「【敢えて犯行現場を映さない事で、発行現場の緊迫感を観客の想像力に委ねる緊張感溢れるシチュエーション・スリラー。母の息子への強き愛を示している作品でもある。】」デスパレート・ラン NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【敢えて犯行現場を映さない事で、発行現場の緊迫感を観客の想像力に委ねる緊張感溢れるシチュエーション・スリラー。母の息子への強き愛を示している作品でもある。】
ー 今作を観て、直ぐに思い出したのがデンマーク映画の「THE GUILTY」である。
観客に対し、聴力と想像力だけで犯行現場の緊迫感を出す手法を駆使した逸品である。-
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・映画の感想は、観る人によって違うのは当たり前だが、今作が低評価なのは実際の学校で起きた犯行現場が映されない事によるフラストレーションも一因かと思われる。
あとは、低予算だとかいう理由かな。
映画の良し悪しは制作費ではないと思うのだがなあ。
・だが、今作を観ていると父を交通事故で亡くし心を閉ざしている息子ノア(コールトン・ゴッボ)を気遣いながら幼い娘も一人育てているナオミ・ワッツ演じる母エイミーが、長閑にランニングしている最中に連絡が来た、学校での銃乱射事件という悍ましき事態に対し、自らの脚で学校へ向かって走りながら、スマホを使って機転を利かせ警察よりも早く犯人を特定し、電話で接触する母としての”息子を絶対に助ける!”という気概が、心に響く。
・普通に考えれば、行き過ぎた行為と捉えられかねないし、実際劇中でも警察から警告されるが、それでも母は息子を助けるために、リモートで犯人と接触していくのである。愛する息子の緊急時なんだから、手順を踏んで何て言ってられないよね。
序でに言えば、この母の社会的には容認しがたい行動こそが、母の息子への強き愛を示していると思う。
・警察が捜査の段階でノアを容疑者かどうか確かめるシーンでも、エイミーは動揺しつつも、”あの子は良い子‼”と言いセルフコントロールして自制心を取り戻していくところも凄い。
<ラストで、息子のノアが校舎から走って出て来るシーンや、エンディングで事件直後から動画を上げ、学校での銃乱射事件への怒りを込めたコメントを述べるノアの姿には、且つて落ち込んでいた姿は見られないし、母エイミーへも珈琲を淹れてくれた事に”有難う”とベッドの中から言うシーンは、冒頭のシーンとは明らかに変わっている。
ノアが改めて母の強い愛情を感じ、彼自身成長した姿が、観ていて嬉しい。
今作は、敢えて犯行現場を映さない事で、観客の想像力に委ねる緊張感溢れるシチュエーション・スリラーなのである。>