「心が素直に温かくなる。こんな映画は初めてでした」夜明けのすべて 銀色さんの映画レビュー(感想・評価)
心が素直に温かくなる。こんな映画は初めてでした
大好きだった朝ドラ、カムカムの二人(萌音ちゃん、北斗くん)が主演ということで、原作も読まぬ状態、前知識もほとんどないまま映画館にGO。
結論から言うと、観てよかった、本当によかった!!!
PMS(月経前症候群)とパニック障害を抱える男女二人が、偶然出会い、なぜか気が付けば、お互いを支えて、笑い合っていた…。恋愛ではなく、同士のような、そんな関係。
PMSもひどい場合は、こんな風に精神不安定になることもあるんだなあと納得できたし、パニック障害は、予想通りの大変さ。
でも、主人公二人には悲壮感がない。そこがいい。辛いし、情けない、そういう悲しみはあるけれど、ちゃんと前を向いている。
それぞれの周囲の人たちも、みな普通に優しくて、押しつけがない。
そう、この作品には押しつけがない。そこが本当に、気持ちいい。
主人公に、無理に同情する必要も、ない。
登場人物の誰かを憎む必要もない。
だって、みないい人なのだ。
普通、悪役の出ない話はつまらない。
でも、この物語に悪人はいない。でも、つまんなくない。いや、むしろどんどん話にひきこまれる。
また、登場人物に、悲しみを背負う人はいても、悲しみにつぶされたままの人はいない。
観終わって、心がこんなに温かくなった映画は初めてだった。
普通に生きてれば、それで充分。心からそう思えた。
萌音ちゃんと北斗君の会話が本当に面白くて、何度も笑ってしまった。あまりに二人が、自然にやりとりしているので、映画というのを忘れて、自分も二人の横に座って、同じ空間で話を聞いているように感じたりもした。
それにしても、北斗君、今フジテレビで再放送中の「救命病棟24時」に出演当時の、江口洋介さんにそっくりで、びっくり。
萌音ちゃんの普通の子感もよかった。りょうさん、やっぱりお美しい!
若い人にも、丘みつ子さんがわかる私たち世代にも、ぜひ観てもらいたい作品。
しつこいけれど、本当に観てよかった。
観終わって、「たいやき」が無性に食べたくなって、帰りがけ、閉店間際のたいやき屋さんに駆け込んだ。