「【2019年7月に札幌で起きた故安倍首相の選挙演説でのヤジ排除問題の是非を、観る側に問いかけるドキュメンタリー映画。この国の民主主義の在り方に、大いなる警句を鳴らす作品でもある。】」ヤジと民主主義 劇場拡大版 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【2019年7月に札幌で起きた故安倍首相の選挙演説でのヤジ排除問題の是非を、観る側に問いかけるドキュメンタリー映画。この国の民主主義の在り方に、大いなる警句を鳴らす作品でもある。】
ー まずは、凶弾に斃れた故、安倍首相に対し謹んで哀悼の意を表します。-
■当時の首相・安倍晋三の演説時に「安倍辞めろ!」と政権批判の声をあげた大杉氏や、プラカードを持っていた女性、桃井氏が突然、公安警察官たちに取り囲まれ、その場から強制的に排除された。
2019年のヤジ排除問題から見えてくる公安警察の法的根拠のない権力行使やメディアの弱体化など、さまざまな問題を映し出した作品。
◆感想
・この映画を観て今更ながらに思うのは、特定機密保護法が2013年に安倍内閣が強行採決し、法案が通った時点から日本の右傾化が加速した事が伺えることである。
・安倍内閣は”美しい国、日本”をスローガンとして掲げ、1997年に設立された”日本会議”の国家権力に及ぼす影響も徐々に増大して行った事は、ご存じの通りである。
その後、日本はドンドン右傾化した数々の政策を行っている。
■今作では、安倍晋三首相による2019年の参議院の応援演説会場で“安倍辞めろ””増税反対”とヤジを飛ばした大杉氏や、プラカードを持っていた女性、桃井氏を公安警察官が取り囲み、力づくでその場から排除し、その後も執拗に彼らを妨害する姿が映されている。
恐ろしいのは、その後大杉氏と、桃井氏が起こした裁判に対して北海道警察が表明した言い分と、このドキュメンタリー映画でしっかりと描かれている公安警察の言い分の食い違いである。
明らかに、北海道警察が表明した言い分は、”虚偽”だからである。
<このドキュメンタリー映画を観ると、公安警察は”警察官職務執行法第5条”を明らかに逸脱した行為を、一般市民に行っている。
札幌地裁では、原告勝訴と言う画期的な判断が下されたが、安倍首相の襲撃事件が起こってしまい、その後控訴された裁判で、大杉氏は負けてしまった。
だが、この映画でも描かれている通り、安倍首相襲撃事件と、大杉氏、桃井氏の行動は全く違うのである。
今作は、どんどん、右傾化していく現代日本の現状について、観る側に如何に思うかを問いかける作品なのである。>