「隠されたメインテーマについての解説!」aftersun アフターサン お主ナトゥはご存じか2世さんの映画レビュー(感想・評価)
隠されたメインテーマについての解説!
この作品わからないから面白くないで終わらせるのがめちゃくちゃ勿体無いと思うのでこれから色々説明していきます、アフターサンは映画祭で賞を71も獲得してますが完全同意ですね!
静かで何も起こらず単にバカンスに行ったホームビデオを見るだけの映画だから つまらなくて面白く無くて低評価を付ける人がかなり多いのもめちゃくちゃ理解出来ます!(低評価になる理由は激しい出来事ゼロで色々な説明が全く無いから考察しないと何も無く終わるだけだし普通入れて来るであろう説明的なシーンや具体的な会話をワザと無くしてるので観る人によって解釈が相当変わるように計算されていてワザと大事な場面を抜きつつ考察で理解して二度目の鑑賞で完璧に辻褄が合うのでそこで驚くような構造になってます)
この映画実は1番重要な部分を隠しながら物語が進行して行きますから!
見ていて最初は何も起こらないし仕掛けに気づく訳もないし静かで眠いなあとか思ってたら途中から父親の様子がおかしい事に気づきバカンスの途中から大丈夫か?となって不穏な空気が立ち込めていき どういう事だ?ってなってからが面白いですね(実は伏線というか暗示するような場面は初めから色々仕掛けられているけど一回目の鑑賞ではわかるはずがないから2回目の鑑賞で発覚するように作られています)しかも2回目に見たら絶句するんですが最初の2分くらいでラスト付近の重要な部分をほぼ見せてます!
更に言うと初めて見た時は最初静かで眠いなくらいの感じでしたが 2回目に見て気づくんですが娘はそもそも母親に父の様子がオカシイから見ておいてって言われているとか いちいち全ての行動や言葉に意味があって(前半退屈だと思ってたシーンがマジで完璧に言葉一つ一つ全て意味があって暗示になっていて驚愕しました!)
2回目の鑑賞で全く見える部分があまりにも違いすぎて父は最初から不安定だったというのもわかります。
そもそも何故腕を怪我してるのか?(腕にケガをした記憶が無いみたいな話をしていて海に行った後も肩にケガをしていて記憶に無いと言ってたので情緒不安定な時に何かやらかしてるのがわかる)
何故太極拳をしてるのか(精神の安定を図るためとバカンスの間は何回か死のうとしているがソフィの為に死なないように頑張ってた) あと娘にお金無いんでしょって言われて沈黙したりしてるのに 何故高級な絨毯をお金が無いのに必死に買ってあげようとするのかとか(形見)
ベランダで手すりの上に何故居たのか(これも普通にベランダで景色の眺める為に上に乗るはずが無いし死のうとしてるけどそれを普通にスルーする確率が高いシーン)何故いきなり鏡にツバを吐いたのか(ソフィが楽しい事の後に落ち込むよねぇって話を聞いたあとに自分が正にその状態だから自分が許せなくて自分が写ってる鏡にツバをはいた)別れた妻に何故愛してると言ったのか?(ソフィもなんで別れたのに愛してるって言うのって質問しているが最後の会話になると自分で思っていて言っている)何故夜に海に行ったのか?(あれが自殺未遂だったって気づかない人も多いと思うし度々死のうとしていて最初のほうでバスが走って来てるのに普通に歩いて行ってそのせいで惹かれかけていてここの時点で惹かれて死んでもいいと思っているのがわかるしその直後にバイクのゲームでゲームオーバーという文字を写して暗示している)更にはバカンスが終わりそうになるほど父親が娘には普通にしてるけどかなりおかしいぞ!ってなっていきますし娘もまだ幼いしよくわからんからなんか父が変だけど・・・くらいなのも絶妙なんですよね(だからこそ31歳になったソフィが自殺した父親との最後のバカンスの時の映像を見ながら気づくという内容に上手くなっている)
カラオケのシーンもソフィが歌う歌の歌詞(父親の心情を言っている)もかなり重要で二回目の鑑賞でやっと気づきました!
バカンスの最終日の夜に向かって進行していきながらのクライマックスのダンスで途中途中に散りばめていたフラッシュバックしてる映像と繋がるダンスフロアのシーン(映画の最初から途中途中で入り込むダンスフロアの映像は最初は小さい頃のソフィだがすぐに成長した今のソフィの映像になるんですが実際のクライマックスのダンスフロアのシーンは11歳の時です!父親と大きくなったソフィがダンスフロアで抱き合える訳が無いので、あれはソフィが大人になって父の事を理解してきているのを表していて最後は完全に理解できたのを抱き合う場面で表していると読み取れます!しかもダンスフロアの31歳のソフィは楽しい場所のはずなのに真顔でめちゃくちゃ険しい顔をしていて瞬きしながら観てる時点でフラッシュしてる映像なので見逃す可能性が高いですよ!最後空港のドアの向こうがダンスフロアなのを考えても現実世界では無いし確実に父親が死んだ事を暗示していてますがドアの向こうがフラッシュしているのを気づいて居ない人がかなり居まして超重要な部分なのに見逃しがちなポイント!)名シーンですね!(しかもラストダンスのシーンの涙腺崩壊させる瞬発力の異常な高さは驚異的!)
更に言うと 父親が娘に将来の事を聞くんだけど父親は死ぬつもりだからあの会話での未来の娘を見る可能性が無いと思うとめちゃくちゃキツイシーンなのに自殺しそうな父親って事に気づいて居ないと単なる会話なので
2回目見た時のほうがダメージ受けます!
結局父親が鬱病で自殺に追い込まれる寸前の状態でバカンスを娘と行ってるっていうテーマを隠しているので 実際それに気づかないで終わる人もかなりいるとはおもいますがそれがわかるとこれは遺言だとか護身術を真剣に教えたりしてる意味を考えるといちいち悲しいんだよなあ!
娘の年齢の設定が絶妙であれより年齢が低いと単に父親が世話するだけの作品になるし娘が15歳とかだったら思春期に突入していて父親と旅行行くどころか父親と一緒なんて恥ずかしいし気持ち悪いからあっち行ってって年齢だしよく考えられてると思いました。
更にいうと娘もビデオの映像は今まで一切見てなくて
父親の誕生日の日に父親と同じ年になってやっと意を決して見たというのも語られて居ないけどわかりますね、
最後に父親が形見として買ってくれた絨毯をさりげなく娘が使っていたり 細かいところが良く出来ている繊細な映画ではあります。
ただ色々と深掘りするとめちゃくちゃ切なくて悲しい作品で、父親が死ぬ寸前の状態で最後の時間を娘と過ごしたっていう部分がセリフで全く言わないのに映像だけで語る手法って相当難しい事をやっていてますね、病んでる時に見るとかなり危険で相当ダメージ喰らいますよこれ。
最後のほうで 高いところに魅入られて遺跡かなんかの上に居たらソフィのサプライズでそこに居る人みんなにハッピーバースデーって祝われて そのあとのシーンで号泣してる背中を見せつつ ソフィ愛してるよ忘れないでって旅先から送る手紙が映るんですが ソフィに手紙が届く時には父はこの世に居ないので あのシーンはマジで泣けます(普通の映画だと父が死ぬシーンの後に娘がその事を知ってあの手紙が届いて読んで泣く場面いれてきます)
あと最期に娘を空港で見送ってドアの向こうに行くシーンですがこのシーンに行く前はビデオを見終わる、次に見終わって呆然としてるソフィがうつりながらカメラがゆっくりスクロールして空港のラストシーンになる流れが見事です。
この作品父が自殺するシーンも無いから病んでた事に気づかないどころか自殺してソフィと2度と会って無いの想像するしか無いからそれも分かった人には余韻になるような構造なので 理解出来るとベスト級作品になる確率高いと思います。
オチがわかってからの2回目の鑑賞で最初から父親の事がわかってる状態で映画を見れるので父親の心情がより深く読み取れますし脚本の作り込みが異常というか全て計算された演出なのが一回目で気づかないように仕組まれてるのが天才的です!
まあ監督の実体験と言う事で自分の過去の辛い体験を映像化している訳で 雇われ監督がそつなく作った作品とかでは無いのは納得ではありますね。
あと悪い言い方をさせてもらうと父が死ぬ直前の娘との最後の旅行に行く感動モノって部分を全面に押し出した予告にしてさあさあ泣いて下さいってやるのが定番の手口だと思うしタイトルもソフィ最後の旅行とか間抜けな日本タイトルにされなくて良かったです!
アフターサンて原題も日焼けみたいな言葉でヒリヒリするような感覚を味わう作品なのでナイスタイトルだと思います。
しかもその事を隠しつつ映像で表現するとか めちゃくちゃとんでもない事を成し遂げてる作品なのは間違いないですね。
一回見た時にわからないと言うのはこの作品は当然なのでここを見て色々わかった上でもう一回鑑賞するだけで全く違う部分が見えてくるので わからないからつまらないので低評価!終わりじゃなくて 2回目チャレンジしてほしいものです!
2回目の鑑賞でここまで印象の変わる作品も珍しいってのが他に類を見ない内容で パンフレットもめちゃくちゃ凝っていて思い出のアルバムみたいな作りでパンフレット見ただけで泣きそうになりますよ!
ちなみに1回目の鑑賞だと娘目線でよくわからんないなあって感じで見てるのが2回目だと父親目線で鑑賞するので観る目線が変わるので全く違う作品見てるくらい違いますよ!
これに関しては評価がハッキリわかれる作品ですしむしろ面白く無いって言う人の方が多いだろうし誰にでもお勧め出来ないけど父親の真意に気づいて鑑賞出来た人だと年間ベスト級の良作品だとおもいます。
コメントありがとうございます😊私にはサッパリですが、劇中で父親が男性と抱擁かキスだったかしているシーンがあり、←私は認識できていないです。ソフィも同性愛者、監督自身の体験を基にとなれば監督も。そして父親も⁇
こんばんは♪拝読させていただきました。私、訳がわからないので何回も観ていますが、フラッシュのところの顔などはっきり認識できていません。父親が出て行く空港のドアの向こうも見えていないです。本レビューをもとにメモにして見つつ再鑑賞したいなと思いました。娘との会話もなかなかですね。ありがとうございます😊
質問ですが、あるレビュアーだとこの父親、ゲイであり悩んでいたとの表記もあります。
『鬱だ』とはベランダに出て、娘が寝息をたてているのに煙草を吸う場面で、そう思いました。
だから、この娘は賢明で聡明な子供で父親のうわてをいってるなと思っていたら、性的なマイノリティ。そして、パートナーとの間には養子の赤児の声。
『ね♥お父さん貴方はいなくなってしまったけど、私はこの子に愛情を降り注いでいくわ』ってこの娘は言っている。僕はそう思いました。だから、涙よりもこの子の強さに感心した次第です。
長々とすみません。もう一度見てみます。
レビューは素晴らしいと思います。
コメント、ありがとうございます
私は2回目観賞をしていないのですが、貴殿の微細な考察で、大変参考になりました
ここまで詳細にご覧になったクレバーな視点、只々頭が下がります 素晴らしい探求であると、敬服致します
低評価のレビュアーはこう言うでしょう 『1回で解らない映画は鑑賞者をバカにしている』と・・・ この酷暑の時期に、熱湯を呑ませてアスファルトの上で小一時間程放置したい程、その凝り固まった頭のネジの溝をすり減らしてバカにしてやりたいと思う次第です(苦笑
なので、提唱しているのは、ハリウッド的解りやすい作品と、ソフトストーリーは、キチンと棲み分けすべきであり、鑑賞者に責任を負わせる仕組みを構築すべきかと・・・
ラーメン食べに行こうと思って寿司を食べさせられたらそりゃ非難囂々ですものね(汗
私は、その意外性に感動する口ですが(笑
今作の"希死念慮"を主眼とした作品、本当に観につまされますし、なんなら自分も正直"常"です 今作のお父さんが、それでも死ぬのを躊躇い続けながらどんどん経済的に困窮していく中で、果して彼の望みは叶うのか、それとも生き地獄を味わい続ける人生に諦観するのか、その先の未来を想像させる事に邪魔は入りません
重い返信、大変失礼しました スルーして下さい
とりあえず2回目の鑑賞だと全く別物くらい違う印象の作品で
アフターサンに関しては2回見てやっと完結するように作られているのがよくわかりました
2回目があって本当によかったです!
レビューを読みながら思い出してしまって、頭の中で「Under Pressure」が響いてしまい・・・。
いい作品でした。
レビュー、よかったです。書いていただき、その上、書き加えたことを紹介までしていただき、ほんとうにありがとうございました。読めてよかったです。
今晩は。
コメント有難うございます。
今作はフライヤーから微妙に作品の内容を匂わせていますね。
そして、カラムが別れて暮らすソフィとの”最後の夏”のバケーションを過ごす日々が淡々と描かれていますが、カラムの精神的に不安定なシーンも随所で描かれていますよね。イキナリ手首を骨折してギブスをしていたり(個人的には、自身の歯がゆさ故に何かに叩きつけたのかなと思って観ていました。)、夜中に一人で海に入って行ったり(入水するのかと思いましたよ。)経済的に恵まれていない点も何気なく描かれていましたね。それなのに高価なトルコ絨毯を逡巡しつつ買うシーンなど。(娘への最期のプレゼントかなと)
私が今作の監督のメッセージを強く感じたのはダンスフロアでのクイーンとデヴィッド・ボウイのコラボ名曲【アンダー・プレッシャー】が流れる中でのダンスシーンの描き方。巧いなあと思いました。
深読みしたい人にも、一夏の親娘の姿を見る人にも響く作品だと思いました。
因みに、私は「Tar」も「ウーマン・トーキング」も好きですが、テイストとしては娘を持つ男としては今作が一番響きました。
カラムがソフィの手紙を足元に落として号泣する背中を写したシーンは上記を考え、沁みましたね。
これからも宜しくお願いいたします。あ、返信不要ですよ。では。
あと更にコメントですが
仕事の関係でウーマントーキングが見に行け無くて 一昨日が最終日でみにいけませんでした
あと2回目のアフターサンも未遂で終わって大ショックです
やはり海外の映画祭で多数の賞を取る作品は当たり前だけど
凄いのばかりです
という訳で クローズは劇場で次に観る予定です!
これはマジで名作! しかも大事な部分を見せないで演出してるとか ハイレベルな表現方法です
普通はモロに説明して 鬱で自殺しようとしてる父の娘との最後のバカンスっていうのを予告でやって感動モノってウリにしますから! 普通にありえないというか
こういう作り方はしないです
そこが凄かったりするので
ところで、どこかのレビューに対するコメントに「ウーマン・トーキング」を見に行く予定、とあったような気がするのですが、もう見られましたか?
もし、見られていたら、どんな感想をもたれたのか、レビュー、楽しみにしています!
見終えてから後にどんどん心に響いてくる作品というのは、そんなにないですよね。ただの「バカンスに行ったホームビデオを見るだけの映画」なのに、こんなにもここらに残る作品になるとは。もう一度見たいと思っている間に上映する映画館がなくなってしまい、とても残念でした。
このレビューも含めて、いい映画にはレビューにも心に残るレビューが多いですよね。
そこなんですよね
バカンスに行ったときのソフィもなんか様子がお父さん変だけど なんだかよくわからないし黙っておこうって感じですから
まあ11才でそんなの理解出来る訳もないし! それでその時の映像を見返してるってのが
効いてくるんですよねー
本当に良い脚本です!