劇場公開日 2023年3月17日

  • 予告編を見る

「かなり公平で、驚きは少ない。」妖怪の孫 Boncompagno da Tacaocaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0かなり公平で、驚きは少ない。

2023年3月19日
iPhoneアプリから投稿

タイトルが与える印象よりも、かなり公平な内容である。安倍政権下での政治経済の明らかな停滞はデータを示しているし、民主党政権の原発危機対応のまずさから日米のエリートに安倍晋三への期待が高まったことも、米国人記者に語らせている。
意外だったのは、安倍の影響下でお膝元の下関市の公共工事を自らの古巣の神鋼系企業に任せ、むしろ地元の中小企業には落としていないこと、父晋太郎は彼と違い、地元の朝鮮系の人にはそれなりに配慮していたことなどである。
この映画が改めて思い出させてくれた、改憲論議で安倍が示していた憲法前文の積極的誤読(現憲法は他力本願で情けない)は、彼自身がいう「積極的平和主義」的な読み(日本自身が国際平和のために積極的役割を果たすべき)とも矛盾するのに、彼は安保法制を憲法前文を根拠に「平和安全法制」と謳って推進したことである。だから、私は安倍を信用していない。
また、「やってる感」という言葉が安倍本人の発言にあり、実効なき空疎なスローガンは確信犯だったこと、自民党のメディア利用の周到さは印象に残った。

Boncompagno da Tacaoca