「執念の復讐劇」告白、あるいは完璧な弁護 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
執念の復讐劇
韓国ミステリーのネチッこさ、二転三転する真実の行方。
実に見応えある会話劇でした。
登場人物はそんなに多くはない。
一組の不倫カップルが帰り道で遭遇する交通事故。
道を通過する鹿に驚き急ブレーキを踏むと対向車が岩に激突してしまう。
車同士は衝突していない。
それなのに自分達は訳ありの不倫カップル。
素直に通報して救急車と警察を呼んでいれば、
こんなに拗れた展開にはならないのが、
家庭のある男が不倫を隠そうとしたばかりに、底なし沼を
這いずり回ることになる。
スペイン映画「インジブビル・ゲスト悪魔の証明」のリメイク作品だと言うが、
もう立派に韓国ミステリーの味付けになっています。
「インビジブル・ゲスト悪魔の証明」を再見してみました。
韓国版リメイクはラストのシーンが全く違いました。
スペインのオリジナルはグッドマンという弁護士が、
犯人の男の自白を引き出したところで終わっている。
見せ場は弁護士を語る女の正体。
イーサン・ハント(トム・クルーズ)みたいに、変装した顔の皮を引き剥がして、
鬘を取り地毛を下ろしてメガネをかけて、ある人物に戻るのです。
そこがクライマックスで落ちでラスト。
韓国版は、弁護士と容疑者の会社社長ユ・ミンホが密会する場所を
大きく変えています。
オリジナルはホテルの一室。
殆ど演劇のような会話劇の2人芝居。
それを会社の会長所有の人里離れた別荘にしています。
しかも事件現場と非常に近いのです。
ここが大きな見せ場になりますので。
事故車はある家族の大事な息子が運転していました。
ある日を境に息子は車ごと失踪してしまうのです。
安否を心配する両親。
もし死んでいたら葬式と埋葬はどうしてもしてやりたい。
儚い望みです。
事故車の湖からの引き上げまでを実際の映像で見せて、
更に犯人のユ・ミンホが、弁護士と猟銃で殺し合いを演じるシーンまで
付け加えている。
ラストを大掛かりな事故車の湖からの引き上げ場面に持ってきて
ユ・ミンホがそれを目の当たりにする周到な凝りよう。
大いに盛り上げているのです。
犯人の男の卑劣さをここぞという程に見せつけ、
母親と父親の執念。
愛の強さが伝わって来る趣向。
両親の怨念の強さ、復讐心の激しさ。
韓国版リメイクの真髄が見られます。
琥珀糖さん
共感とコメント、ありがとうございます!
最初はリメイクと知らず見ていたのですが、
セリフがほとんど同じだったのですぐに気づきました(笑)
オリジナル版の弁護士さんが、キャラ強くて好きでした。たしかにイーサン・ハントみたいでしたね!