「素晴らしかった」家からの手紙 JYARIさんの映画レビュー(感想・評価)
素晴らしかった
シャンタルが自分宛てへの母親の手紙を読み続け、
カメラはひたすらにニューヨークの街並みを追っていく。
娘の気持ちは母の手紙からしか見えない。
しかし、最後にはニューヨークを旅立つ。
その答えの出し方も鮮やかだし、
道中にさまざまな考えを巡らせられるのも
この表現方法ならではだと思う。
人々を切り取ること、
人々を見つめること、
それは背景を読み取ろうとすること
自分自身をも見つめること
想像すること、創造すること。
全てが故郷につながり、
そして母親につながってしまうのだ。
とにかくこの母親への愛がたっぷりと詰まった映画は、
唯一無二のドキュメンタリー映画だといえる。
実際に母親の姿も娘の姿も出てこない本作が持つ力は
凄まじい。
私たちは、私たちの中で母親像、娘像を夢想する。
それは、かつての大切だった人かもしれないし、
有り得たかもしれないその人の姿かもしれない。
そして、いま大切にすべき人なのかもしれない。
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JYARIさんのコメント
2023年10月22日
2023/10/22 2回目の鑑賞
何度観てもこの映画が好きだ。
自由であけすけなアケルマンがすき。母親の言葉で、アケルマンの人物像が輪郭を帯びてくるのもこの映画の良さ。
映画を志したアケルマンの最高の返答だし、ラブレターよな……。