劇場公開日 2024年4月5日

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「クローネンバーグ✕ミア・ゴス="らしさ"全開狂気の渦に飲み込まれる荒波のオールインクルーシブへようこそ」インフィニティ・プール とぽとぽさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5クローネンバーグ✕ミア・ゴス="らしさ"全開狂気の渦に飲み込まれる荒波のオールインクルーシブへようこそ

2024年4月7日
Androidアプリから投稿

タイトルに冠された、水平線との境目がない"インフィニティプール"とは、永遠に続き遥か彼方どこまでも広がるもの=世界。例え暴れるキッカケ口実があったとしても、そうした凶暴性・野蛮さを、プール=個人の中に留められるか=思考・倫理観は、貴方・僕ら次第…?
異型や人体破壊の大好きなクローネンバーグの血の濃さとミア・ゴスの狂気演技・怪演っぷりを再認識した。これからスゴく濃いものに出くわしたら、喩えとして「クローネンバーグの血か!」とツッコむことにしよう。そして、製作総指揮にも名を連ねる主演スカルスガルド兄が堕ちて暴れて酷い目に遭う…。地元民に歓迎されない観光客、そのワケは?父親に反抗するために貧乏作家と結婚したという主人公夫婦の前に現れた、主人公の作品のファンだという夫婦。
やけに前の詰まったルッキングルームのない構図で醸し出される不穏感・不安定さ。泣き言ばかりの己を葬り、野蛮な凶暴性を解放する。自分の無残な死を他人事として目の当たりにしては、人間性が欠如するように倫理観が崩壊していくさまをまざまざと見せつける。幾度となく脱皮するように、観客も自分自身もどれが本当の自分(姿)か分からなくなっていく混乱と曖昧さを含んだラスト。

そのときどう転ぶか、どの自分が出てきて、どっち側になるか

とぽとぽ