劇場公開日 2023年3月17日

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「難はあるが、事実のみの列挙に徹しようとする姿勢は感じた」妖怪の孫 コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5難はあるが、事実のみの列挙に徹しようとする姿勢は感じた

2023年3月17日
PCから投稿

事実のみの列挙に徹しようとする、編集に思えました。
タイトルを「揶揄」と捉える方もいるかもしれませんが、晩年に畏怖を込めて「昭和の妖怪」と呼ばれた岸信介氏の孫なのだから、むしろ「尊称」でしょう。

岸一族と旧統一協会とのつながり、国会での嘘の数々、いかに「要領よく」「やったふり」「雰囲気だけ」な政策だったか、法の解釈を捻じ曲げた様々な横暴で官僚が法を破っても政権におもねる現状などを、整理整頓して見せていたのはよかった。

安倍政権以降も、アシストを続ける野党の無能ぶりにも触れていました。
観る前は、党派性に立った偏見による攻撃的な「アベガー」作品になってないか不安だったが、そこは回避できていたとは思います(無論、安倍氏の信奉者には「とんでもない捏造ばかり」と反論されるだろう中身ではあったが)。

礒崎、高市、萩生田らによる放送法解釈変更が何故行われたのかの立証となる、当時の国会の動画に、資料や証言もあり、タイムリーさが加わっていたのが興味深かったです(舞台挨拶での監督に寄れば、意図していなかったらしいですが)。

一番衝撃だったのは、安倍氏の選挙区だった下関の衰退ぶり。
シャッター街が増え、人口は減少していた。
なのに人口に見合わない豪華な箱ものだけが増え、それには自民党に献金した大手企業が談合で受注した疑惑がある。
五輪にしろマイナンバーにしろ、これを全国規模でやっているから、日本は衰退していっているということも実感しました。

本来は、テレビや新聞がこれを率先して報道するような内容で、それこそNHKの22時前後あたりに特集して放送するべき。
昭和ならできていたはず。
今の日本では、これが映画館でしか上映できないことに危機感を抱きました。
観ておいてよかったとも思いました。

ただ、作る上での参考資料に、望月某の安倍本があるのはいただけなかった。
新聞記者の名を借りた活動家に見えるあの人物が関わるだけで、「内容が偏ってる」とか、「捏造」とか疑われても仕方ないと私は思います。

ただでさえ、元『報道ステーション』コメンテーターで、「官邸にバッシングを受けてきた」「裏で圧力をかけるのはやめてもらいたい」と暴露し、「I am not ABE」と表して辞めた古賀茂明氏がプロデューサーゆえ、叩かれやすいわけで、脇の甘さ・隙は作らない方がいいのにとも。

また、前作『パンケーキ〜』にもあった、挿入されたアニメーションが、おそらく『モンティ・パイソン』『サウスパーク』を狙ったか、またはマイケル・ムーア監督のリスペクトか、ってところなのだろうが、しつこく感じてしまい、これは入れない方がよかったのになとは思いました。

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コージィ日本犬