夜明けのすべてのレビュー・感想・評価
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少数派であることは重々承知だが、刺さらなかった
出演者が「観た人の心が少しでも軽く~」と仰っていたが、私はかえって苦しくなった。
おそらく観たタイミングが悪かったのだろう。
私は主人公と似たような精神の患いを10年前に持っていた。
今は寛解していて、原因となった環境とは完全に距離を置いて生きている。
出来ることなら記憶から消したいし、思い出さないようにしているが
本作の主人公の葛藤を目の当たりにして、過去の自分を思い出してしまった。
「みんな、誇りを持って自分の弱さを公開して、自分に合った生き方を選択できるといいな。それが僕たちにとっての夜明けなのかも。だって、夜明けは希望そのものだから。」
映画の公式HPに掲載されていた野口聡一さんのコメント。
本当にその通り・・・
本編を観ても泣けなかったが、この言葉を観て思わず涙が溢れ出してしまった。
自分も山添藤沢みたいなお互いを理解出来る存在がいたら、理解がある環境に居ればどれだけ救われたのだろう。羨ましさもある。
当時の自分にみせてあげたかった一作。悔しい。
ps:当方カムカム大ファンです
苦しかった……だけどそうじゃない
自分事ばかりになりますが、最初から最後まで苦しかった。ですが、この映画が悪いという事では無く、寧ろ大好きになった映画です。
というのも、病気と言えるかは分からないですが登場人物に起こる事、自分自身にも当てはまるように感じたからです。
私は自分自身のことで精一杯で、周りのことは気にしたことは無く、寧ろ偏見を抱いていた事もあります。
人はそれぞれ何かしらのものを大事にしていて、無くしていて……簡単なことなのにそれに気づけなかった自分がいましたなと思いました。
プラネタリウムのシーンでは何故か涙が溢れそうでした。
人との繋がりも色んな事が重なって少なくなったり、もう会わない人もいる中、それでも、夜空の下に居るのは一緒で、それぞれの考え方、人生があると、ありきたりでもありながらとても大事な事を物語を通して感じました。
(恐らくもっと深い何かがあるのかもしれないですが…!)
これからまた生きていく中で、より「考える」ことができた映画でした。
皆さん演技が本当に素晴らしく、様々な情景がとても懐かしさや静けさを感じられて良かったです。
夜明けのすべて
最高でした。
見た後も、見てる時も頭の中がぐちゃぐちゃ。考えさせられるって言うより、考えが止まらない感じ。
同じ音楽の繰り返しが、映画に落ち着きを持たせ、障害という思いテーマをさも軽やかに扱い、特別扱いせず、等身大に描き切った。
見てる時に色々考えては消え、考えては消え、ほとんど忘れてしまった笑
一つ言えるのは、映画は流れではなく、シーンの積み重ねであることを再認識した。だからこそ、我々はシーンを考えなければならない。
原作があるとはいえ、脚本が素晴らしい。
あらすじ
PMSを患い、月に一度イライラが抑えきれなくなる藤沢は、PMSのせいで会社を辞め、プラネタリウムの製造会社へ転職する。そこで、パニック障害を持ち、同じように会社を追われて転職してきた山添と出会い、2人はお互いの障害について理解を深めていき、お互いに助け合おうとしていく。藤沢は、山添と出会うことで、これまで憂鬱だった自分の障害に対して、ポジティブな感情を持ち始める。山添は、藤沢と出会うことで転職先での仕事のやりがいと、人と付き合っていく大切さを知ることになる。
ログライン
PMSを持った女性と、パニック障害を持った男性が出会い、お互いに支え合うことで、それぞれの環境の中で成長していく。
心が優しくなる映画
神さん、人間平等に生み出してくれよ
同じ世界に居るのに
どうしてこうも世界の“現実”の見え方が変わってしまうのか
人間として、この世界に生み出されたのならば
せめて大多数と同じ思考で
当たり前の日常を送れるくらいの
高望みなんてしてなくて
普通の平凡でいいから
生きるのが苦しい
だけど
死にたくない
当たり前なんだよ
だって普通は 頭と体の意思疎通 が当たり前に出来てて
元から備わってるモノだから
自分でコントロールなんて出来るわけなくて
死ぬために生きている人なんていないんだよ
初期装備 くらいさ
みんな平等にしてよ!!!って心の底から思う
夜の暗さがあるから
朝の明るさを感じられる
明るさで見えるものが全てじゃない
そして
暗さも未知のその先の答えを教えてはくれない
そんな社会も光と影で成り立っていて
“影”は一生懸命“光”に擬態せざるを得ない
そうじゃないと社会から自分の存在が消えちゃいそうで
気が気じゃないから
命果てたって星にはならないんだよ
でもいいよね
最後くらいは光り輝く星になったって
劇中に流れる Hi'spec先生の音楽は
どうも心地よくて
夜にも朝にもなりうるリズムにどっぷり浸った気分だった
夜明けのすべてを思うと
胸がギュッとなって
涙が出てくる。
萌音ちゃんは本当に藤沢さんだった
上白石萌音が醸し出す映画全体を包み込む穏やかな感じが素晴らしい その空間が愛おしい
終始、静かで穏やかな感じが本当に良かった。
上白石萌音の穏やかな感じと「おばさんのような普通の感じ」が温かくてちょっと図々しいおせっかいな感じが、本当に良かった。
会社の同僚の家に押しかけて、髪まで切ってしまうくだりが笑えて、なごんでしまう。
その彼と恋愛関係にならないところがとてもいい!
そして、亡くなった社長の弟さんが遺したカセットテープのプラネタリウム、星にまつわる話が優しくて癒される、
本当に心優しい人だったんだと。
それだけにしをえらんでしまったことのつらい気持ち。
それを経験したうえでの社長の穏やかな心。
青年が今の仕事であるプラネタリウムについて、生き生きと自らの言葉で話し出すのを聞いて、元上司が、思わず泣いてしまうところが感動的。
映画として感動させるための、上げるために落とすような展開が無くって本当に良かった。
(極端に言うと、観てないけど「〇イレント・ラブ」みたいなところが無くて本当に良かった。一緒にされたくないだろうけれど。)
最近そういうのは本当にこたえる。実話ならともかく。
優しい気持ちになれる映画
原作を読んでいたので映画の公開も楽しみにしていました。久しぶりにムビチケも購入。
PMSもパニック障害もなかなか周りに理解されにくい病気だと思いますが、その症状を軽く見えるように描くのではなく、ありのままの症状が伝わるように見える演技をされているなと感じました。監督・出演者共に素晴らしかったと思います。山添くんと藤沢さんのお互い大切に思っていてかけがえのない存在だけど恋愛感情には発展しない部分を上手く表現されていて、見終わった後にとても心が温まりました。
主題歌がなかったことが映画の余韻に浸れる最高の演出だったと思います。夜明けのすべての世界観のまま帰りの電車に揺られました。
個人的には上白石萌音さんの演技が素晴らしかったなと思います。辛さも優しさも感じさせる素敵な作品でした。副音声もあるということで時間があれば再度映画館に足を運びたいです。
まだ2024年始まったばかりですが、今年の年末に今年見て良かった映画を考えるなら間違いなく上位に入るでしょう。
鷹揚な大人がそばにいる安心感よ
PMS(月経前症候群)は、自分ではコントロールできない辛辣な言葉、爆発する気持ち、どうしょうもないほどの苛立ち、よく分かるといったら軽率に聞こえるかもしれないけれど、それでも彼女は私だと思ってしまった。私自身も婦人科で同じくそう診断されたから。
今回の映画では、職場の人たちがなによりも素晴らしかった。鷹揚な大人がもつ安心感、優しさや余裕ってこういう環境から培われていくんだなと思った。そんな人たちにも心の傷はある。それを忘れてはいけない。
映画では、二人の症状は治ったとか改善されたとかという描写はない。そんな中でもひとを助けることはできるのではないかと考えるようになった二人の心の発見が、なによりも嬉しいできごとに映った。日常を切り取った何気ない場面を滔々と伝えることの難しさ。私にとっては身近すぎてずっと冷静に観ていたけれど、こういう関係や世界があると知れてすごくホッとした。
3回に1回しかできなくたって、2回は失敗したとしてもいいじゃない
「PERFECT DAYS」の余韻もあり、同日に公開されたクセがスゴそうな時代劇をやめて、こちらを見た。
「障害」と呼ぶのだろうか。心や身体にキズを持つ人たちが、それぞれにお互いを気にかけながらも生きていく、そんな姿が描かれた映画だった。
キズも、問題も、障害も解決しないまま、物語は進んでいく。誰かを救ったり、問題を解決したり、キズを治すというような、劇的なことは起こらない。
しかし、灯りがないわけではない。この映画は夜明けはあると伝える。
隣によりそって、ともに夜明けを迎える、そのくらいのことしかできないのかもしれないけど。ただ、よりそう身体から伝わるぬくもりが、心を温めて、キズや障害や問題や痛みを抱えながらも、前に進もうとする力になることがある。
自信満々の余計なおせっかいが、大失敗に終わったことが、むしろ何かのキッカケになることだってある。
3回に1回しかできなくたって、2回は失敗したとしてもいいじゃない、そう伝える映画だった。
優しい気持ちになれた。
作品の内容に惹かれて、一人で観た。
藤沢さんよりは軽めの症状だが、PMSとHSP持ちで日々生きづらさを感じている。
フィルム、音楽、風景に癒され、最後まで穏やかな気持ちで観れた。
萌音ちゃんと北斗さんで良かったと思う。
特に2人のお芝居がもっと好きになった。
藤沢さんが先輩からのメモを読むシーンが特に良かった。素敵な言葉で心に染みた。原作も買う予定。
藤沢さんが山添さんの髪を切るシーン、山添さんが忘れ物を取りに会社に戻り、上司がヘルメットを逆に被るシーン笑いそうになった。
映画館は、俳優さん目当てで来てる方、一人で観に来た方がいた。起承転結がはっきりした作品が好きな人には、物足りなく感じるかも知れないが、自分は感情があまり揺れずに、穏やかに観れる作品が好きなので、自分には合っていた。いろんな人に届いて欲しい作品の一つ。
観て良かった。
期待しないで観たが、観て良かった!!
穏やかに、ゆっくり時が流れ、優しい登場人物と癒やしのBGMでまったりさせてもらった。
皆言わないだけで、それぞれ悩みや病を抱え、頑張って生きてるよね(泣)と共感できた。私も生理前の体がきつかったが、周りへの苛立ちを抑えられない程のPMSの方がいることは知らなかった。
アットホームな小さな会社、昔はよく見かけた気がする。
一線から退き、現状に悩みながらもしだいに受け入れていく松村北斗さんの演技が自然で良かった。
それにしても、あの社長さんのお子さん?の学生2人はいつまでビデオを撮るの?
そしてなぜ男の子は黒人さんのハーフなの?
そちらの出生が気になってしまった。
予告を見て気になって鑑賞しました。 とてもいい映画でした。 本来な...
精神疾患と映画と現実社会
全く予備知識なしの鑑賞でしたが三宅唱監督がまたやってくれたなという印象で、素晴らしい作品でした。
原作をかなり脚色しているとの情報も聞こえてきますが、原作未読の私にとっては映画単体として非常に良作だと評価しています。
手法やテーマは前作の「ケイコ目を澄ませて」と近いと感じましたが、今回の主人公が抱えている症状はもっと一般的で観客の日常とも地続きで繋がりやすいものなので、もっと色んな感想が出て来ても良いと思ったのですが「ケイコ~」以上に絶賛評が多く感じました。
この作品を見た後日、たまたま『コット、はじまりの夏』『658Km、陽子の旅』という、それぞれの問題を抱えた主人公達がある場所(環境)で変化(成長)していくという共通したテーマの作品を見て、どれも素晴らしい作品でした。
でも、この様な作品を連続して鑑賞すると「人間って、こんなにもか弱き存在だったのか?」という疑問も湧いてきました。
殆どの人に当てはまりそうな多くの精神疾患が増え、それぞれに問題を抱えて生きているのは分かるのですが、こういう映画を見て感動するのが果たして良い社会なのか?、社会そのものが悪くなっているからこういう映画が増えるのか?複雑な気持ちにもなってしまいました。
そうした人達の問題解決に迫り、希望を持たせたり、少しでも改善する為の方法がそれぞれの作品で示されてはいましたが、例えば『夜明けの~』は“お仕事映画”でもある訳で、一つのモデルとしてあんな会社が示されていましたが、「いい会社だなぁ~」と思う反面「あんな会社ある訳ないよ」って気持ちにもさせられました。
会社という組織はどんなに小規模でも色々なタイプの人達の集まりであり、善悪の問題ではなくても日々個々の様々な感情が渦巻いていて、恐らく本作の様な会社の在り方は理想というよりも“奇跡”と呼べるほどの(私の人生の仕事体験からして)理想郷でもある訳です。
まあ映画なのだからそれで良いのですが、例えば私の今まで働いてきた組織の社是とか理念はやたら綺麗ごとが並び、お客様に対しての気配り心配りの指導の徹底は理解てきましたが、社内の人間関係に対してのそれは全くなく、所詮資本主義社会であり、営利目的第一であるので成績の悪い部署や人間に対しては馬鹿・クズ・死ねとかの暴言が飛び交うのは当たり前でした。
全員がそうでなくても、それを言う役割(それを言える神経)の人間が必ず一定数存在し、私が今まで経験した組織には必ず存在していました。
本作については素晴らしい作品だと思うし、こういう悪人が出ない作品って優しくて鑑賞後感も非常に気持ち良くて絶賛されるのは十分理解できますが、現実はもっと厳しいという引っかかりはどうしても残ってしまいました。なので、同じような問題で苦しんでいる人が見たらもっと別の意見が出て来る様な気もしました。
『コット~』もあの夫婦に預けられたのは、幸運という偶然と奇跡の結果でしょう。
そういう意味では『~陽子の旅』が映画としては見ていて一番厳しく辛かったですが、ひよっとしたら己を(病気を)改善させる一番現実的な方法だったのかも知れないとも少し思いました。
あと、この3作品共通点として、説明台詞やナレーションが一切ないので、観客が見て感じた事が全てとなる類の作品でもありましたので、多かれ少なかれ観客も同様の問題を抱えていると思うので、こういう映画を見ながら自分や他者との関係を見つめ直すきっかけになれば良いですね。
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