劇場公開日 2023年5月26日

「貴方の気持ちに気づいたときには、貴方はもういない。」aftersun アフターサン ひでちゃぴんさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0貴方の気持ちに気づいたときには、貴方はもういない。

2024年1月9日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

『aftersun/アフターサン』を劇場で3回鑑賞した。
本作が長編デビューの監督・脚本:シャーロット・ウェルズが
巧みすぎる紡ぎ上げ方をしている映画だと思う。

父と娘の最後の夏休み&トルコのリゾート旅行を
Panasonicのビデオカメラで撮影した映像と、
父(ポール・メスカル)視点と娘(フランキー・コリオ)視点に加え、
客観的視点で描かれていて、父親が自死に至る布石が多々見受けられる。

やっぱり強烈にグサっときたのは、
「ソフィへ 愛しているよ 忘れないで」のポストカードのメッセージ。
時制的には旅行中に書いたものだと思うのだけれど、
もう完全に死を意識していたに違いなく、確定要素のように見えた。
旅行中、ふたりがハッピーな雰囲気に見えても
音楽が不穏だし、徐々に父の不安定さが露呈されていくところが
なんともせつない。

実は冒頭からその示唆出しはされていて、
娘ソフィのビデオインタビューでの「変な動き」との発言に被せて
きつめに「変じゃない」と言うあたり、もうおかしな反応だったりする。
父の様子が変なのは、別れた元妻もわかっていて、
娘ソフィにある種、監視役を任せているわけだけど、
11歳のソフィは大人へ憧れる多感な少女なので、
父の様子の不穏さには当時気づかず、父と同じ年齢になった今、
ビデオを見ながら、
ようやく父の気持ちというか思いに気づいたのだと思う。

主演の父役、ポール・メスカルは背中で語る俳優だなと思う。
本作ではポール・メスカル演じる父の背中が雄弁だ。
この映画を観ると、身近にいる人を大切にしなきゃと思う。
失ってからだと遅く、後悔しか残らないよ・・・ということを
教えてくれている映画でもあると思った。

ひでちゃぴん
ミカさんのコメント
2024年7月29日

私は多忙で劇場にいけなくて、今になってアマプラで鑑賞しました。多忙良くないですね。スクリーンで観たかったので、羨ましいです!

ミカ
ひでちゃぴんさんのコメント
2024年2月12日

好きすぎてBlu-rayも購入しました。ずっと好きな作品です。

ひでちゃぴん
Mさんのコメント
2024年2月12日

昨年、一番心に残った映画でした。
普通のホームビデオを淡々と撮しているだけですが、とても印象に残る作品でした。3回も見られたのですね。

M