劇場公開日 2023年4月22日

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「【今作は、死地に連れていかせるために100万を用意した男と、連れて行ったひったくり犯とのロードムービーである。再後半の台詞無き長廻しの”男達の再生”のシーンが印象的な作品である。】」J005311 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0 【今作は、死地に連れていかせるために100万を用意した男と、連れて行ったひったくり犯とのロードムービーである。再後半の台詞無き長廻しの”男達の再生”のシーンが印象的な作品である。】

2025年12月16日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

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■思いつめた表情の、サラリーマン風の男、神崎は街を急ぎ歩く中、反対側の路上でひったくりをした男、山本を見つけ彼を必死に追う。そして、山本に”100万を渡すからある場所に行ってくれ・・。”と消え入るような声で頼むのであった。
 そして、二人はレンタカーで山梨に向かうのである。

◆感想<Caution!内容に触れています。>

・序盤の神崎の、思いつめた暗い表情と、ひったくり犯の山本の人生を投げたようなヤサグレた表情の対比。

・その二人が、小さな車で山梨に向かうのである。無機質な100万の札束がが二人を結び付けている。

・手付金20万を手にした途中で山本は神崎を置いて逃げるが、思い直したのか或る駐車場で神崎を待っているのである。

・神崎は、”その場所”に到着し、山本が運転する車を降り、「風穴」と書かれた看板の脇を前かがみになり、速足で歩いて行くのである。根雪が残る林に入って行く神崎。
ー 詳しくは語られないが、観ていればそこが自殺の名所である、”富士の樹海”である事が分かる。-

■ラストの台詞無き長廻しのシーン
 だが、その神崎を突如車で走り去った筈の山本が馬乗りになり、進行を遮るのである。暫く汚れた根雪の表面を凝視する神崎。
 そして、彼はフラフラと来た道を戻るのである。
 すると、そこには山本が無表情で車から外に出て、立っているのである。
 そして、神崎は、俯きながら静かに助手席のドアを開け、シートに俯いたまま座るのである。

<今作は、死地に連れていかせるために100万を用意した男と、連れて行ったひったくり犯とのロードムービーであり、再後半の台詞無き長廻しの”男達の再生”のシーンがインパクト大なる作品である。>

NOBU
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