「何も起こらない、何も語らない、なのにどこか愛おしい映画」aftersun アフターサン リオさんの映画レビュー(感想・評価)
何も起こらない、何も語らない、なのにどこか愛おしい映画
父親と2人で行った思い出のトルコ旅行を、ノスタルジックな映像と共に淡々と描いた作品。当時10代前半と思われる、思春期真只中のソフィーの視点が印象的。
ソフィー役のフランキー・コリオはこれがデビュー作とのこと。自然体の演技が素晴らしかった。
それから、本作の思い出の舞台となっている20年〜25年ほど前、スマホが無い時代。あの当時、ほとんどのことは今と同じように満たされていたけど、困った時に片手で検索すれば何でも答えが得られるほど便利な時代では無かった。同じく、今ほど価値観の多様性が許容されている時代でもなかった。
一方で、ほどよい不便さや生きにくさが、今思い返せば、何故かそこはかとなく愛おしい時代でもあった。
青を基調としたノスタルジックな映像を眺めながら、つい自分の思い出にも重ねていた。
何も起こらないし、何も語らない。
それなのに、どこか愛おしい作品でした。
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