「「カムサハムニダ」と言うと絶対に通じ無い」高速道路家族 いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
「カムサハムニダ」と言うと絶対に通じ無い
子供達の揃えた謝意のなんとも不自然なイントネーションに、正に『言わされている』演技感を演出させる人を喰った面白味を感じる
ただ、今作はその部分も含めた所謂『是枝節』が色濃く染まった作劇になっている 決して否定をする訳ではなく、それだけ日本の監督の影響力が認められている証拠でもあり、嬉しい限りである
今作の白眉はなんといっても子役の娘役の女の子の演技であろう これも又是枝流儀に通じるのか、とにかく心が動かされる演技である
ストーリー展開も、深みを追求しなかったのは或る意味間違っていないチョイスだったかもしれない 韓国ならば幾らでもエグイ演出やストーリーテリングを書けるところを、そこまでに落とし込まないボリュームの利いたレベルにチューニングしているのだろう
それぞれが問題を抱えながら、未来への希望を抱く中で、夫だけが見いだせない その苦しみは痛い程理解出来る ゲスでも何でもなく彼なりの精一杯の強がりであり、褒められはしないが共感は充分、私は受け止めたい
ラストの描き方は、好き嫌いがハッキリするかもしれない 果してラスト前のあのシーンは娘の理想だったのか、それとも本当に夫婦は助かったのか、オープンクローズの一つの提案だと感じる事が出来た
他のレビューで辛口が多かったが、自分としては是枝量産型としての内容に満足している なにせ貧乏になる理由は千差万別なのだから・・・
韓国の日本よりも強い家父長制なところと共依存に近い感覚から嫁が麻痺していたと考えるのがしっくり来るのかなと思いました。
一昔前の日本人的感覚だったらもっと理解出来るのかなと。
バッカス様の鋭いご指摘に、はっきりと今作のテーマが現われました
やはり東アジアにおける『家父長制』と、実存社会に於ける新資本主義との乖離が今作のテーマなのだろうと・・・
兎に角、現在はアイデアと人たらし、コミュニケーション能力が成功する必須であり、そこに運が舞い降りれば、ビリオネア一丁出来上りって感じでしょうね 如何に自分のネガティヴさを押し込め、病的なポジティヴさを演出すること、双極性障害の正の部分を旨く活用できた人間がコンビニなんぞに働く数百倍の応酬を手に入れるのでしょうね・・・
こんなセカイ、早く滅んでしまえ!!
それと、女性が意志を持ち始める、ジェンダー的作品という側面も今作には描かれます
家父長制がなかなか切り崩せない東アジアの国々ですが、無能な男共に鉄槌を喰らわす意味でも、先ずは映画や演劇で題材を披露することで、"受肉"させれば、その無能な男共(代表は私w)は肩の荷が下ります