夜明けのすべてのレビュー・感想・評価
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彼女で始まり、彼で終わる
PMSの症状的には分かりみが過ぎる!彼女は人に気遣う分、反動がすごいんだよね。一つのことを成し遂げようとする充実感的なものが穏やかに描かれている。そんな些細なことでも頑張ろうと思える。
喫茶店で安子とタイ子ちゃんとヤバ藤妻が一堂に会す場面はニヤニヤが禁じ得なかった。
パニック障害とPSM
人の優しさがスクリーンのそこにもあそこにもにじみ出ています。
多様性や個々の事情を思いやる気持ち
移動式プラネタリウム
考えさせられるけどいい感じの映画でした
随所に涙腺を刺激してくるシーンが満載、名古屋の映画館、朝イチ上映で観客数が数えられる入りに感謝でした。最初はお互い噛み合っていない山添(松村北斗さん)藤沢(上白石萌音さん)が色々と新しい知識を手に入れ病気に立ち向かう姿、お互いにケアできるんじゃないかと気遣う姿にも涙腺崩壊でした。
その中でも一番は「いつも結構訳あり、かつ強面」山添の前の会社の上司、辻本(渋川清彦さん)がカフェで元部下が生きる術を見つけたことに涙して息子からハンカチを受け取るシーンは今こうして書きながらも目頭が熱くなってきます。
同様にそれまで(おそらく?)かたくなに着ようとしなかった会社のジャンパーを山添が初めて着た姿、最初は藤沢からの申し出を断ったはずなのに自転車を活用している姿、これらにも感動しました。
逆にPMSのことを少し学んだ山添が「少しひとりで怒っててください」は笑えましたし、これまた随所でクスってくるシーンも多々ありましたよね。
松村北斗さん、いい味出してますよね。(コンフィデンスマンJPで毎度騙される江口洋介さんの若い頃みたいですね。そう僕は死にましぇ〜ん、の弟やってた頃の)
まあ上白石萌音さんは(最近やっと姉妹の区別がつくようにも私も成長しました!)発作が起こると「ここで働かせてください」って湯婆婆に迫る舞台での勢いでしたね!
少し前に観た『オレンジランプ』を思い出しながら、昔はクラスに1人くらいはいて「なんだか変なヤツ」みたいにやり過ごされていた病気に世界が理解をし始めていることに安心感を覚えました。そう言う自分自身もパニック障害もPMSも言葉は聞いたことがありましたがこの映画を観てググってみた次第です。
実際の世界ではまだまだ穿った見方をする人が多い気がしますがこの映画の中では栗田社長(光石研さん)を始め悪意のない方ばかりで嬉しく思いました。『波紋』で妻(筒井真理子さん)に歯ブラシで台所の掃除をされてた情けなさはありませんでした。
それにしても瀬尾まいこさんの作品は泣かせてくれますね。『そしてバトンは〜』でも泣かせていただきましたし、今回も淡々と進む話の展開で、ややもすると眠くなりそうならくらい静かに静かに進むストーリーの中でまんまとやられました。マイナー作品ですが『戸村飯店青春100連発』も好きな作品で面白かったです。映画化しないかな。
なんにしろこの映画の題材と配役が見事にマッチして素敵な作品になっていると思います。よかったです。
大好きな作品
原作は原作の良さがあり映画は映画の良さが盛りだくさん!どちらも病気だけに焦点を当てているのではなく、ほんの少しでも相手のことを知ろうとする優しさ、少しでも助けられることがあるかもと歩み寄る優しさが押し付けがましくなく、相手にしてあげることによって自分もほんの少し助けられているような…すごく、すごく優しく心温まる作品でした。
PMSとパニック障害、どちらも聞いたことはあるけど詳しく知らない病気について強引に描写されているわけではないのに、表情や姿勢などで表現されていてお二人の演技が改めて好きだなと感じました。
松村北斗さんと上白石萌音さん、お二人の纏う空気感がすごく大好きです。
三宅唱監督、他の俳優陣もすべての方たちの良い関係性が映画やメイキング等に溢れ出ていて幸せな気持ちになります。
とても心が楽になるハートウォーミングな良作
病気で絶望の淵に立った若者たちが周りの人々に助けられ、現実を受け入れながら心救われていく物語
パニック障害を患った山添を演じた松村北斗さん、「すずめの戸締まり」での宗像草太のVCでも思いましたが、声がとても素敵です
PMSを患った藤沢を演じる上白石萌音さん、突然キレる迫真の演技はさすがでした
と、この両名の心打たれる熱演が本当によかった
藤沢が山添の髪を切るところ、
それまで絶望に打ちひしがれた主人公2人が相手の苦しみや辛さを認識し交わり始め、心から笑い合うくだりがすごく良かった
渋川清彦さん演じる山添の元職場の上司が山添が元気になってきて仕事でのプラネタリウムの話をするのを聞きながら涙するシーン、もらい泣きしそうになりました
プラネタリウムでの藤沢のナレーション
人生苦楽あるけど、毎日夜が来て、夜が明けると新しい日が始まる
だから、つらい気持ちもそう長く続かなかったり、いつか乗り越えていけると希望を持って生きていこうよ、みたいに前向きになれる良い内容でした
舞台となる主人公たちが働くこじんまりとした少人数の会社“栗田科学”、光石研さん演じる社長も良い人だし、他の温かい人々にも囲まれ、少しずつ心救われ幸せな気持ちになっていき、居心地も良くなっていく
このささやかな幸せがずっと続けばいいのに、と思って観てました。。。
静かな良作
パニック障害とPMSという病気を抱えた男女のお話。
それぞれが抱える病気を乗り越えて、成長して行くと云うのでなく、適切な距離感で付き合って行く。二人の関係性も男女の恋愛として、安く描くでなく、ちょうどいい距離を保ったただの同僚。見ているこちらは、病気が原因で起きる事件とか、2人が恋愛関係に発展するとか、わかりやすいドラマはないので、退屈かと感じる方もいると思うが、静かに淡々と一つの優しいリアルな世界を見ることのできる映画でした。
上白石萌音ほど事務服が似合う女優はいない
理解して手を差し伸べる優しさ
「間」がよかった。
セリフも音楽もなく、自分や同僚の症状に向き合っている2人の姿がいい。
恋愛でも友情でも依存でも甘やかすでもなく、「理解して症状に冷静に対応する」。
実はこれ病気に限らずで、言ってしまえば全ての(特に気難しい性格の)人と付き合うのと似ていたりするんですよね。
気遣いとお互い様の精神をもって、寛容さを広げ、優しくありながら、相手が具合悪い理由についてどこまで理解するのかということかと。
歳をとってくるといろいろ病気を持つようになります。
私も持病があり、発症したばかりの頃にふらつく状態でも、心ない元同僚には理解が得られず、怠(なま)けてる弛(たる)んでると厄介者扱い受けたことがあります。
自分自身、頭では「以前はこうじゃなかった」「もっとできるはず」と、病気になったことを認めたくないし、その悔しさと恥ずかしさに自分を責めたり。
そんな経験から、前半の2人の気持ちが痛いほどわかり、なんだか感情移入が半端なかったですね。
だから、同病相憐れむというよりかは、2人の優しさと、前向きに生きる希望に満ちた心のあり方にじーんときちゃったのでした。
それを、飽きさせずに、見応えあるフィルムにしていたスタッフ&俳優陣に拍手。
素敵な映画に出会えました
映画のストーリーも原作の事、映画監督の事も確認せずに、この『映画.com』の評価の高さに惹かれて、この映画を観に行ったのですが、素敵な映画に出会えました。
映画の脚本・構成において、各所場面をあえて入れない事・省略する事で、くどくど説明する展開にならず、間延びしてしまう事も無く、無理せずに各所毎の経過を入れ、間を想像出来る自由度を持たせて進められる構成に引き込まれて行きました。
音の扱い方も、日常の音やナレーションを中心を使われながら、強いドキュメンタリータッチに感じないように、電子木琴や電子ピアノ(正確な楽器名称は不明・?です)の心地よい音・テンポを映画の流れにうまく使われていると感じ、この映画の音や音楽に関われている方のセンスにも、感動しました。
この映画は、久しぶりに翌日また観に(音や音楽の使い方に注目してみたくて)行ってきました。
今までは、映画を観た後で、この『映画.com』のレビューの中をチラチラと眺めて見る程度だったのですが、この映画を観た後、この映画にどのような感想や情報が入れられているか気になり読んで、同意見の方や違った感じ方や意見など、参考になりました。
原作本を読まれてから映画を観られたレビューを見て、原作本『夜明けのすべて』も読んで見たくなりました。
今回、映画のパンフレットも。
また、原作者:瀬尾まいこさん、映画監督:三宅 唱さん、脚本:和田 清人さんの作品も、チェックしてみたいと思いました。
映画『スペース カウボーイ』と映画『アポロ13』も、また観てみようかなぁと思っています。
栗田科学は理想郷
会社に着けばログインし、ログアウトまでトイレに行く時間も作業効率も計られて営業成績をあげるのに四苦八苦しながら、上司や部下に気を使いギスギスした環境で仕事をしている人も沢山いるし、ちょっと体調不良が続けば切られることもある社会で、栗田科学は理想郷だ。
ある意味、のほほんとおやつを分け合ったりできるぬるい会社だがとても優しい会社。
淡々と日常が描かれる中で、人との関わり合いで人に言えないしんどさが癒されていくのはじーんと染み入る。
悪人が誰も出てこない世界観にも希望がもてる。
パニック障害もPMSも両方経験があるし、家族や友人、身近にも両方いるけれども、みんな上手く付き合って何とか生きている。
いちいち人には言わないけれど頑張っている。
そんな人に寄り添う映画があってもいいんじゃないかと思うので、こういう作品をたくさんの人が観てくれるのは嬉しいなと思う。
すーごい心地の良い作品でした
人を救うのは人
冒頭、主人公のナレーションから始まって少しわざとらしい(?)なぁと思ったのと、警察に保護されて大雨の中、母親が迎えに来た際になんで傘を持ってきていないんだ。と思ったので少し疑念を抱いて観ていたが、すぐに立ち直った。
まず出演者の演技がかなり素晴らしいと感じた。中学生の子たちまでかなり良かった。主人公2人の症状が出てしまうあたりも、わざと感のない、リアルさがあって辛そうだというのをしっかりと感じた。
何人か特に良かった人をピックアップしようと思ったが、本当に全員自然体で全く違和感なかったので映画に入り込むことができた。
藤沢(上白石)は普段、周りに気を使いすぎるぐらい気を使う性格だが、PMSの症状が出たときは、ヒステリーで攻撃的になってしまう。そのギャップに相手は驚いてしまうし、それが重くプレッシャーにもなっている。改善しようとしているのに(薬を変える)それが裏目に出て、さらに自分の立場を弱くしてしまう。当初の上司がハッキリと怒らないのも、中々リアルで見ていて辛い。
時が流れて、転職した職場は小さいが理解のある会社のようで、観ていて「良かったね。」と安心できた。
そこの新人山添(松村)はとにかく愛想がなく、淡々と業務をこなす如何にも「最近の若者」感があり、とてもリアルに表現されていた。
山添は元々大きな会社のエリートで、上司や仲間からの評価も良かったと見て取れる。察するに本来の自身の能力と、パニック障害を患ったために入ることになった今の会社、自身の現状のギャップを受け入れられず、心を閉じている。そんなプライドから当初は藤沢や同僚を避けていたように見えた。
藤沢の優しさと、お互いの境遇から次第に打ち解けていく流れも多少強引(髪を切る件)だが良かった。
あと良かったのは、主人公2人の周囲の人物の描き方。栗田科学社員の人柄とサポートが素晴らしいのは奇跡的すぎる気もするものの、このような病気が題材の物語だと「理解のない人間」「病気をネタに攻撃してくる人間」が出てくることが多い。が、そのような人物は安易に出さずに、あくまで「発作に対して困惑する」程度にとどめている点が違和感なくてよかった。
二人のそれぞれの恩人である栗田社長(光石)と辻本(渋川 山添の会社の上司)が精神的ケア(詳しくは忘れた)の集会で繋がっていたのも、とても良い伏線回収だ。
2人のそれぞれの発作や症状がいつ現れるか分からないので、鑑賞中もなんだか一定の緊迫感は感じていた。実際本人たちも同様にこの緊迫感が常に頭の隅にあるんだろうなと思うと、辛さが少しは理解できたと思う。
後半のシークエンス、宇宙、プラネタリウムの一連のストーリーもとても良かった。栗田社長の弟が遺したテープの説明や宇宙の話は、シンプルに興味深く、ユーモアもあって楽しかった。プラネタリウムのシーンの最後のメモの締めを聞いていると、なぜだかとても感動的で涙が出そうになった。
そして最後は山添のナレーションだが、映画冒頭ではわざとらしいなあとか思っていたのに、こうやって締められると「めちゃくちゃ良い。」となるのだ。
山添の「自分のことはどうにもできないけど、他の人のことは助けることはできる。」(だっけか?)は素晴らしいセリフだと思った。
これはなにか病気やトラウマを抱えている人に限った話ではなくて、そうでない人も私たち皆がそうではないだろうか。時には自分を律せないときもあるし、悲しくもなるし、怒るときもあるし、失敗もある。自分を完全にコントロールすることは至極困難だ。それでも、自分の周りの人を助けること、助けようとすることは誰にでもできるはずだ。
山添はある時点から、元の会社ではなく、栗田科学に残る選択をする。当初は向上心や、やりがいの無さに愚痴をこぼしていたが、では物語を通して今の仕事に向上心・やりがいを感じたのか。もしくは自身の病気との折り合いをつけるための、ある種諦めのようなものなのか。
もちろん前職に復帰してどうなるか。という部分もあったろうが、私は、やはり理由は「人」であると思った。藤沢や栗田科学の社員、そこに関わる人たち。彼らと接することで山添は残ろうと、残っても大丈夫だと思えたのではないだろうか。未来を憂いていた山添はきっと救われたんだと思えた。
最後の昼休み?のシーンはとても平和で尊かった。
生きていく
なんと優しさに溢れた作品なのだろう。
PMSを抱えながら生きる、上白石萌音演じる藤沢さん
パニック障害を抱えながら生きる、松村北斗演じる山添君
を軸に、彼らと共に働き生きていく人々の物語。
生きづらさ、についての物語でありつつも、主役2人だけが
それらを懸命に乗り越えていく、という事だけが主題でもない。
藤沢さん、山添君の葛藤や不安や静かな悲しさなどは描かれていくが、彼ら2人だけでなく人はみなそれぞれに事情を抱えながら生きていく。
日々働いている。時に心身を休ませながら、人とゆるやかにつながりながら…。
主役2人だけが特別ではなく、みな何かを背負い、抱えながらも共に生きていく、そのような物語であると感じた。
だから声高く頑張って!とならず、ゆるやかに優しく大丈夫、とふっと背中を押してくれる作品になっている。
原作瀬尾まいこ 監督三宅唱
映像化するにあたり独自のシークエンスにしたり、映画としての設定にしている部分、ラストも原作とは異なるという。
が、原作を脚色し、そのエッセンスを大事にしている映画であろう。
特にプラネタリウムのエピソードの追加、そこから宇宙に連なる人間の存在を
ことさら上段にかまえるでなく、ごく自然に主題化しているところ。監督の手腕によるところだと思う。
四季の移ろい、時間の流れ、ささやかなユーモアあふれるエピソード、時に静かに切なさを感じさせるショット、魅力にあふれている。
エンドクレジットの映像の幸福感…
これは今を生きる私たちに必要な物語。
映画はすべてを解決させてはいない。
現在進行形、主人公たちの人生も続いていく。
現実を生きる私たちも、また。
月に指をかざす映画、アポロ13でしたか…
私はそちらがわからなかった
アポロ13、好きな映画です
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