「不動の男・大沢たかお」沈黙の艦隊 サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)
不動の男・大沢たかお
王騎将軍の次に選んだ役は、まさかの艦長。
原作は未読だが、王騎と似た大沢たかおの佇まいに惚れ、不安要素は随所にありながらもそこそこ期待していた本作。もちろん、公開日でIMAX。上映時間が割と短いことに直近で気付き、原作が30巻もあるのに足りるのか?と思っていたが、案の定足りなかった。まあ続編作る気満々ということは承知の上だったけど、にしても1本の映画として不完全。もう終わり...?と思ってしまった。
IMAXである意味は無し。
せっかく大スケールで、「沈黙の艦隊」というタイトルなんだから、音響にはもっと拘って欲しかった。地響きするほどの爆音でも良かったし、何より音楽がチープでガッカリ。交響曲なのに重厚感が無い。主題歌も雰囲気とあって無さすぎる。映像の迫力は凄まじいだけに、「音」がどれもこれも安っぽくて残念でした。
政界、海江田サイド、深町サイド、そしてアメリカ軍目線から描かれる本作。大沢たかおを含め、キャスティングの妙である。政界の面々が三谷幸喜、池井戸潤作品好きにはたまらない。最近大好きな酒向芳も重鎮として出演しているから、最高の一言。ただ、この短い尺ではバランスに偏りがあり、中盤から何も話が進展していないように思える。橋爪功なんて、結局誰なんだい。まあ続編に期待したいところではあるが、1本で満足出来ないのはちょっと気に食わない。
日本初、Amazon100%出資で製作された映画。
おかげで、アメリカとの連携も素晴らしかったし、お金かかっているなぁと随所で感じられた。プロデューサーには大沢たかおの名前も。キングダムの成功からとことんリアルを追求している、そんな彼の姿が想像出来る。しかも、監督は昨年の大傑作「ハケンアニメ」の吉野耕平。演出(特に過去パートへの挿入部分)は、全身を震わせるほど優れています。だからより、脚本の詰めの甘さが気になるんだよなぁ...。
しかしながら、今後にものすごく期待できたし、原作も読んでみたいと本気で思えた。実写化としては成功の部類に入ると思う。やはり王騎の面影が残る大沢たかおは、今回も120点の笑みを見せてくれました。んふっ。