「優しく、そして強くなれる映画でした」夜明けのすべて たつのこさんの映画レビュー(感想・評価)
優しく、そして強くなれる映画でした
静かに、本当に静かに淡々と進む心に病を抱えた2人の、そしてその2人を囲んだ人達の物語。大きな盛り上がりが有る訳でもないそんな物語にただじっと見入ってしまいました。同じ職場で出会った藤沢さんと山添くんの関係が日を追うごとに変わって行き、やがてお互いの心の病を理解し合い、自分にまたまっすぐ向き合えるようになっていく様が心に響きます。またその2人を見守る職場の社長と同僚たち。そして前の職場の上司。この人達の存在が温かい。社長も、前の職場の上司も自身の大切な人を突然失った悲しみを抱えているので人の苦しみを良く理解し、寄り添う事が出来るのですね。病は自分ではどうする事も出来ないけど、相手の事は少しは助ける事が出来るのではないか?自分の弱さに向き合える人はとても強くなれますよね。山添くんが藤沢さんに言った「しばらく一人で怒っててもらっていいですか」この一言がとても優しく聞こえました。辛い状況にいても決して一人じゃない、星のようにまわりにたくさん人がいてみんなで動いてる。そして新しい夜明けがやって来る。いつまでも心に残るであろうと思わせる、優しさ溢れる映画でした。
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