「王様は裸だ!」ヤジと民主主義 劇場拡大版 odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
王様は裸だ!
2019年7月に札幌で起きた安倍首相の街頭演説での道警のヤジ排除問題とその裁判の行方を追っているが、衝撃的だったのは、2022年7月8日の安倍晋三銃撃事件、23年4月15日の岸田文雄襲撃事件後も含めて取材を続けていることでした。普通のメディアなら本作の様な微妙な社会問題を扱うドキュメントは頓挫していても仕方ないと思いますからTBS系列は流石です、ただ、札幌の件について、有識者の意見は聞いているものの肝心の安倍さんの見解を取材していないのは残念、聞きたかった。
22年3月の札幌地裁判決では大杉氏、桃井さんともに勝訴したが、23年6月の二審判決は「男性が聴衆から暴行を受けたり、安倍氏に危害を加えたりする具体的な危険性があったとし警察官の行為には合理性がある」とし大杉氏は敗訴、桃井さんは一審通り。(映画後の2024年8/19の最高裁判決も2審通りだった)
暗殺事件の後だから警察の対応評価が安全方向に振り直されたのも仕方ないかもしれない。対して桃井さんは、「やじがもっと自由に言える世の中なら、あの最悪の事件は起きなかったかもしれない」と意味深な表現をしていましたね。
「安倍やめろ!」のやじを飛ばした大杉氏は2017年の秋葉原での都議会議員選挙応援演説に来た安倍さんへの「安倍やめろ!」のやじに触発されたと言っていましたね。やじを聞いた安倍さんは「あんな奴らに負けるわけにいかない」と即座に反論、明らかな組織的な選挙妨害でない限り、街頭演説での聴衆との論戦があったとしても自然かもしれませんね。
そもそも、やじの原点は1837年のアンデルセンの童話「裸の王様」、子供が言う「王様は裸だ!」だとされているそうです、それも実に意味深ですね。