「パリタクシー追憶巡りコースおひとり様」パリタクシー シネマディクトさんの映画レビュー(感想・評価)
パリタクシー追憶巡りコースおひとり様
疲れた中年タクシードライバーと92歳の老女の1日だけの寄り道の旅と言う設定だけで、『いい映画』確定なんだけど、そこはフランス映画,一筋縄ではいかない人情劇でした。パリのあちこちを廻りながら、老女の追憶を辿るのは定石的だけど、彼女の辛い人生が戦後フランスの女性人権史のようなのが面白い所です。彼女のDV夫への反撃はドン引きしそうになるけど、サッと現在の彼女に場面転換するのが上手い所で、監督のクリスチャン・カリオンの阿吽の呼吸はなかなかです。エンドロールも、彼女の最も愛した思い出のシーンで、涙腺崩壊です。役者では、主演のお二人がキャラにピッタリの名演でした。ダニー・ブーンのしかめっつらから笑顔になるあたりは、本当に味があっていい感じだし、リーヌ・ルノーは、貫禄がありながらも辛い過去でもサラッと流すお茶目振りが魅力的です。彼女の若き日を演じたアリス・イザーズも、キュートで、若い時のエマニュエル・べアールを思い出しました。
コメントする
NOBUさんのコメント
2023年4月21日
今晩は
今作は仏蘭西映画のエスプリが効きつつも、人生肯定映画で佳き映画でしたね。ダニー・ブーンは”ミック・マック”以来でしたが、良い歳の取り方をされていると思いました。
終活映画はややもすれば暗いトーンになりがちですが、今作はその辺りの描き方も秀逸であったかと思います。邦画だと湿性になりがちな重いテーマをカラッと描いた作風が素敵だな、と思いました。では。あ、返信は不要ですよ。