「現代のお伽話」パリタクシー ずっ子さんの映画レビュー(感想・評価)
現代のお伽話
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おんとし92歳と思えぬしっかりとした品の良いご婦人。自分もこうなりたいものだと思いながら見ていくと、驚く過去が次第に明らかになる。
日本でもありがちだったアメリカ兵との恋と妊娠と出産。当然アメリカ兵は戻って来ない。
その後も自分と連れ子に暴力を振るう内縁の夫
報復からの禁固刑。
壮絶な過去を持つこのご婦人が、どのようにして資産家になったのかの謎は語られない。
ただ、社会活動家として名を馳せたらしいことは、最後に明かされる。
壮絶な事件を起こしてもなお品位を失わず、また人生経験を積んだからか、イラつく運転手の荒んだ気持ちを和らげるのも上手い。
タクシー運転手も、人生追い詰められてイラついてはいるが、利に聡いわけではなく、だからこそ追い詰められているとも思えるが、
この殺伐とした現代において、そして実際は汚いパリの街を美しく、お伽話のように語ったこの映画の観賞後は、人生まだ捨てたものでもない、もう少し人を大切にしてみようか、と思える。
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