「あれで地球が動くとは思えないが、とにかく凄えこと考えるなあと思える映画でした」流転の地球 太陽系脱出計画 Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
あれで地球が動くとは思えないが、とにかく凄えこと考えるなあと思える映画でした
2024.3.27 字幕 TOHOシネマズ二条
2023年の中国映画(125分、G)
原作はリウ・ツーシンの小説『流転地球(邦題:さまよえる地球)』
前作『流転の地球(2019年)』の続編で、前日譚にあたる物語
監督はグオ・フォン
脚本は王紅衛&楊治学&龔格爾&郭帆&葉濡暢
原題は『流転地球2』、英題は『The Wandering Earth 2』で、「さまよえる地球」という意味
物語は、2044年の地球にて、太陽フレアの影響のために太陽系から脱出しなければならない状況が描かれて始まる
世界では主に二つの研究が進んでいて、ひとつは「デジタル生命体」の研究で、もうひとつは「地球エンジン」の開発だった
人権問題を憂慮して、デジタル生命体の研究は禁止され、それによって、世界のインターネット網も停止させられてしまう
「地球エンジン」は地球に無数のエンジンを取り付けて、その推進力で太陽系を脱出しようとするもので、今ではそれが可能かどうかを月面で実験をしているという段階だった
その任務に就いていたパイロットのリウ・ペイチアン(ウー・ジン)は、実習生として、宇宙エレベーターに乗り込んだ
恩師・シャオ・ポン(シャー・イー)は地球に残り、友人のゴラシノフ(ヴァティリ・マカチェフ)とともに、その様子を見守っている
だが、何者かによって宇宙エレベーターの制御コンピューターがハッキングされ、さらにドローンシステムまでもが奪われてしまう
ドローン戦闘機は宇宙エレベーターにミサイルを放ち、その犠牲になって、エレベーターは次々と落ちてしまう
そんな折、テロリストと相対することになったペイチアンは、同乗したハン・ドゥオドゥオ(ワン・ジー)とともにテロリストの制圧に成功する
だが、ドローンは宇宙ステーションに到達し、ステーションは藻屑と化してしまうのである
この事態は世界政府の方針転換を強いることになり、月面での起爆実験を急がせることになる
月面での起爆には新型コンピューターも必要ということで、北京から量子コンピューターの専門家トン・ホンユー(アンディ・ラウ)とバー・ジャオ(ニン・リー)がミッションに向かっていた
全世界が見守る中、起爆実験は成功し、世界政府は「地球エンジン計画」を推し進めることになったのである
映画は、ペイチアン&ドゥオドゥオのカップルの物語と、トン・ホンユーと娘トウ・ヤーヤー(ワン・ルオシー)の物語、そして政府側としてジョウ・ジョウジー(リー・シュエチェン)&ハオ・シャオシー(シュ・ヤマンツー)の中国大使が他の国との主導権争いをしている様子を描いている
いわゆる群像劇のような感じになっていて、この3組が交わることはない
ペイチアンはエレベーターテロと月面への核兵器設置を担い、ホンユーは月面実験の後は北京のインターネット復旧の任務にあたっていく
故に、違う場所で奮闘した人々が成功によって抱き合って、というエンディングにはなっていかないのである
『流転の地球』は、地球が動き出した後に起こるトラブルを描いていて、ペイチアンの息子たちの世代が活躍する内容になっている
あの世界観にどのように繋がっていくのかがメインではあるものの、前作の視聴はほぼ不要の内容になっている
科学的検証などを考えてはダメな映画で、とにかくスケールのでっかい映像をスクリーンで体験するのが醍醐味となっている
おそらくデバイスで観ても面白くないと思うので、興味のある人は映画館に行っても良いのでは無いだろうか
いずれにせよ、中国映画ということもあって、あまり情報がないので下調べは大変である
登場人物も結構多いので、顔を覚えるのが大変で、パンフレットも無いので予習すらできない
基本的に中国映画なので、中国が有能で切り札になるのはお約束だが、アメリカの司令官が使えない設定で、ロシアのパイロットと仲が良いというのは現実的だなあと思った
日本描写はほとんどなく、東京のインターネットの復旧はきちんと終わらせていたので、有能グループの方に入っていたのかもしれない
見どころは後半の決死隊の選出シーンであるが、こういった価値観は全世界共通なのかなあと思ってしまった