏やかな藤沢さんとは別人のようで、少し変わったところも原作の藤沢さんそのままでした。この難しい役を自然に演じた萌音さんは必見です。
人は見た目じゃわからない
一見平凡な人々。でも他人には理解されない体質や悩みや病気などを抱えて日々生活している。この映画では会社や同僚の理解があり、仕事しやすい環境になっている。でもその周囲に甘え過ぎず、自分と向き合い自分のペースで少しずつ改善している。地味だけど自然体で良かった。
上白石萌音が好演
ふだんは周囲に対して、過ぎるくらいに気を遣って生活しているのに、月に一度、PMSでイライラが抑えられなくなって、暴言を吐いてしまう藤沢さんを、上白石萌音が見事に表現していた。
しかし、それ以外の部分が、あまりにも淡々と、坦々としていて、残念ながら自分には合わない映画だった。
穏やかな日常にこそ幸せがある
三宅唱監督のファンです。
やはりこんな時代にこそ必要とされるべき映画で、こんな映画こそ辛い時に見るべき作品だと思いました。
俳優陣の実存感のある芝居、主役のお二人は当前のこと、職場の全員が悩みや、苦悩までが伝わってくるくらいそこにリアリティを感じた。なんて素晴らしい世界観なんだろうと。
青山真治監督の作品に出てくるふたりもいい味出してて泣ける。
プラネタリウムのくだり、もうあの場面は白眉でした。映画でしかできないような、表現に感服。
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