「当時の記憶と父への想像が繊細にそして鮮明に蘇る」aftersun アフターサン にちさんの映画レビュー(感想・評価)
当時の記憶と父への想像が繊細にそして鮮明に蘇る
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この作品は、前半は正直「演出がよくわからんな」と感じることもあったが、次第に以下に示すような構造に気づき、ぐっと惹き込まれた。
本作で描かれるシーンは、「少女時代のソフィアの記憶の想起」「父に対する想像」「少女時代に撮影された映像」の3つが混じり合っている。
例えばパラグライダーや若者同士の飲酒、濃厚なキスシーンなどは、当時のソフィアが目撃した「大人の世界」の記憶を描いたものであり、冒頭に父がバルコニーで踊るシーンや夜の海辺に消えるシーンは、当時のビデオから想像する「こんなことをしていたのだろう」という父の姿を大人のソフィアが想像したものと思われる。
そしてそうした記憶は、肌触りや鼻息が聞こえるほど繊細で鮮明に蘇る。
監督の他の作品や影響受けた作品が気になってパンフレットを購入してしまうほど印象的な作品だった。
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