沈黙の艦隊のレビュー・感想・評価
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時代背景を曖昧にする無責任と究極の尻切れトンボ
かわぐちかいじ原作の同名の漫画を実写化した文字通り潜水艦映画でした。原作は1988年から1996年まで週刊モーニングに連載されており、当時は毎週モーニングを買って読むだけでなく、単行本まで買うほどに熱心に読んでいたので、実写化されたというので何はともあれ観に行きました。ただ”期待に胸を膨らませ”というよりは、きっとガッカリするんだろうなあという嫌な予感を合わせ持ちつつ観に行くという感じでした。
何故そんな気持ちだったのかと言えば、同じくかわぐちかいじ原作の”自衛隊物”で、漫画の連載は「沈黙の艦隊」よりずっと後だったのに、既に4年前に実写映画化されていた「空母いぶき」の出来栄えが、余りにもガッカリだったことからの連想でした。また、これは期待と不安相半ばするところでしたが、1988年の連載開始当時はソビエトが健在で、米ソ対立は雪解け傾向にあったものの、いまだ冷戦構造が存在した時代を背景とした原作を、どのような時代設定で映画化するのかという部分に興味がありました。また、単行本にして全32巻もある”超大作”とも言える原作を、どのように2時間程度に詰め込むのかというところにも注目でした。
果たしてその結果は。。。
一言で言うと、当方の嫌な予感を遥かに上回る驚きの内容でした。まず一番興味のあった時代設定ですが、西暦何年と明示はされていなかったものの、空中から撮影された東京の風景は現代そのもの。だからソ連が消滅してロシアが出来、中国が経済的にも軍事的にも飛躍的に台頭して米中が対立し、北朝鮮が核ミサイルを保有する時代の出来事として描かれていたと解しましたが、不思議なことに日本の首相の名前は竹上登志雄。言うまでもなく連載開始当時の竹下登から命名された名前。名前なんてどうでもいいという見方もあるかも知れませんが、実は名前だけの問題ではありません。
というのも、これは2番目に注目していたこととも関連するところですが、何と本作、全32巻ある原作のうち、4巻の途中までしか描いていないのです。確かにこの辺りまでが原作の第一章とも言うべき部分であり、一番衝撃的な掴みの部分であることは確かだと思うのですが、この箇所には日本とアメリカ以外の国が、原作においてすら登場しないのです。そのため、ソ連がロシアになっていようが、ロシアがウクライナに侵攻していようが、中国が日本を抜いて世界第二の経済大国となり、軍事的にもアメリカに挑戦するほどに巨大化しているとか、北朝鮮がたびたび”弾道ミサイル”を日本周辺にぶっ放しているとか、そういった現実世界の問題を一切引き受けていない訳です。
「日本がアメリカの協力を得て秘密裏に原子力潜水艦を建造する」という「沈黙の艦隊」のメインテーマは、1988年という時代背景があってこそ成り立っていた訳で、2023年という時代設定にするなら、相当な改変が必要だったと思う訳ですが、結局本作ではそうした問題に一切蓋をして、渋谷にはスクランブルスクエアが建っているのに、首相は竹下登の分身みたいな竹上登志雄が登場するという、支離滅裂の構造になってしまっていたことが残念だったとともに、ああ予想通りだな、という不思議な安堵感もあったような作品でした。
また声を大にして文句を言いたいのは、前述の通り全32巻の原作のうち、4巻の途中までのストーリーしか描いていないのに、それを明示していないのはいくら何でも酷いんじゃないかと思います。歌舞伎や文楽で忠臣蔵をやるときだって、必ず何段目をやるのかを明示します。忠臣蔵で言うなら、本作は浅野内匠頭がまだ吉良上野介に松の廊下で切りかかっていない段階で終わってしまっただけに、初めからそのことを言って欲しかった。しかも続編があるのかすらも現時点では分からず、全くもって無責任だと言わざるを得ないものでした。
散々文句を言った上で役者陣の話に移りますが、主人公の海江田のライバルである深町役の玉木宏は、個人的にイメージ通りでした。原作通りに、骨っぽくて人情味があり、正義感も併せ持つ軍人の雰囲気が良く再現されていたと思います。一方主人公の海江田を演じた大沢たかおですが、「キングダム」の王騎将軍のイメージを当方が勝手に引きずっていたせいもあるかも知れませんが、ちょっと不気味過ぎて原作の海江田の再現性は低かったように感じました。原作の海江田は、深町とは対照的に丸みを帯びたフォルムであり、父性というよりは母性を感じさせるキャラクターだったように思いますが、本作の海江田は妖性を帯びていた感じでした。因みに海江田から母性がなくなった替わりに(?)、深町が艦長を務める「たつなみ」の副艦長が女性(水川あさみ)だったり、防衛大臣が女性(夏川結衣)だったり、「やまなみ」沈没という事件の真相を追うキャスターが女性(上戸彩)だったりと、バッチリと2020年代という時代背景は反映されていました。
いずれにしても、続編を作るのかどうかというのが今後の注目なのですが、1990年前後から30年も時計を進めた現代劇として本作を作ってしまった以上、続編の構成は相当苦労するのではないか、かなり良く練らないと、ストーリーが話が完全に崩壊するのではないか、いや、人間業ではまともな続編など作れないのではないか、そんなことが頭に浮かんだ実写版「沈黙の艦隊」でした。
因みに原作では、本作のエンディング直後にソ連の原潜と海江田率いる「やまと」が対峙することになります。
そんな訳で、究極の尻切れトンボだったこともあり、評価は★1にしようかとも思いましたが、防衛省及び海上自衛隊の協力の下に撮影されたらしい潜水艦の潜航シーンなどは良かったので、★2.5とします。
原作の世界観そのままに
随分昔に読んだ記憶はあり。予告編観る限り、予想以上に頑張ってる感があったため観てきたが、ほぼ満足。
昔、ローレライというCGの見せ場満載の潜水艦映画があったな、と出てきた時に思い出したけど、このテキパキ感は数段上な感じ。てっきりあらかた映画としてまとめたのかと思ってたら続編ありきなんですかね、ここで終われるならそりゃしっかり見せられるな、と思う。まあ続きがないと、おいこらっ、みたいな気もするが。
潜水艦内のセットもしっかり、そして時折挟まれる基地と潜水艦のリアルな泡。そしてフィクションとしての潜水艦バトルのCG。あの世界が、世界を崩さず映画化。
ただあの世界観がやはりマンガというか芝居にすると歌舞伎調なので、ある意味みんな座り芝居で不敵に笑う、みたいな映画度はあまりない。これに比べるといかにトップガンが映画として優れていたかがよくわかる。
でも過去にない日本映画?ドラマ?が観れてよかったかな。
今の世界情勢だからこそ
原作は知らないのですが、キャスティングが良いので初日に見に行きました。潜水艦で海底であるから全体に暗い画面でしたが、内容は引き込まれて気が付いたら終盤でした。ただ、ここから物語が始まる序章のように感じ、次回作を熱望します。
大沢さん演じる海江田さんが、表情もなく、動きもなく、圧巻の存在感で今後どうなっていくのかが純粋に楽しみです。鑑賞されてる方は男性が半分以上を占めており、上映が始まるまで居心地が悪かったですが、女性でも楽しめる、今の世界情勢だからこそ、見るべき、そして感じ、考えるべき内容だと思いました。
空母いぶきよりは断然アリ!ですが…。
まさかの映画化ということで気合を入れて鑑賞。
一言で言えば、物足りない!!
全編描くのは到底無理だとして、今作は序盤を丁寧に描写したのかと思いきや、映画オリジナルの展開がある一方で、戦闘シーンはかなり端折る形での進行…。
もちろん、大まかな戦術や内容は原作通りなんですが、思考についての言及がなかったり、後々効いてくるはずの海江田や周辺の人物の重要なセリフもところどころなかったりして、とにかく物足りない。
戦い方自体も、実はもっと物語が進んでから出てくるはずものが登場。
という事は、つまりあのサソリは続編でも登場しないのか、と思うと残念でなりません。
(使われたのが何のケーブルかの言及もありませんでした)
何より、個人的には海江田と深町とのライバル関係が好きだっただけに、映画では同期じゃなさそう、というのはかなり残念でした。
オリジナルキャラ?の上戸彩のニュースキャスターも、文句なしで美人なのはいいのですが、キャスターにしては声が出ていなさすぎて架空感が強かったです。
一方で、現代風にアレンジされた装備の設定や、水川あさみの速水副長はじめ女性陣も多用したその他の登場人物は特に違和感ありませんでした。
逆に、田所司令やライアン大佐、スタイガー大将などはかなり「まんま」で大変良かったです。
大沢たかおの海江田も、かわぐちかいじ先生が絶賛したと伝えられている通り、意外とハマっているなという印象。
複雑になりがちな水中戦もわかりやすく、その点はとても満足できました!
かわぐちかいじ作品はスケールが大きすぎるのか、映像化しても最後まで描かれなかったり(アニメ「沈黙の艦隊」「ジパング」)、「空母いぶき」(映画)のように大爆死してしまいがちですが、
特に沈黙の艦隊はその全貌が明らかになることで完成する作品なので、今回はなんとか最後まで描き切って欲しいです。
色々書きましたが、原作へのリスペクトを感じられ、空母いぶきよりは断然良かったので、期待を込めてレビューします。
「独立国ヤマトを宣言する!!」・・・いや無理でしょ
原作を見ていないので、いきなり終わって「え?・・何だったのこれ?」となった。
海江田さんがクーデターどころか、独立国を宣言して、最終的に地球上の国々を一つの国家にまとめるつもりらしい。
あまりに現実離れしてた話で、物語に入っていけなかった。
漫画を読んでいないけど、名前は聞いたことがあるので、この後面白くなるのかもしれないが、いかんせんテンポが悪く、話が進まないので眠たくなる。
潜水艦がミサイル撃ったり、米国第7艦隊が集結しているシーンはカッコよかった。
続編があったとしても、ちょっと見に行くの迷うなぁ。
潜水艦のカッコ良さが伝わる
潜水艦のカッコ良さが伝わる場面があって、海上自衛隊の協力も納得。
ストーリーは、複数の立場の思惑が絡まりつつ、敢えてどれが正しいと言わないのか?
続編あるのか?
謎な終わり方だった
予想外に面白い
キングダムでもそう思ったけど、やっぱり大沢たかおがすごい。
彼の雰囲気無しでは成り立たない映画だなぁ。
原作は読んでないけど、読みたくなったね。
その他配役もとても良い。
大沢たかおのあの後ろ姿を見るためだけにでももう一度見ても良いかも。
心を摑まれる映画だ
途中で終わるんかーい
2023年劇場鑑賞225本目。
原作を全く読んでいない状態で鑑賞。
セガールの映画とタイトルがごっちゃになることで有名ですね。
潜水艦映画ということで、緊迫した戦闘シーンが見どころかなと思ったのですが、主人公である海江田が強すぎるけど何考えているか分からないから感情移入は玉木宏演じる艦長にするので、結果あんまり爽快感がありませんでした。
また、政治家たちの駆け引きが延々続くのですが、あんまりヒリヒリする感じというよりは守りの姿勢が強すぎてモヤモヤするし、え、これ終わる?とチラチラ時計を見始めたら突然終わるし・・・。
最初から何部作です、これは序章で後何本作ります、と自信を持って言ってほしかった。コケたらこれで終わりですか?キツイですよそれは。
完全に消化不良です。
自分はこの原作は文庫版を全巻持っていて、とても好きなので、何度も何度も読み直しています。なので、若干 自分の好みに入りすぎたコメントになりますが、お許しください。
表題どおり、自分的には「完全に消化不良」です。物語のストーリー上、多少の「端折り」や「変更」は仕方ないと思いますが、大きく2点課題を感じます。
①まず、「短い」です。ストーリーが全然進んでいません。
冒頭の話の展開から、「こりゃ、全然話が進まないな!?」と思い、「どこまで話が行くのだろう」とジリジリしてました。結果、文庫版(全16巻中)の2巻程度までのストーリーです。話の展開としては、少なくとも3,4巻あたりの「沖縄沖海戦」まではやってほしかった。これでは「沈黙の艦隊(序)」ですね。この後、映画作成側はどうするのでしょう? これで終わりですかね。。。
②ただでさえ話が進んでいないのに、原作に無い追加物語の「海江田艦長が部下を死なす」シーンはいらない と思いますし、深町を一時的とはいえ海江田の配下にするシナリオもいらないと思いました。
よけいな一言
速水副長は、原作だと女性にもとれる優男だったのですが、本映画では完全に女性になってしまいましたね。ポリコレの時代だから仕方ないと思いますが、現実的に潜水艦に女性乗務員は存在するのですかね?狭い艦内の設備を考慮すると、男性・女性混在は難しいような気がします。
原作が大好きなので、4.0か、4.5点をつけたかったのですが、如何せん。。。
<主な基準(今後のためのメモ)>
4.5 観て良かったと感じた映画
4.0 おすすめできる映画、何かしら感慨を感じる映画
3.5 映画好きなら旬なうちに見てほしい映画
3.0 おすすめはできるが、人により好みが分かれると思われる映画
期待しすぎちゃったかな、って思いながら出口へ歩いていたら、 近くの...
期待しすぎちゃったかな、って思いながら出口へ歩いていたら、
近くの女性二人組が話していたのが聞こえた
「なんか真夏のオリオン見てるのかと思った」
「あれもう王騎だよね、撮影時期近かったからしょうがないか」
正に!
3.5に近い3
落ちが無い緊迫感
良い時間帯がないので、混んでるのを承知でミッドランドスクエアシネマに来たら案の定満席に近く、最前列で観た。
大沢たかおも貫禄だったが、玉木宏の正義感の方が目立っていたかもね。冒頭、大沢たかお扮する海江田四郎は圧壊したやまなみ艦長として登場するが、何故か艦を放棄して行方不明になってしまうんだけど、ちょっと訳が分からなかったな。その訳が分からないままシーバット艦長として再登場するし、秘密の任務があると言うし。でも米軍第7艦隊相手に緊迫感は伝わったものの最後の落ちが無かったよね。続編でもあるのかな。
帰宅してからAmazon Prime Videoでアニメ版を観てみて不可解な謎が分かったよ。国家秘密の事をきちんと説明していたから実写版だけでは分からなくて当然だ。それはそうとエンドロールでのAdoのテーマ曲は良かったな。歌上手いね。
橋爪功さん、ちょっと何言ってるかわからない問題。 全体的にテンポ悪...
橋爪功さん、ちょっと何言ってるかわからない問題。
全体的にテンポ悪く、恐ろしく中途半端な所で終わる。
無理矢理、原作の男性キャラを女性に変える風潮。
深町の海江田への愛が描写されていないw
壮大なるプロローグ
壮大なるプロローグで幕を開けた大沢たかお劇場。ほぼほぼ直立不動で後ろ手を組んで動かず。だが、まさに掴みはOK。
しかし、あのソナーマン凄いな
イヤホンで音楽をフルボリュームで聴いてる輩にはとても務まらないな(笑)
モーツァルト!
まず最初に、スティーブン・セガールは出てません念のため。
ハリウッド映画には及びませんがこれだけ楽しませてくれれば充分です。大健闘の日本映画でしょう。続編ある?期待しよう。
大沢たかおがキングダムのあの人とキャラ被って見えてしかたありませんでした。
原作、海江田がモーツァルト好きくらいしか知りません。今回は35番、41番が使われててました。次回は40番をぜひ。
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