「子も持つ親のための作品」aftersun アフターサン iroiromanさんの映画レビュー(感想・評価)
子も持つ親のための作品
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終始単調で、劇的な展開はない。
親子の心の動きをただ静かに映し出す作品。
余白が多く、主人公が幼い頃に捉えきれなかった父の姿がうまく表現されていた。
大人になりその余白が想像で埋められるようになってくる。
親子関係を静かに見つめ直したい時に観るのが良さそう。
ポール・メスカル演じる父は、娘を大切に思いながらも大人になりきれない中で若くして大人になったので、深い愛情を持ちながらも、どこか距離を感じる。彼なりの理想と現実があって、その隔たりに心がついていけずに情緒が不安定なことも。背中と表情だけでそれを表現できるのがすごすぎる。
自立と好奇心に揺れる思春期の娘ソフィの自然体な演技も素晴らしかった。
自身が親と過ごした記憶と、自分が親になってからわかる想いには大きな隔たりがあって。
明確に答え合わせをするものでもないが、発した一言、ふと見せた後ろ姿、些細な言動から振り返ると感慨深い。
朧げだが確かに感じる距離と愛情を思い起こした。
個人的には娘がもう少し成長したら見返したい。
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