「自分の人生と娘の人生」aftersun アフターサン Pocarisさんの映画レビュー(感想・評価)
自分の人生と娘の人生
20代30代なんて、本当は自分個人の問題でもたいへんな時期なんですよ。
しかし多くの人はそんな時期に子供の親になる。
見る前は父の愛情を大人なった娘の視点からなぞり返し、お父さんありがとうみたいな結末に至る話だった嫌だな……と思っていたのですが、そこは非常にドライで、彼女もまた子供を持った地点にいることだけが示され、ベタベタした愛情物語にはなっていませんでした。
むしろ、自分の人生と娘の人生との間に置かれる父親を(彼自身の子供時代のトラウマも示唆されながら)、言葉で説明せずに、滲み出る情感を通じて描こうとする手法はたいへん素晴らしいと思いました。
「父娘はこうあるべき」ではなく、父も娘もそれぞれに個人であるという視点がしっかりあるんですね。
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